【推測不能!?】AIノベルちゃんにホラーを任せてみた件について

清泪(せいな)

第8話 死神との契約

 私は自分に尋ねてみる。
 ……私はまだ生きていたい。
 だから、まだここにいる。

 私は答えた。
 そうですか。
 では、決まりですね。
 男は満足そうに言った。
 ……それで、具体的に何をしたらいいの?
 私が聞くと、男は首を傾げた。
 ……そうですね……。
 特に何もしなくても大丈夫ですよ。
 ただ、時々私の所に遊びに来てくれるだけで結構です。
 後は、そうですね……。
 たまに私の仕事を手伝って下さい。
 私は首を横に振る。
 ……それは無理だと思う。
 だって、私はもう死んでるんでしょう?
 それなのに、どうやって仕事を手伝うの?

 私の言葉に男はうーんと腕を組んで考え込んだ後、ポンと手を打った。
 ……ああ、そうか。
 あなたに仕事を頼む時は、一度死んでからにしてもらいましょう。
 それなら問題ないはずです。
 ……死んでから?
 私は男の言葉を頭の中で反すうする。
 死んでからの方がいいなんて変な人だと思いながら、私は男に聞いた。
 ……どうして?
 すると、男は笑顔で答えた。
 ……いえ、深い理由はありません。
 強いて言えば、そっちの方が面白いかなと思いまして。
 ……やっぱりこの人は変わってる。私は改めて思った。
 でも、悪い気はしなかった。
 ……分かった。
 じゃあ、死んだらまた会いに来るね。
 私は男に笑いかける。
 男は嬉しそうな顔でうなずいた。
 ……はい。待ってます。


 それからしばらくして、私は家に帰った。
 次の日、私は会社に行く前にあの場所に立ち寄った。
 辺りを見回してみたが、昨日の男の姿は見当たらない。
 ……今日はいないみたいね。
 私はホッとしたような残念な気持ちになった。
 私はその場を離れようとする。

 その時だった。
 突然、背後に気配を感じた。
 ……誰!?
 私は振り返り、身構えた。
 そこには、一人の男が立っていた。
 私はその姿を見て驚く。
 ……あなたは!?
 男はニヤッと笑う。
 ……久しぶりですね。
 元気にしていましたか?
 男は私の方に歩いてくる。

 私は思わず逃げ出したくなったが、何とか踏み止まる。
 すると、男は立ち止まり、不思議そうに私を見た。
 ……どうしました? 
 私は震え声で答える。
 ……いや、何でもないの。
 ちょっとびっくりしただけ。
 男は私の言葉を聞いても、相変わらず無表情のままだ。
 ……あなたも、死神なの? 
 私が恐る恐る尋ねると、男はあっさりと答えた。
 ……えぇ、一応そういう事になっています。
 私は驚いて聞き返す。
 ……死神にも色々あるってこと?

 ……まあ、そんなところですかね。
 男は曖昧な返事をした。

 私はそれ以上聞かないことにした。
 ……じゃあ、もしかしてさっきまでそこに居た人も死神なの?
 私が尋ねると、男はうなずく。
 ……そうです。彼は私の部下みたいなものです。
 部下? 
 私が首を傾げると、男は説明を始めた。
 ……簡単に言うと、私達は二人で一つのチームということになります。
 一人が魂を回収すると、もう一人がそれを見届けて報告をするんです。
 なるほど……。
 私は納得した。

 ……それで、あなたは何をしていたの? 
 男は私の方を向くと、淡々とした口調で言う。
 ……あなたを待っていたんです。
 私を? 
 どうして? 
 私が質問すると、男は苦笑を浮かべた。
 ……あなたには関係のないことです。
 男はそれだけ言うと黙ってしまったので、仕方なく私は別の質問をしてみることにする。
 ……ねえ、どうしてあなたは私の前に現れてくれたの? 
 男は少しの間黙っていたが、やがて口を開いた。
 ……あなたには感謝しているんですよ。おかげで手間が省けました。
 男はそう言って微笑んだ。
 ……どういう意味? 
 私は尋ねたが、男は何も言わずに歩き出した。
 ……付いてきてください。話はそこでしましょう。
 男はどんどん先に進んでいく。
 私は慌ててその後を追った。

 しばらく歩くと、人気のない路地裏に出た。
 そして、男は私の方を振り返る。
 ……あなたには、二つの選択肢があると言いましたよね? 
 男は唐突にそう切り出してきた。
 私は戸惑いながらも、小さくうなずいて答える。
 ……うん。
 男は私の目をじっと見つめると、静かに話し始めた。
 ……一つは、このまま成仏する事。
 もう一つは、私の手伝いをして頂く事ですが……。
 私は男の言葉を遮った。

 ……待って! 
 まだ、私の質問の答えを聞いていないわ。    
 あなたは一体何者なの? 
 すると、男は困ったように頭を掻くと言った。
 ……そうですね……。
 実は私もよく分かってないのです。
 自分が何者かなんて。

 私は首を傾げた。
 ……よく分からない?
 ……それって、どういう事? 
 男は答えた。
 ……そのままの意味ですよ。
 自分の名前すら思い出せないくらいですから。
 私はますます混乱した。
 ……じゃあ、どうして私に話しかけてきたの?
 男は少し考えて言った。
 ……そうですね。
 多分、興味があったからでしょうね。
 あなたのような人間に会う機会なんて滅多にありませんし。
 私はため息をつく。
 ……やっぱり変わってるよ、あなた。

 男はクスリと笑って言った。
 ……そうかもしれませんね。
 でも、それが私ですから。

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