【3.7万PV】女性に憧れていた私が転生して悪役令嬢に!?~婚約破棄され辺境に嫁ぎ、ホットケーキミックスで成り上がる~

近衛 愛

【男の娘058】アカネと生き物の生態系2

「そっか、それなら分かるかも。気をつけて行ってきてね。」


「うむ、アカネの料理には期待しておるからな。では」




扉までトコトコと歩いて行って、開けたら、ビューンと走って消えてしまった。


「父さん行っちゃいましたね。ティム殿ってここら辺にいい伝えのあるあの神獣なんでしょうか?」


「おそらくそうだろう。時々現れる神獣フェンリル様でなかろうか?私も見たわけではなく、獣人族やご先祖からの伝聞になるので、御伽噺の一つだと思っておったが。」


「そうなると、お父様、言い伝えのある神獣全てに置いて、ティム様が該当すると考えているのですか?」


「流石に全てとは言わんが、ある程度は、ティム殿の所業でないかと思っておる。確認しても仕方のないことではあるが、うちの家族はとんでもない、神獣を迎えたのかも知れないな。」


「お父様、私のせいでこんなことになって申し訳ありませんわ」


「いや、文句を言っている訳ではないから、気にしなくていいんだよ。アカネ。むしろティム殿のおかげで、うちとしては一切の被害を出すことなく、熊を討伐できるのだから。感謝こそすれ文句を言うなんてとんでもない。」




「良かったです。」


その後、私がお風呂に入って上がったあたりの頃に。


ビュー、ズズズーズッ、ドシーンっという大きな音がした。何が起こったのかと、みんなで外に出てみると、大きな狼が熊の死骸を前にして、お座りしていた。


「ハッハッハッハツ」


と舌を出しながら、何かを待っているようだ。


「もしかしなくてもティムなの?」


「アウーッ」


と首を縦に振り、頷いてくる。いやーそれにしてもでかいよ。ティム。お父様よりも頭一つ分座っててでかいんだもの。今までみた狼の中でもとりわけでかいと感じるわ。


 熊も、おそらく成体の熊を狩ってきたのだろう、首筋から血が出ているが、ピクリとも、動かない完全に絶命しているようだ。


 熊もでかいんだけど、ティムに比べたら可愛いと思えてきたりするから、不思議なものだ。、


私は、ティムの傍にいって、頭を、撫でてあげたいところではあるが、高すぎて届かないので、腰の方を撫でてあげる。


「よくやったね。ティムエライよー。ヨシヨシ」


それで機嫌を、よくしたのか、また


「アウーッ」と鳴く。


「いやはや、これはまた大きいですな。ティム殿、いえ、神獣フェンリル様、この辺境の地の守護神よ。我ら家族一同、感謝を捧げます」


と私以外のみんながこうべを垂れる。私も、慌てて、お辞儀をする。


「アウーーーッ」


と言って、首を傾げる神獣狼。


「ティム、もうその姿はいいから、子供の姿に戻って頂戴。」


「アウーーーッ」


と一吠えすると、神獣狼の周りに煙が集まり、中から子供姿のティムが出てきた。


「さっ、これを食べるのであろう?調理して良いぞ」


「ティム、流石にもう遅いから、解体も調理以降も明日以降になるよ。」


私の発する言葉にみんな同意して、うんうんと頷く。


「そうか、では、もう寝るか。」


みんなホット息を着いていた。私にしたら、神獣というよりも、お腹の減っている腹ペコの子供であり、子ドラゴンなのだが、みんなの中では神獣のイメージが大きく、恐れ多いようだね。




「ティム、口の周りにまだ血がベットリついてるよ。汚いからついでにお風呂に入れて洗ったげるね。」


◆ ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆
翌朝、


お父様は、一人で牧場に行って、昨日の続きとティムの件を上手く、グラファンさんやペレトンさんにお話ししてくれるようです。


で、私はというと、マッシュ兄さんが解体しているのを横で眺めてます。血と鉄分の臭いで、吐き気がしてきますが、マッシュ兄さんが頑張ってくれているので、逃げるわけにもいかず。隣で頑張って眺めています。


昔の人は、鶏や牛や豚を実家で飼って捌いてたって聞くけど、かなりの根性がないと見るのもキツイよね。現代に生まれてよかったという所なんだけど、あいにく私は、これからずーーーっとこの世界で暮らして行くので、割り切ってやっていくしかないよね。


お貴族様や都市部の人なら、関係ないのだけれど、ここは辺境の地で、うちは、うちは農家だから仕方がないや。


ということで慣れるしかないんだよ。ぐすん。血生臭くなるのはちょっと想定外だったかな。牛糞や鳥糞の処理までは想定してたんだけど。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品