【3.7万PV】女性に憧れていた私が転生して悪役令嬢に!?~婚約破棄され辺境に嫁ぎ、ホットケーキミックスで成り上がる~

近衛 愛

【男の娘034】アカネとトースト

「じゃ~アカネちゃん。一回で全部やると手間がかかって大変だから、1つだけにしようか。」


「ではお母様どれがいいですかね?」


「そうだね~料理の幅が広がるから、揚げ物料理もいいわね。でも、トーストでの焼き直しが出来るってことは日持ちがするってことだろ。ストックできるのも魅力的さね。上手くいけば、食パンを販売して、ここから都市に出荷できるかもでしょ。悩むね~。一家の母親として、判断するか、貴族の領主の嫁として判断するとこなのか。アカネちゃんの結納金返済の件もあるわね。どちらが商売として上手くいくと思うかい?」


「そうですね。揚げ物だと各家庭で、料理をするということになるので、難しいかな?いやでも、総菜屋さんがあったし、1~2日なら日持ちもするから、逆にありなのかな?いやでもそうするためには、揚げ物を広く知らしめる必用があるわけで。小麦粉あるから、天ぷら粉を作れば売れる???いや、その前に民衆に拡散して広がっていないと需要がないから。家としては2次製品を簡単で付加価値をつけて売却したいから、路線としては、小麦粉に+αの魔法がいいんだよね。となると、家庭で便利にお菓子やパン・ケーキが作れるホットケーキミックスが一番なわけで。まだベーキングパウダーの代わりは見つかってないし。そうなると、やっぱりここはフワフワの食パン×トーストですかね。」


「そうかい、ならそれで朝はいこうじゃないか。夜には揚げ物料理にしてみようかね」


「はい、お母様。私も揚げ物料理久しぶりに食べたいので是非お願いします。」


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


数時間後、みんな揃って朝の食卓、今日はいつもと同じパンとトーストが置かれている。


「「「いただきます」」」


さっそくお父様が見慣れぬものを見つけた。


「母さんこれは一体なんなんだい?また新しい料理か何かかな?」


「そうね。新しい料理といえば新しい料理かもしれないわ。失敗作から出来た料理だけどね。」


「失敗作か・・・うむむむ」


 お父様が悩んでいますね。これまでの経験から新しいものは比較的美味しいものだったから、今回もと思いたいけど、失敗作と言われてはその手は止まってしまいますよね。同じ用にマッシュ兄さんもキャロットちゃんも手を止めている。そして見つめる先はお父様である。どうもお父様の出方をうかがっているようだ。


「では、誰も食べないのでしたら、私が全部頂きますね」


「いやちょっと待てアカネ」


「待ってくださいアカネ」


「アカネお姉様お待ちください。」


 3人とも私の手をとめる。私が全部持って行くといったので、味の保証はそこそこされたみたいだ。一斉にしてパンを一枚ずつ手にとる。そして、お互いの顔を見ながら、頷き、一斉に目を閉じて食べる。


「ええと、皆さんそこまで勇気だして食べるものでもないと思いますけど。」


「味があまりしないが、さくっとした食感だ。悪くない。」


「確かに、味はないが、この食べ応えは面白いです。」


「そうですわね。これに何かソースがあれば美味しいかと思いますね。」


「皆さんご感想ありがとうございますわ。そうです。それはスパゲティのように単品で食べるものではありませんの。何かと一緒に食べた方がよりおいしいですわ。こちらにある目玉焼きを上にのっけて食べたり、そちらのバターを薄く塗って食べてもいいですわ。蜂蜜を塗るのもいいですわね。ジャムがあればいいのですが、砂糖が少ないため今回はお出しできませんでしたわ。」


 調味料不足の問題は、異世界では無双しにくいですね。個人的には、お米やお醤油、味噌なども恋しいのでなんとかしたいけど、結納金の返済帰還が短いので、そこまで回り道をしていても仕方ない。普及しているものに付加価値をつけて、速攻で、既存ルートの利用で販売してしまいたいのだ。


「では、私は、目玉焼きを上に乗せて」


「私は、蜂蜜にしますわ」


「なら、僕はバターを塗って」


みんなそれぞれに塗ったり乗せたりしてかぶりついた。


「うん、これは食べ応えがある。しっかりと目玉焼きの味がし、より濃厚な形になる。」


「蜂蜜を塗ったことにより、主食というよりかは、デザートに近いものになりましたわ。蜂蜜単品ですと甘くてくどいですが、パンにうっすらと塗ることによって、ほのかな甘みに変わりとても美味しくなりましたわ。」


「うむ、いたってシンプルな感じだな。バター特有のくどさがなく、パンと相まっていい感じに仕上がっている。」


「やった~~~」


私はお母様とハイタッチする。


「こちらはパンというか食パンといいますの。こちらはパンを2度焼いたものになりますので、他のパンよりも保存が少し効きますよ。」


「あといつものパンも食べてみて下さい。」


みんなに食べてもらう。


「アカネ。これは食べたけど、いつもと変わらないよ。いったい何が変わっているというのかね?」


「それは、私が何を手を加えていませんわ。お母様お一人で作られたものですのよ。」


「ふむ、それがどうかしたのか?」


「これまでは、私が手を使ってやっていたので、フワフワになってましたが、私でなくても同じ用に出来るということですわ。」


「なるほどの~。要は個人の特性ではなく、他の人ならだれでも同じ用にふわふわパンを食べれるということだな。」


「そういうことですわ。お父様」


「その意味するところは何だね。アカネ。何か考えがあってやっているんだろう?」


「そうですわね。このパンを都市で販売出来ないかと思いまして。」


「それは、難しいだろうな。家ではパンを焼くオーブンがそれ一つしかないし、出来た所で、毎日それを都市に配送するわけにもいかんだろう。都市で作って販売するにしても誰が指示をするということになる。非常にパンは美味しいのだがそれだけではまだ足りないんだよ。アカネ。」


「お父様。やはり2次加工品でパンの製作は難しいですか。では、パンケーキが作れたらどうでしょうか?」


「ふむ、この間の美味しいデザートのようなものか。あれは冷えたら美味しくなかろう。パンよりも余程難しいぞ。」


「あ~すみません。言葉が足りませんでしたね。パンケーキを作って売るのではなく、パンケーキの粉を売って、ご家庭で作ってもらうのです。」


「なるほどの~、小麦粉とおなじように粉末状態で卸して、各家庭でやってもらうのか。ふむ、それなら今の事業の延長線上で行えるな。少し人を増やせば、なんとか対応できるだろう。ただし、現状ではその存在を知っている人が少ないため、パンケーキの存在を広く伝える必用があるぞ。それにそのパンケーキの粉は簡単に出来るものかね?」


「それに関しては、取引先の承認や、ご縁のあるお貴族様にプレゼントやお食事をご招待することによって、まずは存在とその味を知ってもらえれば、口コミで広がると思ってますわ。パンケーキの粉に関しては、現在、先ほど食べてもらったパンのように思考錯誤して検討中ですの。」


「ふむ、そうか。しかし、このパンケーキも結局のところ、肝心なのは砂糖やハチミツの存在ではないかな?」



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