【男の娘028】アカネとペレストのプロポーズ！？

「おい、ぺレスト。お前いきなり何を言っているんだ」


　と言って、ドルファンさんがいきなり、ぺレストさんの頭をげんこつを落とした。


「いって～。なにすんだよ。ドルファン。俺はいたって真剣に言ってるんだぞ」


「真剣なら尚更訳が悪いわ。いったいぜんたいパンが美味しいのはわかるが、旦那様がいる奥様とその令嬢にいきなりプロポーズするやつがあるか」


　もう、ドルファンさん滅茶苦茶怒っているよ。さらにペレストさんの頭に拳を振り下ろしている。ペレストさんの頭が石頭なのか、ドルファンさんの拳が赤くなってきている。でも、そうだよね。旦那のいるお母様にプロポーズはないよね。しかも、私と二人同時で、お父様もいらっしゃるのに。


「えっ、俺って今、プロポーズしてたの？」


　とペレストさんは、辺りをキョトンとした顔で見回した。全員がうんうんと頷く。


「いや、すみません。そんなつもりは全くなくてですね。」


「なら、どういうつもりで言ったんだ？」


「いや、ドルファンさん。その前に。こいつは今聞き捨てならんことを言った。そんなつもりはまったくないだと。私の愛する妻と娘に対して。いったいどういうつもりだ！！」


　ドルファンさんに続いて、お父様まで激高しだした。いや、お父様微妙に怒るポイントが違うような気がします。


「いや、旦那。すみません。決して、奥さんとアカネちゃんに魅力がないとかそういうわけではなく。どちらも大変お美しくて、俺にはもったいないくらいです。
　まったくないというのは、言葉のあやでして、旦那が大切にしている人を、横からかっさらうつもりはないということですぜ。」


「うんうん、ペレスト、お前はよくわかっているな。そうだろ。そうだろ、うちの奥さんと娘はとびきり美人だろ。」


　いや、お父様、今は嫁さんと娘自慢のお話じゃないでしょう。あっ、お母様が二人に美しいって言われて照れて赤くなっている。可愛い。


「そっちのお話は終わったみたいですね。ペレスト、では、一体どういうつもりでお二人に飯をうちで作って欲しいなどと言ったのだ。」


「いや、それは言葉の通りだぞ。毎日でもこんな上手い飯が食いたいじゃないか。他の若い奴らもやる気がでるしさ。いいことばっかりだろ？」


「はぁ～～～っ、じゃ～奥様とアカネさんは、一体どこで寝泊まりするんだ？」


「うん？うちの集落の空いている家でいいんじゃないか。なければうちでもいいしな。」


「結婚している女性と、独身の貴族の令嬢をお前の家になど泊められるわけがないだろう。ばかもん。」


「えっ、なにかおかしいのか？他の獣人の女は平気で旦那持ちも娘も寝泊まりするぞ。」


「旦那様。申し訳ありません。ちょっと説教が長くなりそうですので、うちに連れて帰って念入りに行いますので。どうかご容赦をお願いします。」


「うむ、ペレスト頼りにしておるよ。きっちりとそこら辺は、身に沁み込ませて教えてやってくれ。必用なら獣人全体に教育を頼むよ。」


「はい、勿論です。旦那様」


「えっ、なんでお説教されるの？俺なんか悪い事いった？」


「では、旦那様改めて失礼します。奥様、アカネさん大変失礼いたしました。パンはとても美味しかったです。出来ればまた食べたいと思うほどでした。今日はお土産もありがとうございます。」


と言って、ドルファンさんは、ペレストさんを首根っこを捕まえて引きずりながら去っていった。


「ええと、お父様今のはいったいどういうことでしょうか？」


「ああ、アカネ。これはだね。獣人族の特性ともいうべきものが関係していてね。彼らは、発情期になると異性と交尾をするようになるんだよ。それも、魅力的な女性なら、既婚も年齢も構わずにね。だから、さっき、ペレストも言ってただろう。うちの家に平気で女性が泊まると。あれはそういうことだよ。」


「いえ、でも、さっきプロポーズではないと言っていませんでしたか？」


「うむ、交尾とプロポーズは獣人族にとってはまったく別ものなんだ。ま～少し関係性はあるにはあるが。あ～、獣人族はな、子供が出来たら初めてプロポーズして、家庭を持つんだよ。それまでは、何人もの異性と関係を持つんだ。」


ええ～～～っ、獣人族って、かなりみさかいのない種族ってこと？


「でも、お父様。たとえば、二人の女性と関係を持って、その二人の女性に子供が出来たらどうするんですか？」


「アカネちゃん。その話はそこまでにしましょうね。女性が男性に聞くお話ではありませんよ。」


とお母様が笑顔で言ってくる。


「そうなんですね。失礼しました。」


　お父様もすこしホットしていたみたいだ。私そんな変なことを聞いてたかな？別に露骨に性のことや下ネタを言ってるわけではないんだけど。


「アカネちゃん。わかっていると思うけど、今のお話はキャロットちゃんにお話してはいけませんよ。」


　と少し、きつい口調で言ってくる。あれ、同性のキャロットちゃんにもダメなの？まだ性教育はしてないのかな？


「はい、わかりました」


とお母様がこれでその話はおしまいとばかりに「パンっ」と拍子を叩いて、


「宜しいでは、みなさん夕食の準備が出来てますので、食べましょう。」


「「「は～～～い」」」