何時何分? 心臓が何回動いた時?

神楽堂

7

ぱち ぱち ぱち ……

乾いた拍手が病室に鳴り響いた。

「その通りでございます。
 人の生き方は十人十色。
 どれが正解、というものはございません。
 今、あなた様は、自分の延命よりも
 自分の思い出を大事にしたい、
 とお考えになられた。
 そのような生き方もあるのでございます」

そう言うと、死神の姿は薄れていき、消えていった。

俺は、しばらく何もできず、天井を見上げていた。
今のは何だったんだ? 夢でも見ていたのか?
ふと、モニターを見てみた。

ピッ ピッ ピッ ピッ ……

相変わらず、俺の心拍数が表示されている。
生きているって何だろう?
心臓が動いているということ?
それだけではない。
ドキドキした思い出、それがいつも
いい思い出だったとは限らない。
しかし、どんな思い出でも、
一度しかない人生の大切な思い出だ。
俺にはそう思えた。

ドキドキの理由。
それは、俺が生きていた証。

ピッ ピッ ピッ ピッ ……

<終>

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品