何時何分? 心臓が何回動いた時?

神楽堂

6

俺は死神に交渉した。
「子供に関することでドキドキした思い出は、
 そのまま、消さないで残しておいてくれ。
 代わりに、俺個人のことでドキドキした思い出を消してほしい」

「左様でございますか。では……」

死神はまた、タブレットを操作し始めた。

「奥さんとの出会い…」

だめだ! それは消すな!
子供がいなくってしまう。

「受験の…」

だめだ! あの大学を出ていなかったら、
今の仕事には就けなかった。

「おやおや、わがままでございますな。
あなた様は過去のドキドキを減らして、
 長生きしたいのではなかったのですか?」

ううう……
死ぬのは嫌だが、
大切な思い出が消えてしまうのは、もっと嫌だ。

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