病気の私に舞い降りた突然の恋 〜実録恋物語〜

アイナ

最低な始まり〜第7話〜


「じゃあ涼太りょうたくんが、裕太ゆうたくんのこと忘れさせて。付き合ってよ」

私はそう彼に伝えた。

「いいよ、俺が絶対に忘れさせる、幸せにする」

彼は即答だった。

由奈ちゃんと付き合えるなんて嬉しいと喜んでいた。
私は好きな人を忘れるために彼を利用したのだ。もちろん涼太りょうたくんへ好きな気持ちはなかった。
それでも裕太ゆうたくんのことを忘れられるなら良いと思った。我ながら最低だな、と思った。

これが彼と付き合うきっかけとなったのだ。

それから毎日メッセージや電話を繰り返す日々ひびを送っていた。

彼は、いつも通りどおり毎日私に好きだよと伝えてくれた。
私はまだ好きな人を忘れられなくて、ありがとうと答ることしかできなかった。

好きな人とは叶わない恋をテーマにした音楽を毎日、いていてそのたびに胸が苦しくて泣く毎日だった。

涼太りょうたくんと付き合ってからもう一度、初めて遊んだカラオケに行くことになった。

デートと呼んで良いのか分からないけど多分デートなんだろう。
彼は前と同じで、私の地元まで電車で来てくれるとのこと。

初めてのときと違ってそんなに緊張はしなかった。
彼の到着を待ってると、由奈ちゃん!と彼の声。

私は、よっ!と軽く手をあげ、涼太りょうたくんと合流した。

「由奈ちゃん、手繋いでてつないでいい?」

そう言って、私の右手みぎてに手を絡ませてきた。

久しぶりに男の人と手を繋いだな、と思いながら彼の嬉しそうな顔を横目にカラオケへ、むかった。

タバコを吸いながら、カラオケを楽しんでいた。
少し休憩してお喋りしていると彼が一言。

「由奈ちゃん、キスしたい」

漫画でよくある、飲んでた飲み物を吹き出しかけた。

私は恥ずかしいからやだ!とキスをこばみ続けた。

恥ずかしいのは事実だった。キスなんて山ほどしてきたのに何故かすごく恥ずかしくてしょうがなかった。

私は、もう少し待ってと恥ずかしそうに横を向いてると彼が

「ねえもういい?キスしていい?」

なにこの人!しつこいな、と思いながらも私はもうどうにでもなれ!と考えながら、わかったよと目をじた。

カラオケの音が流れているのに、私の心臓のトクントクンという音が聞こえてしまうのではないかと思うくらい心臓の音が大きく聞こえてる気がした。

彼は私の肩をそっと掴んで顔を近づいてるのを感じた瞬間、私の唇に唇をかさねた。
彼のキスはとても優しくて彼の唇の感触を感じながらなんだかよくわからないけど泣きそうになった。

そろそろ離そうと思った時に彼が私の唇をハムっとしてきて私は顔が真っ赤になるのを感じて強引に引き剥がした。

ちょっと待って落ち着いて!とものすごく恥ずかしくなってそっぽを向いた。

彼がその反応を楽しんでるように見えて、またキスをしてこようとしてきたので、今日はここまで!!!と手で自分の顔を隠した。

「もうちょっとしたかったな〜」

と彼が言って今度はもっと長くキスしたいな、と一言。

なんで涼太りょうたくんにこんなにドキドキしてるんだ、と不思議に思いながらも頑張って平然をよそおって、もう帰るよと言って、やだ〜という彼の言葉を無視して帰る準備をした。

手を繋ぎながら駅まで歩いていると、由奈ちゃんの反応、可愛かったな〜とからかうように笑ってる彼。うるさいなと照れ隠ししてそっぽを向いた。

改札口を通って、じゃあまた連絡するねと言ってエスカレーターにむかおうとした時に彼が突然抱きしめてきた。

「ちょっと、人いっぱいいるよ!?」

と言っても、寂しいよ離れたくない由奈ちゃんとまたしばらく会えないのやだ

そう言い、彼の体に包まれながらなんかそれがとても心地よいと感じた。

何分なんふんってじゃあねとお互い別々のホームへむかった。

初めてカラオケにったときと同じでホームの真向かいに彼は立っていて手を振ってきた。手を振り返しているとすぐに彼の方のホームに電車が来た。
電車のドアのところから彼は寂しそうに手を振っていて何故か私も自然と寂しいと感じていた。

彼の電車がったあとにすぐに私の方のホームにも電車がきた。
電車に乗り込み3分程さんぷんほどゆらゆらと揺られ、最寄りの駅に着いた。

いつもどおりイヤホンを耳につけ音楽を聴きながら今日のことを振り返って、なんか涼太りょうたくんといると調子くるうな〜と頭の中で考えながら秋の肌寒さを感じつつ自分の家へ帰っていた。

私は、いつの間にか少しずつ自分のなか涼太りょうたくんへの気持ちが変わっていくのを感じていた。





いつもより少し長くなってしまいましたが今回も読んでくださってありがとうございます。
うつ病持ちなので投稿頻度はバラバラですがこれからも暖かい目で見守ってくださると幸いです。




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