ある男とある梟の旅行記
気負い山篇 ep.3
館から歩くこと半日、男は次の町を見渡せる高さを誇る「誇らしヶ丘」にさしかかっていた。
気負い山の山腹に位置する誇らしヶ丘は、寒さが少し和らぎ日当たりも良好な中継地点。
男「高台気持ちよし。そこここに見える橋、町、動かすは人なり。」
梟「ほほろほ(他補艢帆)」
梟が頷くと、後ろの方から複数の子供の声が聞こえてきた。
見ると、小学生と思しき子供の群れと、数人の大人の団体が見晴らしの良い場所を探して歩いてきていた。
麓の気負い小学校の生徒たちが遠足にやってきていたのである。
先生の一人が高台に立ち、おもむろに話をし始めた。
おもむろ校長「えー、私は「おもむろ」という言葉が大好きであります。と、おもむろに言い出したわけでありますが、えー、皆さん、やっとの思いでここまで山を登ってきたわけでありますが、それはひとえに、私の思いつき故であります。」
彼の名前はおもむろ校長。気負い小学校の第五十六代校長である。
彼の朝礼の挨拶はおもむろに始まりおもむろに終わる。始まったかと思えば終わっており、終わったかと思えば、また始まる。
おもむろ校長「皆さん。山に生えているキノコはむやみやたらと食してはなりません。おもむろに調査をし、またおもむろに調理をし、おもむろに食べ始める。それがキノコ刈りの心得であります。」
どうやら遠足の内容はキノコ刈りのようで、よく見れば軍手やら運動靴やらで皆汚れても良い服装をしている。
おもむろ校長「それでは皆さん、おもむろにキノコ刈りを始めましょう。」
校長と生徒がおもむろにキノコ刈りを始めた。
男「食の確保容易からず。学徒生命を学ぶ。」
梟「ほ(掘)」
男が児童学習の現場に関心していると、校長の隣で水筒のお茶を飲んでいた、茶しばき副校長が話しかけてきた。
副校長「心にもない謝辞を述べるだけ。そこで友情を育む、ということでね。」
男「人生経験の場、有り難し。毒キノコ採取の危険、如何なものか。」
副校長「もう、ヘビーヘビーなんていいながら、そりゃそうだ、毒が強いぞ、なんて言いながらね。」
遠くから何やら騒ぐ声がする。
学徒「校長!蛇が出ました!」
校長「なに!毒蛇じゃないか ︎おもむろに対処しなさい!」
一連の騒ぎを遠くから見守り、茶しばき副校長は誇らしそうに呟いた。
副校長「満喫したね。割れ窓理論とは言い得て妙、なんだね。」
男はその言葉を聞いて呆れ果て、その場を去りながら梟に話し始めた。
男「放任主義天晴れ。教育現場世知辛し。」
梟「ほほほー(保保補)」
男「教育者の自惚れ、子供ら絡め取る保身の保護愛なり」
段々と遠くなる副校長が、自慢げに発語した。
副校長「まだまだ、多少、若いからね。」
学徒「校長!あっちで学徒さんたちが毒キノコを食べさせあってます!うわおぅ。そっちでは毒蛇に噛まれました!」
校長「なんてことだ!おもむろに、おもむろに対処しなさい!」
副校長「茶でもしばきに行くとするかね。」
男は気負うことなく、振り返らず前進した。
日の暮れる頃、男は気負い山を抜けた。
次の町が目前に見えてきた。
男「気負わないことの大切さをこの山は教えてくれた。」
梟「ほほほろっほ(歩灯吠朗穂)
男「まだまだ山動乱。町騒然。各地で乱世乱世。」
梟「ほっぽー(欲法)」
次の町での男と梟の活躍を期待されたし。
どっとはらい
気負い山篇 終
気負い山の山腹に位置する誇らしヶ丘は、寒さが少し和らぎ日当たりも良好な中継地点。
男「高台気持ちよし。そこここに見える橋、町、動かすは人なり。」
梟「ほほろほ(他補艢帆)」
梟が頷くと、後ろの方から複数の子供の声が聞こえてきた。
見ると、小学生と思しき子供の群れと、数人の大人の団体が見晴らしの良い場所を探して歩いてきていた。
麓の気負い小学校の生徒たちが遠足にやってきていたのである。
先生の一人が高台に立ち、おもむろに話をし始めた。
おもむろ校長「えー、私は「おもむろ」という言葉が大好きであります。と、おもむろに言い出したわけでありますが、えー、皆さん、やっとの思いでここまで山を登ってきたわけでありますが、それはひとえに、私の思いつき故であります。」
彼の名前はおもむろ校長。気負い小学校の第五十六代校長である。
彼の朝礼の挨拶はおもむろに始まりおもむろに終わる。始まったかと思えば終わっており、終わったかと思えば、また始まる。
おもむろ校長「皆さん。山に生えているキノコはむやみやたらと食してはなりません。おもむろに調査をし、またおもむろに調理をし、おもむろに食べ始める。それがキノコ刈りの心得であります。」
どうやら遠足の内容はキノコ刈りのようで、よく見れば軍手やら運動靴やらで皆汚れても良い服装をしている。
おもむろ校長「それでは皆さん、おもむろにキノコ刈りを始めましょう。」
校長と生徒がおもむろにキノコ刈りを始めた。
男「食の確保容易からず。学徒生命を学ぶ。」
梟「ほ(掘)」
男が児童学習の現場に関心していると、校長の隣で水筒のお茶を飲んでいた、茶しばき副校長が話しかけてきた。
副校長「心にもない謝辞を述べるだけ。そこで友情を育む、ということでね。」
男「人生経験の場、有り難し。毒キノコ採取の危険、如何なものか。」
副校長「もう、ヘビーヘビーなんていいながら、そりゃそうだ、毒が強いぞ、なんて言いながらね。」
遠くから何やら騒ぐ声がする。
学徒「校長!蛇が出ました!」
校長「なに!毒蛇じゃないか ︎おもむろに対処しなさい!」
一連の騒ぎを遠くから見守り、茶しばき副校長は誇らしそうに呟いた。
副校長「満喫したね。割れ窓理論とは言い得て妙、なんだね。」
男はその言葉を聞いて呆れ果て、その場を去りながら梟に話し始めた。
男「放任主義天晴れ。教育現場世知辛し。」
梟「ほほほー(保保補)」
男「教育者の自惚れ、子供ら絡め取る保身の保護愛なり」
段々と遠くなる副校長が、自慢げに発語した。
副校長「まだまだ、多少、若いからね。」
学徒「校長!あっちで学徒さんたちが毒キノコを食べさせあってます!うわおぅ。そっちでは毒蛇に噛まれました!」
校長「なんてことだ!おもむろに、おもむろに対処しなさい!」
副校長「茶でもしばきに行くとするかね。」
男は気負うことなく、振り返らず前進した。
日の暮れる頃、男は気負い山を抜けた。
次の町が目前に見えてきた。
男「気負わないことの大切さをこの山は教えてくれた。」
梟「ほほほろっほ(歩灯吠朗穂)
男「まだまだ山動乱。町騒然。各地で乱世乱世。」
梟「ほっぽー(欲法)」
次の町での男と梟の活躍を期待されたし。
どっとはらい
気負い山篇 終
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