ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
351話「国王に会う」
「うーん……」
セラフ聖国に結界を張った翌日、俺は悩んでいた。何に悩んでいるのかと問われれば、シャンガルディア大森林で仲間にしたアルラウネの処遇についてだ。
勢いのままに手駒に加えてしまったが、現時点であいつをどう活用するのかという目途が立っていない。同じ召喚獣となったオクトパスやマンティコアについては、たこ焼きの材料となるタコ足や極上のモンスターの肉を量産してくれる量産機として有効な活用ができている……と言えなくもない。
基本的に召喚主の代わりに戦闘を行うことを主とする召喚獣であるため、俺の召喚獣の使い方が正しいのかといえば首を傾げるところではあるものの、一応先の二体については使い様があることは確かだ。
だが、現状アルラウネについては砂糖以外の甘味を生み出すという能力はあるが、砂糖自体が量産体制が整ってきており、アルラウネの蜜に頼らなければならない事態にはなっていないため、使いどころを決めあぐねているのが現状だ。
「そうだな。ここは一度聞いてみるしかないか」
そう思い立ち、俺はある人物のもとへと向かうことにする。その人物とは――。
「おぉ、ローランド殿か。此度はいかがした?」
相変わらず机に嚙り付くようにして政務に励んでいるのは、シェルズ王国国王のゼファーだ。俺がいきなり現れることに慣れてしまったのか、そこにはすでに驚きはない。
何故、俺が国王のところに顔を出したのかというと、アルラウネが関係している。アルラウネ自身が自己申告で植物の扱いに長けているということを聞いていたので、その能力をフル活用してもらうことにしたのだが、問題は彼女がモンスターであるということだ。
いくら俺の召喚獣とはいえ、SSランクのモンスターであることは変わらず、そんな凶悪な存在を人の往来する場所で召喚しておくわけにもいかない。それがなければマルベルト領の一部を借りるだけで事足りる。
「だから、王家が管理する土地で人がいない都合のいい場所はないかと思ってな。あるのなら、その場所を借り受けたい」
「なんだそんなことか、それならどこか適当な土地を領地として伯爵の位を――」
「そんなものはいらん。土地だけ貸してくれればいい」
国王の提案を遮るように俺が言い放つ。俺という優秀な人材を取り込みたいという気持ちはわからんでもないが、そういった面倒臭いしがらみから逃げた身としては、御免蒙る。
しかも、国王の口から出たのは伯爵という高位の爵位だ。面倒事の予感しかしない。
おそらくだが、俺を伯爵の位にして娘のティアラを嫁がせようという魂胆なのだろう、確か女系の王族が貴族に嫁ぐ際の条件として爵位が伯爵以上であるというものがあったはずだ。大方その条件を満たそうとしたといったところか。
「そうか。爵位が欲しければいつでも言ってくれ。ローランド殿なら伯爵、侯爵、公爵どれでも好きな爵位をくれてやろう」
「いらん。それよりも土地の話だ」
隙あらば爵位の話を持ち掛けてくる国王の言葉を分断しつつ、土地の話を持ち掛ける。国王も引き際を弁えている様子で、すぐさま目ぼしい土地をいくつかピックアップしていく。
その中でもよさそうな土地が一つあったが、あくまでも今の俺にとって好都合という意味での土地であり、通常であればかなり癖のある土地だと言わざるを得ない。
「ここは北方ということもあって年中気温が低く作物が育ちにくい土地なのだが、それもあって人の手が全く入っていない。それに加え、モンスターが跋扈する魔窟と化しており、王家の土地ではあるものの基本放置されてきた土地だ」
「なるほど、好都合だ。で? いくらで貸してくれるんだ?」
「もともとあってないような土地だし、旨味のない土地だ。代金はいらんよ」
「そういうわけにはいかない。では、こうしよう」
俺としては国王に借りを作りたくないため、きっちりと土地代を払うつもりでいたが、何の旨味もない土地から代金を取ることは考えていない様子であった。
そこで、俺は国王にある提案を持ちかける。それは、その土地でできた作物の一割またはそれに相当する金額を土地代として納めるというものだった。古来日本でも田んぼから収穫した米を税の代わり所謂年貢として納めるという風習があった。今回もそれに倣い、収穫した作物を土地の間借り代として支払うことにしたのである。
こうすることにより、出来高によって納める量や金額が増減する。出来高が多いときは多く納めることができ、逆に少ない場合はその分納める量が少なくて済むというものだ。
「貴殿がそれでいいのなら、こちらとしても問題ないが」
「是非そうしてくれ。では、【コンディションコントラクト】」
そうと決まれば、俺は契約魔法で王家が管理する土地を借りる旨が書かれた契約書を作成する。作成した契約書の内容を国王に確認してもらい、同意のサインを署名させた。
契約内容を破った場合のペナルティはないものの、契約として処理しているため、ただの口約束とは異なる。そのため、例え契約が破られた場合のペナルティがなかったとしてもお互いの信用問題になるので、そこはおろそかにはできない。
「これで契約は締結された。感謝する」
「問題ない。また何かあれば遠慮なく言ってくれ」
国王との契約を済ませ、軽く挨拶をしてその場を後にする。それから、飛行魔法で国王から借り受けた土地に向かったが、辿り着いた場所は草木が覆い茂った人気のないところだった。
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