ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
338話「やって来ましたエルフの里」
「ここで待て」
森の中で遭遇したエルフたちの案内により、目的地であるエルフの里へと到着した。道中は何の目印もない場所をひたすら歩き続けていたが、エルフたちは今自分たちがどの位置にいるのかをしっかりと把握しているようで、迷うことなく里へとやってきた。
里へと向かっている途中、特にこれといった会話はなかったが、俺を里に案内するべきだと言ってくれたエルフの女はこちらをちらちらと窺っていたようなので、おそらくは俺と話をしたがっていたのだろう。
アルファスと呼ばれていたエルフの男がどこかへ行ってからしばらくして戻ってきた。相変わらずこちらを警戒するような視線を向けてきてはいたが、俺が怪しい動きをしなければ静観しているようで、特に何を言われることもない。
「ついてこい」
そう短く言い、俺をどこかへと案内し始める。エルフの里は、小説で出てくるような大きな木を利用して家にしているというわけではなく、森から切り出した木材を使って家を建てているというごく普通の家屋だった。やはり、そういうファンタジー的な建築は物語だけらしい。
そんな家の一つに案内されると、そこに待っていたのはやはりエルフだ。だが、他のエルフとは異なり見た目は若いがどこか厳かな雰囲気を纏っており、おそらくはこの里の長だと当たりを付ける。
「長老、連れてまいりました」
「うむ、ご苦労。さて、客人よ。わしはこの里の長老ファイレンじゃ。まずは里の者をモンスターから救ってくれたこと感謝する」
「ローランドだ。冒険者をやっている。成り行き上そうなっただけなので気にするな」
「そう言ってもらえると助かる。して、この里には家族の病気を治すための薬を求めてやってきたということじゃが、どういった症状か聞かせてもらえるかの?」
俺が森で遭遇したエルフたちを助けたことに頭を下げてきたので、特に気にしていないことを告げると、安堵の表情を浮かべる。おそらくこちらにモンスターを押し付けたという負い目があったためであるとなんとなく予想する。
先に報告に行ったエルフから俺の用向きを聞いていたのか、すぐにローラの病状を聞いてきた。俺としても、早く目的を達成できるに越したことはないため、すぐに妹の症状を説明する。
「という感じだ」
「ふむ、なるほど。であれば、あの薬が有効やもしれん。じゃが、これはちと厄介なことになったのう」
「どういうことだ?」
話を聞いてみると、ローラの病気に有効な薬に心当たりはあるものの、その薬を調合するために必要な素材の一つが取れる場所にあるモンスターが住み着いてしまい、ここ十数年その素材を取りに行けていないという話だった。エルフ側としてはなんとかその素材を手に入れるため、モンスターに気取られないよう密かに取りに行ってみたりもしたが、どいういいうわけか必ず見つかってしまうそうで、何人ものエルフが帰らぬ人となっているらしい。
「そこでどうじゃろう。モンスターをどうにかしてくれとまでは言わんが、その素材を持ち帰ることができた暁にはその薬を作ってやるというのは」
「なるほど。交換条件というやつか。いいだろう、それで問題ない」
俺としても薬さえ手に入れることができれば問題ないため、長老の提案を受けることにした。油断するつもりは毛頭ないが、仮にそのモンスターが襲ってきたとしても逃げるくらいはできるだろうし、俺をどうこうできるモンスターもそうそういないという自負もあったので、長老の提案は寧ろ願ったりな話であった。
それから、エルフの里に滞在する間寝泊まりする場所を確保しなければならないという話になり、ある一人のエルフの家に滞在が決まった。そのエルフとは、俺のことを興味深そうにちらちらと見ていたエルフの女だ。
その後改めて自己紹介があった。俺を受け入れてくれたエルフはルルミーレという名前のエルフであり、なんとリリエールの親族らしい。詳しく聞いてみたのだが、リリエールの祖父の兄弟の妻の子供の子供のそのまた子供らしく、それはもう赤の他人ではないのかという位に血の繋がりは薄いが、遠縁の親戚であることは間違いないようで、比較的エルフの中では社交的な性格をしていた。
そして、さらに気になったのが彼女の体である。彼女の家に向かう道中幾人ものエルフとすれ違ったが、総じてスレンダーな体型をしていた。だというのに、ルルミーレの体はエルフとは思えないほどに豊満な体つきをしていた。
髪と瞳は同じ金髪に緑色だが、肉付きが良く俗に言うぽっちゃりだ。だが、決して太っているわけではなく、出ているところは通常よりも出ていて引っ込んでいるところはしっかりと引っ込んでいるといった理想的な体なのだ。特に素晴らしいのがやはり胸部で、推定Kカップという例の宿の女将たちよりも巨大な乳房は圧巻の一言に尽きる。それでいて形が崩れている
などといった風でもなく、寧ろ綺麗な丸みを帯びた突き出た形をしている。所謂ロケットおっぱいである。
だが、周りの女性エルフを見てみると、彼女以外全員がスレンダーな体をしており、胸の大きさもCやD程度に留まっている。それが悪いというわけでもないのだが、ルルミーレ以外そういった体型のエルフがいないところを鑑みるに、エルフにとってルルミーレのような体は特異な体だというのが理解できる。
それ以外にも、他のエルフとすれ違う際、彼女を見るエルフたちの視線がどこか蔑みの色を含んでいるような気がしたことに加えて、ひそひそと聞こえてくる声の中に「あの奇形のルルミーレにはお似合いの役目だな」だの「余所者の相手など奇形で十分だ」などという蔑んだものがあったため、彼女の体が通常のエルフのものではないということがわかったのだ。
「お前、いじめられてるのか?」
どうしてもそのことが気になった俺は、思い切ってルルミーレに問い掛けてみることにした。多少なりとも聞きにくいことではあったが、彼女は意外にもあっけらかんとして答えてくれた。
「まあ、仕方ないわよ。見ての通りこんな体をしているし。でも、表立って何かしてくることもないし、無視されてるわけでもないから問題ないわよ」
「そうか」
彼女自身も自分の境遇に思うことはあるものの、同じエルフとして彼ら彼女らが自分に抱く感情を理解しているようで、仕方のないことだと切って捨てる。だが、その表情はどこか寂しそうであり、何となく今の境遇を憂いている様子だ。
「そういえば、家族は?」
「別のところに住んでるわよ。父と母と兄と妹」
ルルミーレの家族に挨拶をしようと思ったのだが、どうやら彼女が住んでいる場所には彼女しか住んでおらず、他の家族は里の中央寄りの場所に住んでいるらしい。どうして彼女だけでこんな里の端に住んでいるのかと思ったが、なんとなく理由を察してしまったため、それ以上の言及は避けることにした。
とりあえず、エルフの里に滞在している間は彼女の世話になることにした。里に到着した時は夕方頃だったため、長老に会いルルミーレの家で夕食をごちそうになった後、外は既に暗くなっていた。そのため、その日は休むことにする。
「じゃあ、俺は先に休ませてもらう」
「ああ、ローランド君。休む前にちょっといいかしら?」
「なんだ?」
寝る前にルルミーレに一言声を掛けると、彼女が前置きしてから俺に問い掛けてくる。一体なんだと思っていると、いきなり両腕を体の中心に寄せ、胸を強調するような仕草をしつつ、ある質問を投げ掛けてきた。
「人間から見たあたしってどうかしら? 魅力的に見える?」
「え?」
突然そんなことを言われて戸惑ったが、すぐに思ったままを口にする。
「まあ、人間の目から見ればすごく魅力的だと思うぞ」
「そう。それじゃあ、おやすみなさい」
それだけ言って、その日はそのまま眠りに就いた。
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