ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
299話「新たな土地へ」
シェルズ王国の国王にセコンド王国の一件を報告した翌日、俺は再びある場所へ向けて出立していた。
「セコンド王国よ私は帰ってきた」
などと某アニメのキャラクターの言い回しを流用しつつ、俺はシェルズ王国とセコンド王国の国境に瞬間移動してきていた。
相も変わらず、俺が張った結界はそこに在り続けており、それが破られた形跡はない。……まあ、当然と言えば当然だが。
今回の俺の目的は結界の確認ではないので、何もないことを確認するとすぐさま結界内へと侵入し、そこからさらに瞬間移動を使ってセコンド王国の王都ラティルザークへと転移した。
ここで状況を整理するために、各国の位置関係を今一度確認しておこう。まずシェルズ王国を中心として北西から南西方面にかけてセコンド王国があり、北東から南東方面にはセイバーダレス公国が存在する。
さらにセイバーダレスの東側にウルルと共に行ったウルグ大樹海があり、南東にはセラフ聖国が存在している。ここまでは実際に現地で確認しているため、間違いないはずだ。
問題はセコンド王国のさらに奥地にある諸国で、マルベルト領にいた頃無駄にあった書物の中からいろいろと調べていくと、現在は【ブロコリー共和国】という国が存在しているらしく、議会制によって議員の中から選ばれた代表者が首相という形で君臨しており、国の政を議会によって行う今の日本のような形態が取られているようだ。
元々、セコンド王国に隣接する国々は小国が多く、小国であるが故に領土拡大を目論んだセコンド王国が頻繁に侵略を繰り返していたらしいが、そんな諸国が纏まって一つになったのがブロコリー共和国という国だった。
言わば連合軍のようなものであり、いくらセコンド王国といえどいくつもの小国が一つになった組織体には手を出すことはできず、泣く泣く侵攻を諦めたという歴史があった。
これは余談だが、うちの元実家であるマルベルト男爵家がどうしてそこまで書物が多いのかと疑問に思い、国王に尋ねたことがあったが、どうやら我が父ゴンドールが先のセコンド王国との戦争の前の戦争で得た莫大な報奨金で買い集めたものらしい。
金に糸目を付けず、ある分だけ購入してしまった結果、大貴族にも負けないくらいの大きな書庫を用意しなければならないほどの規模になってしまったらしいと聞かされた。
“これから領主として勉強をしなければならない、勉強ならば本が必要だ。じゃあ本を集めよう”という理屈だったようだが、ものには限度というものがある。
そんな経緯があり、男爵家なのにも関わらず、大量の書物を抱えることになったわけだが、俺にとってはこの世界を知るという意味では大いに役に立ってくれた。
話を戻すが、そんな状況の中、何故俺が再びセコンド王国へやってきたのかといえば、ブロコリー共和国への視察である。
セコンド王国の王妃リリアンローズとの約束で、国の実権を握っている男どもをなんとかしてセコンド王国を掌握することができれば、他国との交易を再開する口添えをすることになっている。
現状セコンド王国と取引している国は表面上は皆無となっており、精々が一部の悪徳商人が法外な値段を吹っかけてボロ儲けしている程度の取引しかない。
当然、その程度の小さな規模の取引で国全体の需要を賄えるはずもなく、セコンド王国としては一日でも早い交易の再開を望んでいる。だが、国境に張られている結界の出現によって、その結界が張られることになった経緯を知った各国が「あの国と関わると、こちらも結界を張られかねない」と判断したことで、ある程度あった交易をすべてシャットアウトしてしまったのだ。
結界を張った張本人である俺としては、余程のことがない限りは国境すべてに結界を張るなどという大掛かりな魔法を使うようなことはしないつもりだ。そもそも、セコンド王国との交易自体は禁止しておらず、各国がそれぞれの独断で判断してセコンド王国との交易を断っただけであって、こちら側から積極的に何かしたわけではない。
ひとまずは、セコンド王国と隣接する国の一つであるブロコリー共和国へと赴き、上層部の意見を聞いておきたいところだ。
「というか、これって外交担当の人間がやることじゃないのか?」
今更ながら、自分のやっていることが国の外交問題に携わる大臣のような役割であるこに、半ば呆れと諦めのような複雑な感情が浮かんでくる。
このまま、何もかも放っておいて見て見ぬふりをすることは、おそらくできるだろうしそれをやったところで誰も文句を言う人間はいないだろう。だが、それをしてしまうと、俺個人の後味というか寝覚めが悪くなるというか……。
とにかく、ここまで深く関わっておいて「後のことは俺しーらね」では済まされない気がするため、とてつもなく面倒だがそれと同時に面倒でもやるっきゃないという使命感に駆られてしまうというどうしようもない感情が渦巻いていた。
「まったく、せっかく貴族の当主の座から逃げてきたのに、今やってることってそれ以上に大変なことなんじゃないか?」
“焼け石に水”、“暖簾に腕押し”、“糠に釘”などという無意味なことに対する皮肉めいた諺が一瞬頭の中に過ったが、寸でのところでその思いを握りつぶすことに成功する。
確かに、今までの行動を見ても貴族の領主として生きていくことと比べると、領主の方が楽な気もする。
どこの世界に魔族との対決やSSランクモンスターとの戦い、未だ底の見えない化け物師匠との地獄の特訓や隣国との戦争を一人の死者もなく止めるなど、常人の領域を遥かに凌駕してしまっている。
それに比べたら、男爵領の一つを赤字を出さずに経営することなど些末なことに思えてしまう。……今からでも、マークと代わってもらおうかな?
「いや、早まるなローランドよ。俺が次期当主候補から外れるために六年の歳月を掛けてきたんだ。その六年を無駄にしないためにも、これからの人生を謳歌すればいい」
今からでもマルベルト家に戻ろうかという考えを、何とか思いとどまることができた俺は、とにかく情報収集のため近くの村落に向かうことにする。
しばらく行ったところに小さな村を発見したので、村の人間に話を聞いたところ、村から二月ほど歩いたところにブロコリー共和国の首都があり、共和国の代表者もその都市にいるという情報が得られた。
常人であれば、途方もない距離ではあるが、こちらは空を飛ぶことができるため、長くとも数日で到着することができるだろう。まったく、異世界での飛行魔法は、まさにチートといっても過言ではない。
それに加えて、俺は一度行ったことがある場所という制約があるが、瞬間移動を使うことができ、まさに何でもありな状態になっている。
村人たちの情報を元に、共和国の中心部に向かって高速で飛び続けること四日。途中で休憩を入れつつ、シェルズ王国に様子を見に戻ったりしながらも、ついにブロコリー共和国の首都に辿り着いたのだった。
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