ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
179話「証拠隠滅と雇用」
【作者の一言】
例の副反応から復活しますた!
でもプロットがないのは相変わらずです( ̄д ̄)ノ
――――――――――――――――――――――――
闇ギルドへと戻ってきた俺は、拘束されているギルドマスターを三角座りで見張っている彼女に声を掛けた。
「見張りご苦労。もういいぞ」
「……」
俺が声を掛けると、立ち上がってそのまま無言でこちらを見てくる。特に話すこともないのだが、無表情な顔と相まって、何だか微妙に居心地が悪い。
「さて、国王にもこの闇ギルドの場所も伝えたし、あとはお前の処遇についてだが……」
そう言いながら、未だ無表情な顔をこちらに向けてくる彼女に向かってつぶやく。そして、改めて彼女のステータスを確認する。
【名前】:なし
【年齢】:十九歳
【性別】:女
【種族】:人間
【職業】:暗殺者
体力:6000
魔力:4000
筋力:B+
耐久力:B-
素早さ:S
器用さ:C+
精神力:A
抵抗力:S+
幸運:A
【スキル】
身体強化Lv8、気配察知Lv8、隠密Lv6、魔力制御Lv1、魔力操作Lv1、
火魔法Lv0、水魔法Lv0、風魔法Lv0、土魔法Lv0、格闘術Lv7、短剣術Lv7、暗殺術Lv5、集中Lv3
【状態】
忠誠(極大)
能力としては、今の俺からすればそこそこといった具合だが、一般的な視点から見れば決して悪くはない能力をしている。魔力制御と魔力操作があることから、どうやら彼女には魔法の才能があるようだ。
それにしても状態が忠誠となっているが、これは誰に対しての忠誠なんだろうか。まさかとは思うが、俺じゃあないだろうな?
「あー、コホン。お前さえよければ俺に雇われる気はないか?」
「っ!?」
俺は王都の屋敷の裏の使用人として彼女を雇うべくそう切り出してみたのだが、俺の勧誘を聞くや否や片膝を付いて平伏し出した。……なにをやっているんだお前は?
「……何の真似だ?」
「一生お側で仕えますのん」
「やっぱり忠誠の対象って俺かよ!!」
「……?」
認めたくない事実ではあるが、彼女の忠誠は俺に向けられていたようだ。何がどうしてそうなったと誰かに問い質したいところではあるが、とりあえず決めなければならないことがある。
「お前を雇い入れるにあたって、名前がないのは不便だ。だから、勝手に付けさせてもらうが構わないか?」
「っ!? ……(コクコクコクコク)!!」
彼女には、どういう訳か名前がない。理由を聞いてみると、生まれた時からずっと一人で生きてきたため、名付けてくれる親もいなければ名前を呼んでくれる人間もいなかったらしい。
だから、呼びやすいように名前を付けようと提案したのだが、首がもげるのではないかというくらいにこくこくと首を縦に振り続けている。表情もどことなく輝いており、どうやら嬉しい様子だ。
名前を付けるとは言ったものの、こういったことはあまり得意な方ではない。かといって、今更苦手だからと名付けをしないのは先ほどの彼女の顔を見た後では心苦しい。
(そういえば、スイートポテトを食べている姿がもち丸に似ていたな。もち丸……モッチー、モチモチ、オモチ。よし、決めた!)
餅に関する名前で攻めてみたが、どれもしっくりくるものがなかったので、ここはフィーリングとノリに任せて名付けることにした。
「今日からお前はモチャだ。よろしく頼むぞ」
「モチャ……モチャ……。私の名前は、モチャですのん」
俺が付けた名前を何度も反芻しながら口にし、しばらくして納得したかのように名付けたばかりの名前を名乗った。
その顔は今まで見てきた彼女の顔の中でも一番輝いており、彼女の整った顔立ちと真っ白な肌と髪を一際に美しく引き立たせていた。
「とりあえず、お前には俺の屋敷の使用人として働いてもらうことになるが、当然裏方の仕事になるからそのつもりでいてくれ」
「……いいのですのん? 私、いっぱい人を殺したですのん」
「お前が暗殺をしていたのは、この闇ギルドだけでか? 他の場所で暗殺の仕事をしていたことはないんだな?」
「……? そうですのん」
俺の質問の意図が理解できないのか、可愛らしく小首を傾げながらもそう返答するモチャを尻目に、俺は未だ拘束しているギルドマスターに問い掛ける。
「おい、この子が関わった暗殺依頼の依頼書はどこにある?」
「けっ、誰がそんな大事なこと。教える訳がねぇだろうが!!」
「いいから時間がないんだ。とっとと教えろ」
ギルドマスターに依頼書が保管されている場所を尋ねるも、さすがに素直に喋ってくれる訳もなく、頑なに拒否されてしまう。早くしないと国王の指示を受けた騎士たちが闇ギルドに雪崩れ込んでくる可能性があったため、速攻で精神掌握の魔法で依頼書の在り処を吐かせた。
「これが依頼書のようだな。おい、モチャが関わった依頼書はどれだ?」
「“白”という名前が記入された依頼書になります……」
どうやら、モチャはその見た目から白という名前で呼ばれていたらしいが、本人を呼ぶときは“おい”や“お前”などと呼ばれていたため、解析で調べても名前が表示されなかったようだ。
ギルドマスターの言葉に従い、白と記載された依頼書すべてを集め、それをすべて火魔法で焼却していく。疑わしきはなんとやらで、証拠がなければ罰することはできなくなるため、これでモチャが罪に問われることはなくなるはずだ。
俺は悪人ではないが、善良な精神を持った善人でもない。この世界で多くの人を救済しているが、それはすべて俺の都合によるところが大きい。
であるからして、必要とあれば国が定めた法を犯すことだってあるし、倫理上問題とされているような言動を取ることもあるのだ。
依頼書の他にもモチャが闇ギルドに関わっていた証拠品すべてを処分し、これでモチャが闇ギルドに関わりのある人物であるという証拠がこの世から消失した。
「よし、これでお前が捕まることはなくなった」
「……」
「これでお前がしてきた罪が消えるわけじゃないが、お前がしてきたことを償うためにも、これからはお前の能力を良い行いのために使って困っている人を助けろ」
「あ、ありがとう、ですのん……」
闇ギルドから解放されたことで、今まで縛られていたものがなくなったモチャが涙を流して俺に感謝する。だが、もしかすると大変なのはこれからかもしれないという言葉を飲み込み、俺はモチャが泣き止むのを待って彼女をソバスたち屋敷の人間に紹介するため、闇ギルドを後にした。
例の副反応から復活しますた!
でもプロットがないのは相変わらずです( ̄д ̄)ノ
――――――――――――――――――――――――
闇ギルドへと戻ってきた俺は、拘束されているギルドマスターを三角座りで見張っている彼女に声を掛けた。
「見張りご苦労。もういいぞ」
「……」
俺が声を掛けると、立ち上がってそのまま無言でこちらを見てくる。特に話すこともないのだが、無表情な顔と相まって、何だか微妙に居心地が悪い。
「さて、国王にもこの闇ギルドの場所も伝えたし、あとはお前の処遇についてだが……」
そう言いながら、未だ無表情な顔をこちらに向けてくる彼女に向かってつぶやく。そして、改めて彼女のステータスを確認する。
【名前】:なし
【年齢】:十九歳
【性別】:女
【種族】:人間
【職業】:暗殺者
体力:6000
魔力:4000
筋力:B+
耐久力:B-
素早さ:S
器用さ:C+
精神力:A
抵抗力:S+
幸運:A
【スキル】
身体強化Lv8、気配察知Lv8、隠密Lv6、魔力制御Lv1、魔力操作Lv1、
火魔法Lv0、水魔法Lv0、風魔法Lv0、土魔法Lv0、格闘術Lv7、短剣術Lv7、暗殺術Lv5、集中Lv3
【状態】
忠誠(極大)
能力としては、今の俺からすればそこそこといった具合だが、一般的な視点から見れば決して悪くはない能力をしている。魔力制御と魔力操作があることから、どうやら彼女には魔法の才能があるようだ。
それにしても状態が忠誠となっているが、これは誰に対しての忠誠なんだろうか。まさかとは思うが、俺じゃあないだろうな?
「あー、コホン。お前さえよければ俺に雇われる気はないか?」
「っ!?」
俺は王都の屋敷の裏の使用人として彼女を雇うべくそう切り出してみたのだが、俺の勧誘を聞くや否や片膝を付いて平伏し出した。……なにをやっているんだお前は?
「……何の真似だ?」
「一生お側で仕えますのん」
「やっぱり忠誠の対象って俺かよ!!」
「……?」
認めたくない事実ではあるが、彼女の忠誠は俺に向けられていたようだ。何がどうしてそうなったと誰かに問い質したいところではあるが、とりあえず決めなければならないことがある。
「お前を雇い入れるにあたって、名前がないのは不便だ。だから、勝手に付けさせてもらうが構わないか?」
「っ!? ……(コクコクコクコク)!!」
彼女には、どういう訳か名前がない。理由を聞いてみると、生まれた時からずっと一人で生きてきたため、名付けてくれる親もいなければ名前を呼んでくれる人間もいなかったらしい。
だから、呼びやすいように名前を付けようと提案したのだが、首がもげるのではないかというくらいにこくこくと首を縦に振り続けている。表情もどことなく輝いており、どうやら嬉しい様子だ。
名前を付けるとは言ったものの、こういったことはあまり得意な方ではない。かといって、今更苦手だからと名付けをしないのは先ほどの彼女の顔を見た後では心苦しい。
(そういえば、スイートポテトを食べている姿がもち丸に似ていたな。もち丸……モッチー、モチモチ、オモチ。よし、決めた!)
餅に関する名前で攻めてみたが、どれもしっくりくるものがなかったので、ここはフィーリングとノリに任せて名付けることにした。
「今日からお前はモチャだ。よろしく頼むぞ」
「モチャ……モチャ……。私の名前は、モチャですのん」
俺が付けた名前を何度も反芻しながら口にし、しばらくして納得したかのように名付けたばかりの名前を名乗った。
その顔は今まで見てきた彼女の顔の中でも一番輝いており、彼女の整った顔立ちと真っ白な肌と髪を一際に美しく引き立たせていた。
「とりあえず、お前には俺の屋敷の使用人として働いてもらうことになるが、当然裏方の仕事になるからそのつもりでいてくれ」
「……いいのですのん? 私、いっぱい人を殺したですのん」
「お前が暗殺をしていたのは、この闇ギルドだけでか? 他の場所で暗殺の仕事をしていたことはないんだな?」
「……? そうですのん」
俺の質問の意図が理解できないのか、可愛らしく小首を傾げながらもそう返答するモチャを尻目に、俺は未だ拘束しているギルドマスターに問い掛ける。
「おい、この子が関わった暗殺依頼の依頼書はどこにある?」
「けっ、誰がそんな大事なこと。教える訳がねぇだろうが!!」
「いいから時間がないんだ。とっとと教えろ」
ギルドマスターに依頼書が保管されている場所を尋ねるも、さすがに素直に喋ってくれる訳もなく、頑なに拒否されてしまう。早くしないと国王の指示を受けた騎士たちが闇ギルドに雪崩れ込んでくる可能性があったため、速攻で精神掌握の魔法で依頼書の在り処を吐かせた。
「これが依頼書のようだな。おい、モチャが関わった依頼書はどれだ?」
「“白”という名前が記入された依頼書になります……」
どうやら、モチャはその見た目から白という名前で呼ばれていたらしいが、本人を呼ぶときは“おい”や“お前”などと呼ばれていたため、解析で調べても名前が表示されなかったようだ。
ギルドマスターの言葉に従い、白と記載された依頼書すべてを集め、それをすべて火魔法で焼却していく。疑わしきはなんとやらで、証拠がなければ罰することはできなくなるため、これでモチャが罪に問われることはなくなるはずだ。
俺は悪人ではないが、善良な精神を持った善人でもない。この世界で多くの人を救済しているが、それはすべて俺の都合によるところが大きい。
であるからして、必要とあれば国が定めた法を犯すことだってあるし、倫理上問題とされているような言動を取ることもあるのだ。
依頼書の他にもモチャが闇ギルドに関わっていた証拠品すべてを処分し、これでモチャが闇ギルドに関わりのある人物であるという証拠がこの世から消失した。
「よし、これでお前が捕まることはなくなった」
「……」
「これでお前がしてきた罪が消えるわけじゃないが、お前がしてきたことを償うためにも、これからはお前の能力を良い行いのために使って困っている人を助けろ」
「あ、ありがとう、ですのん……」
闇ギルドから解放されたことで、今まで縛られていたものがなくなったモチャが涙を流して俺に感謝する。だが、もしかすると大変なのはこれからかもしれないという言葉を飲み込み、俺はモチャが泣き止むのを待って彼女をソバスたち屋敷の人間に紹介するため、闇ギルドを後にした。
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