ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
176話「マチャドの勘違いと情報収集」
【作者から一言】
新型コロナのワクチン打ったら、副作用で熱が出ちまったぜ……(2021年10月31日)
ということを言い訳に少々短めでお届けしております。
――――――――――――――――――――――――
目の前で起きている出来事に叫び声を上げるマチャドであったが、それが外部に漏れることはない。俺の魔法を使って音が漏れないようにしているからだ。
マチャドの情けない声を聞き流しつつ、俺は捉えた賊から話を聞こうと部屋を明るくする魔法を使った。
明るくなった部屋にいたのは、全身を黒ずくめにしたいかにも暗殺者という風貌の人物だった。引き締まったしなやかな肉体は、夜の闇を音もなく駆けることに適しており、闇に生きる者に相応しい。
そして、意外にも纏っている薄い装束からはくびれた腰と膨れ上がった臀部が艶めかしく自己を主張する。その最たるものとして、胸部を押し上げる二つの膨らみはその者が女であるということを如実に物語っている。そう、マチャドの部屋に侵入したのは女の暗殺者だったのである。
「……」
「さて、お前にはいくつか聞きたいことがあるんだが、素直に喋ってくれるとは俺も思っていない。だから、始めるぞ?」
「ちょ、ちょちょちょっと待ってください! ダメですローランド様!! いくら相手から情報を聞き出すためとはいえ、まだ成人していないローランド様がそれをやるには些か不適切なのではないでしょうか!?」
「……お前は何を言っているんだ?」
女の暗殺者から情報を聞き出そうとしたところ、マチャドが捲し立てるように訳のわからないことを宣い出した。だが、前世の分を入れて七十年以上も生きている俺の経験が、マチャドが何を言いたかったのか理解させると同時に、真っ先にその考えに至ることに若干の呆れの感情を覚えさせる。
「ですから、ここは人生の先輩である僕が彼女の相手を――いだっ!」
「どうやら、まだ寝ぼけているらしいな。誰がそんなことをすると言ったんだ?」
「えぇ? だって、彼女から情報を聞き出すんですよね? だったら……」
「なんで、情報を聞き出す手段がそれ一択なんだよ? それにこういう人間っていうのは、ありとあらゆる拷問に耐えるだけの訓練を受けてきてるから、俺ら如きじゃ口を割らせるどころか満足させることすらできないと思うぞ? 寧ろ、“その程度なんですか?”って鼻で笑われたいのか?」
「うっ」
情報聞き出す=拷問=女に対して行う拷問=ピンク色な行為という方程式がマチャドの中で成り立っていたようで、まだ成人していない俺がそういった行為に及ぶことを咎めた形になったようだ。
尤も、俺になりかわって彼女の相手をするつもりのような言動が見受けられることから、ただ純粋にそういったことをやりたいだけなのかもしれない。
マチャドの馬鹿な発言に対し、頭にチョップを落とすことで制裁とし、俺は女から情報を引き出すことにする。
「おい、俺の目を見ろ」
「……」
相手の精神を掌握する魔法を使って、俺は女をなんでも言うことを聞いてしまう操り人形へと変える。何でも言うことを聞くが、決してそういうことはしないからな?
「まずはお前の名前を聞こうか」
「私は影ですのん。最初から名前はないですのん」
少し変わった口調の女だったが、気にすることなく情報を引き出してく。彼女の話では、彼女は主に暗殺家業を生業とする闇ギルドに所属しており、今回マチャドを暗殺する依頼が舞い込んできたため、それを実行に移した形ということらしい。
しかも、闇ギルドの上層部が慎重なやり方を敷いているのか、依頼主がどこの誰かは彼女自身聞かされておらず、ただ純粋に標的のマチャドを暗殺するという情報のみ与えられていたようだ。
つまりは、彼女自身から得られた情報は、任務が失敗したことで相手に漏れてもいい情報のみしか与えられておらず、目ぼしい情報を得ることができなかったのだ。
これは闇ギルドがそれだけ慎重な動きを見せているということであり、かなりのやり手であるということが窺い知れる。
「ふむ、相手も一筋縄じゃいかないってことか……」
「ローランド様どうするんですか?」
「なぁに、実際の実行犯は確保しているし、まだこの女から闇ギルドの拠点の情報を引き出していない。彼女が知らないなら、知っている人間に聞けばいいだけの話だ」
「……殺せ」
洗脳を解いた彼女の口から、そのような言葉が突いて出る。そりゃ、任務を失敗したことに加えて敵に情報を話してしまった時点で、彼女を生かしておく理由は闇ギルドにはない。どのみち制裁のために彼女は闇ギルドに消されることになるだろう。
「だが断る。いかなる場合においても、敗者の生殺与奪は勝者である人間に委ねられている。お前は俺に負けた。つまりは、生かすか殺すかは勝者である俺にその権利がある。そして、俺はお前を殺さない。いや、殺してやらない。生きていることがお前への罰だ。わかったら、とっとと闇ギルドのアジトの場所を教えるんだ」
「……」
その後、ささやかながらの抵抗として、だんまりを決め込んでいた彼女だったが、再び精神を掌握してやるとあっさりと情報を引き出せた。とりあえず、彼女から聞くべきことは聞き終えたので、今からちょっと闇ギルドの本拠地に乗り込むとしようかね。
新型コロナのワクチン打ったら、副作用で熱が出ちまったぜ……(2021年10月31日)
ということを言い訳に少々短めでお届けしております。
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目の前で起きている出来事に叫び声を上げるマチャドであったが、それが外部に漏れることはない。俺の魔法を使って音が漏れないようにしているからだ。
マチャドの情けない声を聞き流しつつ、俺は捉えた賊から話を聞こうと部屋を明るくする魔法を使った。
明るくなった部屋にいたのは、全身を黒ずくめにしたいかにも暗殺者という風貌の人物だった。引き締まったしなやかな肉体は、夜の闇を音もなく駆けることに適しており、闇に生きる者に相応しい。
そして、意外にも纏っている薄い装束からはくびれた腰と膨れ上がった臀部が艶めかしく自己を主張する。その最たるものとして、胸部を押し上げる二つの膨らみはその者が女であるということを如実に物語っている。そう、マチャドの部屋に侵入したのは女の暗殺者だったのである。
「……」
「さて、お前にはいくつか聞きたいことがあるんだが、素直に喋ってくれるとは俺も思っていない。だから、始めるぞ?」
「ちょ、ちょちょちょっと待ってください! ダメですローランド様!! いくら相手から情報を聞き出すためとはいえ、まだ成人していないローランド様がそれをやるには些か不適切なのではないでしょうか!?」
「……お前は何を言っているんだ?」
女の暗殺者から情報を聞き出そうとしたところ、マチャドが捲し立てるように訳のわからないことを宣い出した。だが、前世の分を入れて七十年以上も生きている俺の経験が、マチャドが何を言いたかったのか理解させると同時に、真っ先にその考えに至ることに若干の呆れの感情を覚えさせる。
「ですから、ここは人生の先輩である僕が彼女の相手を――いだっ!」
「どうやら、まだ寝ぼけているらしいな。誰がそんなことをすると言ったんだ?」
「えぇ? だって、彼女から情報を聞き出すんですよね? だったら……」
「なんで、情報を聞き出す手段がそれ一択なんだよ? それにこういう人間っていうのは、ありとあらゆる拷問に耐えるだけの訓練を受けてきてるから、俺ら如きじゃ口を割らせるどころか満足させることすらできないと思うぞ? 寧ろ、“その程度なんですか?”って鼻で笑われたいのか?」
「うっ」
情報聞き出す=拷問=女に対して行う拷問=ピンク色な行為という方程式がマチャドの中で成り立っていたようで、まだ成人していない俺がそういった行為に及ぶことを咎めた形になったようだ。
尤も、俺になりかわって彼女の相手をするつもりのような言動が見受けられることから、ただ純粋にそういったことをやりたいだけなのかもしれない。
マチャドの馬鹿な発言に対し、頭にチョップを落とすことで制裁とし、俺は女から情報を引き出すことにする。
「おい、俺の目を見ろ」
「……」
相手の精神を掌握する魔法を使って、俺は女をなんでも言うことを聞いてしまう操り人形へと変える。何でも言うことを聞くが、決してそういうことはしないからな?
「まずはお前の名前を聞こうか」
「私は影ですのん。最初から名前はないですのん」
少し変わった口調の女だったが、気にすることなく情報を引き出してく。彼女の話では、彼女は主に暗殺家業を生業とする闇ギルドに所属しており、今回マチャドを暗殺する依頼が舞い込んできたため、それを実行に移した形ということらしい。
しかも、闇ギルドの上層部が慎重なやり方を敷いているのか、依頼主がどこの誰かは彼女自身聞かされておらず、ただ純粋に標的のマチャドを暗殺するという情報のみ与えられていたようだ。
つまりは、彼女自身から得られた情報は、任務が失敗したことで相手に漏れてもいい情報のみしか与えられておらず、目ぼしい情報を得ることができなかったのだ。
これは闇ギルドがそれだけ慎重な動きを見せているということであり、かなりのやり手であるということが窺い知れる。
「ふむ、相手も一筋縄じゃいかないってことか……」
「ローランド様どうするんですか?」
「なぁに、実際の実行犯は確保しているし、まだこの女から闇ギルドの拠点の情報を引き出していない。彼女が知らないなら、知っている人間に聞けばいいだけの話だ」
「……殺せ」
洗脳を解いた彼女の口から、そのような言葉が突いて出る。そりゃ、任務を失敗したことに加えて敵に情報を話してしまった時点で、彼女を生かしておく理由は闇ギルドにはない。どのみち制裁のために彼女は闇ギルドに消されることになるだろう。
「だが断る。いかなる場合においても、敗者の生殺与奪は勝者である人間に委ねられている。お前は俺に負けた。つまりは、生かすか殺すかは勝者である俺にその権利がある。そして、俺はお前を殺さない。いや、殺してやらない。生きていることがお前への罰だ。わかったら、とっとと闇ギルドのアジトの場所を教えるんだ」
「……」
その後、ささやかながらの抵抗として、だんまりを決め込んでいた彼女だったが、再び精神を掌握してやるとあっさりと情報を引き出せた。とりあえず、彼女から聞くべきことは聞き終えたので、今からちょっと闇ギルドの本拠地に乗り込むとしようかね。
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