ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
171話「遅れてきた報酬と勲章」
翌日、報告を兼ねて俺はシェルズ王国の国王の下へと赴いた。王女と出会うリスクが高いが、一度国王に会わなければならないため、リスクは承知の上だ。
そのまま国王の執務室に瞬間移動をして、もし王女たちがいれば再び瞬間移動で逃げればいいだけの話だ。
「久しぶりだな」
「お前はまたいきなりだな」
「そうなったのは、あんたにも責任があるんじゃないのか?」
もとはと言えば、王女達の暴走を止められなかった国王にも責任の一端があることは明白であり、仮に国王が王女の暴走を止めていれば俺がセイバーダレスへ逃げることもなかったのだから。
そのことに気付いていないはずはない国王が、俺のジト目を受け複雑な表情を浮かべている。俺としては、他国に亡命するという手段がある以上今回の一件についてそれほど恨んではいないのだが、だからといってさらりと水に流していい問題でもないと考えている。
「そのことについてはすまないと思っている。まさか、娘があそこまでの強行に出るとは予想していなかったのだ。俺としては、お前との顔繫ぎがしたかったのだがな……」
「完全に裏目に出てしまったな」
自身の思惑が外れてしまい、残念そうなため息を吐く国王を尻目に、俺は国王の下へと来た用向きを伝える。
「とりあえず、セイバーダレスでの経緯は聞いているか?」
「大まかなことは大体はな。説明してくれるのだろう?」
「難しいことはない。セイバーダレスの大公の依頼を受けたら、いつの間にか英雄になっていたという話だ」
「それじゃあわからんじゃないか……もう少し詳しく話してくれ」
少々面倒ではあったが、俺はセイバーダレスで起こった出来事の詳細を話してやった。すると、話を聞いていくうちに国王の態度から呆れを含んだような視線を向けられていくのがわかった。
そして、最終的には頭を抱えた国王から力のない一言を頂いたのである。
「どこの世界に、他国へ観光のついでにマンティコアを討伐する奴がいるのだ!」
「ここにいるじゃないか」
「……」
ますますもって頭を抱えてしまった国王を放っておき、俺は本題を切り出すことにした。
「それよりも、オクトパスの報酬を受け取っていなかったから、それをもらおうか」
「あ、ああ。確か商業区にある土地と御用商人の息子か弟子の紹介だったな。これが土地の権利書だ。それと、御用商人の息子については【アッファーリ商会】の三男が適任だと思うから、この紹介状を持っていけば紹介してくれるはずだ」
「わかった。じゃあそういうことで――」
「待て、まだ終わっとらん」
土地の権利書と紹介状を受け取ると、そのままとんずらしてやろうと思っていたが、その思考を先読みしたかのように国王が引き留める。何事かと思ったその時、突然目の前に重そうな袋を出される。
「これは?」
「オクトパス討伐の褒賞金だ。セイバーダレスのマンティコアを討伐した時にも出たのだから、当然オクトパス討伐でも出てもおかしくないだろう? セイバーダレスほどではないが、ここに二千枚の大金貨を用意した。それとこれも持っていけ」
大金貨の他にも、国王は俺に何か渡したいらしく、仰々しい袋を渡してくる。袋の中身は、ミスリル一等勲章のような豪華な造りの勲章であった。
「勲章か?」
「そうだ。オクトパス討伐により【戦陣一等勲章】をお前に授与する。本当なら謁見で渡したかったが、直接の方がいいと思ってな」
「もらえるものなら、もらっておこう」
それから、特にこれといった話はせず、他愛のない話とお土産のタコ焼きとスイートポテトを渡して俺はすぐに執務室を後にした。
部屋を後にする際、俺の感覚操作に王女の気配が迫っていたので、どうやら俺が城に来ていることがバレたが、ぎりぎり逃げることができたようだ。
なにはともあれ、もらい損ねたオクトパスの報酬を受け取ることができたのは、俺にとってプラスだったので、よしとしよう。
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