ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
62話「決着」
「まずは能力の把握だな」
そう言いながら、まずはオークキングの力がどの程度なのか調べるため【鑑定】を使用する。その結果以下のような内容が表示された。
【名前】:オークキング
【年齢】:十歳
【性別】:
【種族】:オーク種・キング種
【職業】:なし(Aランク)
体力:4800
魔力:2500
筋力:A
耐久力:A+
素早さ:B+
器用さ:A
精神力:A-
抵抗力:B-
幸運:B-
【スキル】:突進Lv8、咆哮Lv8、身体強化Lv7、絶倫LvMAX、棍棒術Lv8、
統率Lv8、格闘術Lv5、土魔法Lv5、魔力制御Lv3、魔力操作Lv3
やはりというべきかなんというか、一つの種族の頂点だけあってかなりの強さを持っている。物理に特化しているのはもちろんのこと、魔法も使えるようだ。
各スキルもかなり高く、下位種の弱点だった抵抗力も高くなっている。今の俺が真正面からやりあっても、勝てる確率は十回に一回といったところだろう。しかも高く見積もってだ。
そんなとんでもない化け物を、自分よりも能力の劣るギルムザックたちに相手させようとしていることに若干の罪悪感を抱かないでもないが、今はそんな細かいことは抜きにして戦いを始めることにする。
「ブモォォォォオオオオオオ」
「ぐっ、咆哮か」
こちらを威嚇するかのようにオークキングから放たれた大音声の咆哮により、一瞬身を縮こまらせる。俺やギルムザックたちはその程度で済んでいるが、他の冒険者たちはそれだけで恐慌状態へと陥っているようだ。
目の前には、人では絶対に勝てないと思わせるほどの存在感を纏った相手がいるのだ。並の人間であれば、生きることを諦めてしまうほど目の前のオークキングは強大であった。
オークジェネラルよりもさらに大きな体格に、発達した牙を口から生やしている。頭部には、まるで自分こそがオークの王であるかと言わんばかりに、二本の角が生え揃っている。
そんな漫画やアニメにしか出てこないようなでたらめな存在が、一歩一歩とこちらに近づいてくるのだ。これとまともに戦おうとすること自体が無謀と言っても過言ではない。
しかしながら、我々は戦わなければならいのである。オークキング以外のオークはすでに片付いていたが、残った奴をどうにかしなければ、再び群れを作り復讐のためまた街を襲ってくるのは目に見えていた。
(こりゃ、あいつらだけでどうにかできるレベルじゃないな……仕方ない、俺もがっつり参戦するしかねぇな)
想像していたよりもオークキングの力が強大過ぎたため、ギルムザックたちでは荷が重いと判断した俺は、奴との戦いに参戦する決意を新たにする。
「ヨクモワガドウホウヲコロシテクレタナ。コンドハキサマラヲミナゴロシニシテヤル」
「け、やれるもんならやってみやがれ! いくぞお前ら、特訓の成果を見せるんだ!!」
「「「おう(はい)!」」」
ギルムザックの掛け声に他の三人が呼応する。ひとまず俺は、彼らの動きを見るべく傍観を決め込むことにした。
四メートルは下らない巨体を揺らしながら、巨大な棍棒を手にオークキングが歩み寄る。そして、自分の間合いに入ったところで棍棒を振り上げようとする。だが、その動きはそれよりも早く動いていたギルムザックの大剣の一撃によって阻害された。
いきなり棍棒の側面を打ち据えられたことで、本来振り上げるはずだった棍棒が横へ流れてしまう。思ったよりも力のある攻撃にオークキングの警戒が数段引き上げられるのを感じ取った。
「ヤルデハナイカ。ムシケラノブンザイデ」
「その虫けらに、お前は倒されるんだ。光栄に思うんだな」
「フン、ホザケ」
次にオークキングは棍棒を横薙ぎに打ち払ってきたが、それを難なく回避する。それから数度一進一退の攻防が続いたが、ギルムザックの動きに合わせた仲間の連携が活き始める。
アズールのスピードを活かした牽制に、アキーニのカウンター攻撃が直撃し、メイリーンの火力の高い魔法が炸裂する。
そのあまりの見事さに他の冒険者が立ち入る隙がなく、ただただ戦況を見守ることしかできないほどに高レベルの戦いが繰り広げられている。
(なかなか、できるようになったじゃないか。これなら致命傷を避ける程度のカバーで十分だな)
連携の取れた攻防によって徐々に追い詰められ始めるオークキングだったが、ここに来てオークキングが本気になった。
「ブモォォォォオオオオオオ」
「ぐはっ」
「きゃあ」
「うわっ」
「きゃっ」
オークキングの土魔法で作った石の礫が、ギルムザックたちに襲い掛かる。それをまともにくらった四人から苦痛の声が上がった。
その隙を突くように、振り上げられた棍棒を地面に叩きつける。身体強化を伴った棍棒の打ち下ろしは強烈で、その衝撃で地面が抉れその衝撃によって四人が吹き飛ばされてしまう。
そんなギルムザックたちの姿に嘲笑のような笑いを浮かべ、追い打ちを掛けるべくさらに棍棒を振り上げようとするオークキングの姿が映った。
「コレデオシマイダ。シヌガイイ」
「それはちょっと困るなー」
ギルムザックたちが地面に伏したままの状態で、次の攻撃に対処できないと判断した俺は、身体強化を体に纏わせ地面を蹴った。
弾丸のようにオークキングの懐に飛び込み、その土手っ腹目掛け渾身の蹴りを放った。
あの女魔族の時よりもさらに強化されたパラメータとスキルの力により、さしものオークキングでもその場に留まることは叶わず、後退させられることになる。
自身の体に衝撃を与えた存在を視認すると、忌々しいといった感じで睨みつけてくる。
「ジャマヲスルナ。ニンゲンノコゾウ」
「邪魔なのはこちらとて同じだ。大人しく死んでもらおうか」
そう言い放った俺は、両手を突き出し魔力を集中させる。高レベルの魔力制御と魔力操作により瞬く間に魔力が貯まり、魔法を打つ準備が整う。
「くらえ! 【グラウンドクラッシュ】!!」
オークキングを挟む形で奴の前後に二枚の土壁が出現し、まるでサンドイッチの具のように挟まれる結果となる。
しかしながら、鋼の肉体を持つオークキングにはあまり効果がなく、即座に土壁の拘束から逃れられてしまう。
「ならば……これはどうだ! 【ライボルトボム】!!」
「グォォォオオオオオ」
効果がいまひとつだったグラウンドクラッシュを見切り、即座に別種類の魔法を唱える。某漫画の必殺技のように両手に電撃を帯びた雷の球を出現させ、それを放つ。
鋼の肉体を持つオークキングだが、その内部までは頑強ではない。体内を駆け巡った雷がオークキングの細胞に深刻なダメージを与える。
しかし、それでも致命傷には至らず、未だその戦意は衰えることはなかった。だが、確実にダメージがあったことは大きい進歩であるため、さらに魔法攻撃を加えていった。
「オ、オノレ……ニンゲンノブンザイデ」
「チェックメイトだな。おいお前ら、全員で止めを刺せ」
「えー、こんだけやっといて、そりゃあないんじゃ……」
「いいからやれ」
もう動くこともできなくなったオークキングを前に、ギルムザックたちにラストアタックを譲る。今回どうしても彼らの手柄にしなければならないのだ。
最後まで四人はごねたが、師匠権限を行使することでなんとか止めを刺すことを渋々ながら了承する。そして、実にあっけなくオークキングはその最後を迎えるのだった。
すべてのオークが全滅したことで街の脅威は去り、次の瞬間には喜びの歓声が戦場に響き渡った。
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