【短編】傾国の悪女は、王太子殿下を誑かして、本気で国盗りをするそうです。

笛路

1話


 ――――傾国? 上等じゃない。



 候爵家こうしゃくけ当主であるお父様が病に倒れ、保養地で養生することになりました。そしてお母様はお父様のお側にいたがり、保養地に行ってしまいました。
 候爵家こうしゃくけの系列に、領地の運営を任せることができる人材が少なかったこともあり、一人娘である私に白羽の矢が立ってしまいました。

「――――わかったわ」

 婚約者に力を貸して欲しいと伝えると、結婚してからなら運営を手伝うが、それ以前に強要されるいわれはない。と言われてしまいました。
 先ず、『手伝う』という感覚が気に食わないわ……。
 なぜなら、我が候爵家こうしゃくけを引き継ぐことを前提に彼と婚約を結んだのだから。

「では、貴方あなたとの婚約を解消いたします」
「はぁ? 両家の契約をお前の一存で取りやめるなどできないぞ!」
「現在、当主代行は私です。書類もございます。あとは貴方あなたのお父様と話し合いますわ」
「なぜ私と話し合わないっ!」

 はぁ、こんなに頭が悪いとは思わなかったわ。
 お父様、親友の息子とはいえ、色眼鏡で見過ぎ。これ、いろいろと駄目男ですよ?

貴方あなたは伯爵家のただの子供。称号も何もない、ただの子供なので?」
「…………っ、そうか! そうやって地位だけで俺を下に見ていたんだな! アマンダ、お前みたいな悪女、こっちからお断りだ!」

 人手が足りず、ウルバス伯爵家はくしゃくけのサロンで婚約者であるイーライ様にご相談に来ましたら、婚約が破棄になったうえに、顔面に紅茶をぶち掛けられました。
 折角きれいに纏め上げた赤い髪はぐしょぐしょ。お気に入りの淡い緑色のドレスが茶色く染まってしまいました。

「あら、まぁ。そこの貴方あなた、伯爵を今すぐこちらに」
かしこまりました」

 入り口に控えていたウルバスの執事に声をかけると、恭しく礼をしました。そして、メイドに指示を出し伯爵を呼びに行かせると、自身は私をイーライ様から守るためサロン内にとどまるなど、素早い対応していました。

 ――――そこそこ若いのに優秀なのよね。彼、欲しいわ。



コメント

  • ノベルバユーザー602625

    恋愛系が好きなので、すぐ入っていけました。

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  • ノベルバユーザー601444

    面白かったです!
    恋愛ものということでこの後の展開も楽しみです(^^)

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  • スペチ

    王家の人はこんなだろうなという想像に近い話です。
    でも、話の展開が興味深くて面白いです。

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  • ローソニアン

    読んでいて内容が自然に入ってきます。
    没入感があって良かったです!

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