【短編】傾国の悪女は、王太子殿下を誑かして、本気で国盗りをするそうです。

笛路

5話


 殿下は今でも私のことを…………? と思い、ついエンダーに聞いてしまいました。

「それはお嬢様ご自身でお確かめ下さい」

 エンダーににこりと微笑まれ、ちょっと悔しくなりました。
 ウルバス伯爵家に優秀な間諜を送り込んでいて、今は我が家に協力させている。それだけで、聞かずとも彼の思惑は透けて見えるわけで。

「まだ、諦めてないのね……」

 ――――まだ、想ってくれているのね。



 半年かけて領地内外から優秀な人材を集め教育し、私たちが細かな手出しをせずとも運営していけるシステムを作り上げました。
 社交シーズン半ばになり、やっと王都のタウンハウスに向かうことが出来ました。

「さて、ここからは社交をメインにやっていくわよ」
「ですが、例の噂が……」

 どこかのバカ息子が流したであろう噂が、更に酷くなっているとのことでした。

「あぁ、あれね」

 領内で戦争に視点を置いた軍事訓練をしている。
 兵糧の準備もしている。
 様々な家から人材を引き抜いている。
 使用人と恋仲になり妊娠し、婚約破棄された。
 連れている小姓は実は息子。

「私、十二歳でケイを生んだらしいわよ?」
「それはまた凄く、頭の悪い噂ですね。イーライ様らしい」
「あら、まだ彼と決まったわけではないのよ?」

 トニーはとにかくイーライ様が気に食わないようです。
 私としてはもう切り捨てた人なのでどうでもいいのですが、小さな羽虫は地味に煩いので打ち落としたい気持ちもあります。

 タウンハウスに届いている招待状を確認し、に接触をはかりました。

「あら、ご機嫌ようカイザー王太子殿下」
「……久しいな」

 殿下が私の後ろにいるエンダーとオリビアを見て、一瞬顔をしかめました。
 してやったりですわ。



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