【短編】傾国の悪女は、王太子殿下を誑かして、本気で国盗りをするそうです。

笛路

3話



 初めの一ヶ月ほどは、領地運営に関する書類の確認をしました。お父様がトニーと二人で運営全般を手掛けていたので、そこまで仕事量は多くないのかと思っていました。

「こんなにも働いていたのね……」
「まぁじで! まぁじで、そうなんすよ!」
「人手を増やしましょ」

 私のその言葉に、トニーが小躍りを始めました。本気で嬉しそうね。

 三ヶ月が経ち、本格的に運営を始めました。
 実務内政官として、トニーとエンダー。
 エンダーがあまりにも優秀でトニーが嫉妬の嵐でキーキーうるさいですが、無視です。
 エンダーが法務関係から雑用まで何でもござれだったのでトニーの上にしようとしましたが、エンダーにトニーを立てて欲しいと言われました。

「そっ、そんな施しっ――――」
「侯爵家の執事はあくまでもトニーです」
「ぐふぅ、男前ぇぇ」

 とまあ、とにかくトニーがうるさいです。

 武官たちに関しては、組織図的には特に変更なく、訓練内容だけを見直すようにしました。
 今までは脳筋な団長に任せっきりでしたので、頭脳派の副団長と話し合い、体を鍛える訓練の他に、隊の組み方や戦争になった場合の勉強も増やしました。
 自力での兵糧の確保なども必須かと思いましたので、農作業も教えるようにしましょう。

 諜報や情報収集する部門でしたが、我が家には存在しないとのことでした。

「今まではどうしてたのよ」
「旦那様が、出向いて」

 まさかのお父様――侯爵自身が領地巡回どころか、相談役や情報収集もしていたとのことでした。

「だから体を壊すのよっ!」

 ダンダンと執務机を叩いていると、ケイがおずおずと執務室に入ってきました。

「お嬢様、お伝えしたいことが――――」

 どうやら領地内で私の悪い噂が広まっているようです。



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