勇者デリバリー~毒舌少女と純情王子の冒険譚~

花宵

24、ユニーク勇者でごめん

 魔王討伐に向けた作戦会議を開いていた。

 暗黒大陸にあるといわれている魔王の城。
 それはここから海を越えて遥か南東に位置する所にある。
 大陸を囲むように海には激しい渦潮、空には大きな竜巻が行く手を阻み、未だ誰一人としてその地に足を踏み入れた者は居ないという。


「そんな場所どうやって行くんや?」
「この世界に伝わる伝説の剣を使えばいいのです」
「伝説の剣?」
「真の勇者にしか扱えないと言われている伝説の剣で、一振りすればどんな壁でも吹き飛ばすことが出来るそうです。それを使って竜巻を打ち消します」
「へ~そんなすごい武器があってんねやな」
「今まで何人もの猛者たちが、その剣を我が物にしようと挑みましたが、誰一人として、台座から抜くことが出来ませんでした」
「なんかえらいプレッシャーやな」
「マコト様なら大丈夫です!  私が依頼した勇者様なんですから」


 熱く拳を握りしめ、自信満々にこちらを見ているシェド。
 あたいはそんなシェドから視線を逸らし話しかける。


「なぁ……シェド」
「どうかなさいましたか?」
「あたい、剣は装備出来へん」 
「………っ」


 流れる沈黙。
 肩書きは勇者でも、中身は盗賊。
 あたいが扱えるのは投擲と短剣のみ。

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