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勇者デリバリー~毒舌少女と純情王子の冒険譚~

花宵

22、本物の王子の見分け方

「マコト様~! マコト様~! いらっしゃいませんか?」


 その時、遠くの方であたいを呼ぶ声が聞こえた。
 あたいは気付かれないよう、その声のぬしに近づいた。


ガフッ


 そして、勢いよく背中から抱きついた。


「ただいま、シェド」
「わわっ!  ま、マコト様!  いきなりその様になされては……っ!」
「あかんかった?」
「い、いえ!  嬉しいのですが、その……柔らかい感触が……」


 耳を真っ赤にしてプルプル震える大きな背中。
 うん、こいつは本物に間違いない。


「こんなにお怪我をなされて……さぞ痛かったでしょう」


 そう言ってシェドは回復呪文を唱えた。
 すると、あたいの両手両足にあったかなりの引っ掻き傷が綺麗に治った。


「ありがと~! 回復魔法ってすごいな。なぁ、練習したらあたいも使えるようになる?」
「マコト様は、魔力が劇的に低いので厳しいでしょうね」


 肩書きは勇者でも中身は盗賊やからな。
 仕方ないか~薬草代浮かせられると思うたんやけどな。

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