勇者デリバリー~毒舌少女と純情王子の冒険譚~

花宵

17、良い防具見つけた

「マコト様、こちらは如何ですか?」


 復活したらしい変態王子が話しかけてきた。
 さして期待もせず、奴が持ってきた防具を見る。


風魔ふうま軽装着けいそうぎ

 風竜ふうりゅうの加護を受けた軽装着けいそうぎ。敏捷のあたいによって攻撃速度と回避が上昇、確率で魔法反射。

 回避も上がって魔法反射もついている。
 初期の町の防具にしてはかなり優秀。


「シェド、あんたやればデキる子やってんな!」
「気に入って頂けたようで、何よりです!  マコト様、早速試着してみて下さい。私も手伝いますので……」
「要らんわ!」


 試着室のドアを閉めると、変態の悲痛な叫びが聞こえたが気にしない。

 前方が編み上げ仕様のブラックのチューブトップに、丈の短いカーキ色のジャケットと短パン。
 ロング丈のブーツとオーバーニーの防護ソックス。

 腹がスースーするけど、動きやすさは抜群。
 防具の効果で前より身軽になったのを感じた。

 腰にダガーホルダーを装着し、ポイズンダガーを収める。
 ジャケットの内部に苦無を仕込んで、勇者というより、盗賊スタイルが完成した。


「どう?  似合う?」


 シェドの前でくるっと1回転してみせる。


「よくお似合いですよ、マコト様」


 形のいい唇を弧の形に変え、シェドが微笑んだ。
 バックに薔薇ばらのエフェクトが似合いそうな感じで。


「ではマコト様、今度はこちらを……」
らんわ!!」
「そんな遠慮なさらずとも良いのですよ?」


 鼻息荒く近づいてくる変態王子。
 女に飢えると、イケメンでもこうまで残念になってしまうのか。


「夕飯までには城に戻るわ」


 そう言ってあたいは先ほど覚えたスキル『とんずら』を駆使して逃げ出した。

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