勇者デリバリー~毒舌少女と純情王子の冒険譚~

花宵

10、深刻な街の風景

 むっつり王子に連れられ in サウスザント王国!

 煉瓦造りの家が建ち並ぶいかにも中世ヨーロッパ風の街並み。
 そこそこ活気はあるみたいやねんけど、なんかムサイ。
 露店の店主も客も、男ばかりで華がない。


「これ、結構ヤバイんとちゃうん?  女の人、婆さんしかおらへんやん」
「かれこれ15年前から、我々の国はこのような状態なんです。呪いを早く解かなければ、家畜に変えられた女性達の命も危険に晒されています」


 思ってたより、かなり重いで。
 ゲームの画面越しだと感じられないリアル感が。

 そういえば、気絶したあたいを介抱してくれたんもよぼよぼの婆さんやったわ。
 老体に鞭打って働かなあかんなんて。
 とてもやないけど、見てられへん。


「マコト様、どうかなさいましたか?」
「クレイジーピエロ、あたい……この世界絶対救ってやんよ」
「ク、クレ……マコト様、私のことは親しみを込めてシェドと」
「却下」

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