勇者デリバリー~毒舌少女と純情王子の冒険譚~

花宵

9、勇者の意味……

「いや、普通勇者ってのは悪者わるもの倒してなんぼの世界やねんで?」
「それなら心配には及びません。魔王を倒す算段は既についておりますので」
「ほんなら勇者いらへんやん」
「はい、勇者様は要りません。ですのでマコト様、私の妻になって頂けませんか?」


 ファンタジックボイスさーん。

 今の聞こえてはります?
 勇者要らないそうですよー。
 元の世界帰してもらえます?


『世界が平和になるまで願いは叶えられない、諦めろ』


 そんな殺生なー!


「魔王さん倒したら、女の人達救えるんやろ?」
「はい、そうですよ」
「じゃあ、その女性の中から選べや!  アンタ王子様なんやろ?  選び放題とちゃうのん?」
「ですが、私はマコト様にとんだご無礼を……」


 だから、頬赤く染めて視線逸らすんやめてくれ。
 乙女か?  どんだけ純情やねん。


「あかん、それもう忘れて!  あたいも忘れるから」
「忘れるなど滅相めっそうもない!  あの光景こうけいは私の心のアルバムにしっかりと刻み込んで……」
「思春期か!」


 こいつ、変態や。
 王子の皮を被ったただの変態や。
 見た目悪かったら犯罪やで、ほんま。


「とりあえず、あたいは勇者としてここに呼ばれてんねや。そこんとこ、その桃色脳髄ももいろのうずいにしっかり刻み込んどいてな」


 早いとこ、魔王さん倒してスタコラサッサッしてやんよ。

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