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勇者デリバリー~毒舌少女と純情王子の冒険譚~

花宵

5、リアルゲーム

 気がつくと、両手は縄でぐるぐる巻き。
 その縄ごと上で固定され、吊るされている。
 足にはおもりまでついてますやん。

 The 囚人確定!


「貴様、何者だ?」


 西洋風の貴族といった格好の男が低い声で尋ねてきた。
 ご丁寧に、切れ味抜群と言わんばかりの剣をあたいの喉元に突きつけて。


「しがない日本の女子高生」
「じょしこ、失せい?  真面目に答えろ」


 結構真面目に答えてんけどな。
 そんなにムスっとしてたら男前が台無しでっせお兄さん。

 色白で目鼻立ちの整った顔にスラッとした長身。
 さらっとしたストレートのプラチナブロンド、羨ましいわ。

 眉目秀麗ってこんな人の事言うんやろな。


「勇者」
「勇者? 勇者が盗みなどするわけがなかろうが!」


 確かにそれはごもっともで。
 せやけど、ここはゲームの中やろ?
 行ってこい勇者って普通に言われてんやけど。


「人呼んで『ユニーク勇者』とはあたいのこっでい」
「ユニーク勇者?  なんだそれは」
「盗賊スキルを駆使して戦う勇者のことさ」
「──ただの盗人じゃないか」
「今はまだひよっこやから多目おおめにみてや」
「貴様、愚弄するのも大概にしろ」


 喉元にあった剣が消え、それはあたいの目の前を掠めた。
 そして、やけに風通りのよくなった胸元と腹。

 あいつ、ほんまに斬りよった!

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