今日も期間限定彼氏に脱がされています
第14話 今のままでいいんですか?
目覚めの悪いまま急いで身支度を済ませ、出社して悶々とした気持ちで業務を続けていると、夕方、フロアの廊下で今村さんに声をかけられた。
「沖村さん、おつかれさまです。なんかふら~っと歩いてますけど大丈夫ですか?」
「えっ、そうでした?」
私は悶々とした気持ちが外にまででてしまっていることに焦りながら答える。そんな私を今村さんは心配そうに私を覗き込む。
「なんか悩んでそう。あの後、例の彼とはどうなりました?」
「特に何も……」
「もー、時間が経つと余計に拗れちゃいますよ!?」
すると、もう一人私を呼ぶ声がする。
「沖村さん!」
目が合うと荒牧さんが駆け寄って来た。そして開口一番、じっと私を見つめて問いかけてくる。
「古賀さんに何もされませんか?」
「だ、大丈夫だよ」
私は荒牧さんの勢いに押されて引きつった笑顔で受け答えをしていると、遠くから甘い女性の声が聞こえた。
「古賀くーん」
ハッとしてそちらを見ると、古賀に上目遣いで熱っぽく女性社員が話しかけている。
「なんであんな人がモテるののか全然わかんないです。沖村さんに迷惑かけておいていい気なもんですよほんと……」
そいういって、荒牧さんは苦々しい表情で古賀の方を睨みつける。今村さんはそんな荒牧さんを横目でチラっと見ながら不思議そうに荒牧さんに問いかけた。
「ねぇ、荒牧さん。なんでいつもそんなに古賀さんのこと嫌ってるの?」
その問いかけに荒牧さんは真剣な表情になって口を開いた。
「それはですね――」
と、荒牧さんが話しだした途端、ぐいっと誰かに彼女が引っ張られた。
「お話の途中すみません~!」
荒牧さんと同じ部署の社員が荒牧さんの腕を掴んでいたのだった。
「ちょっと荒牧さん!!ミーティングだって言ったでしょ?ほら急いで!」
そう言うと、同じ部署の社員は続けて何か言いたげにしている荒巻さんを引っ張って言ってしまった。荒牧さんは何を伝えようとしていたんだろう……そう思いながら廊下の向こうに引っ張られていく彼女を眺めていると、今村さんが再び心配そうに私を見つめた。
「ねぇ、沖村さん。沖村さんは今のままでいいんですか?自分の気持ちを伝えないと、きっとずっとすれ違ったままですよ?」
なんだろうこの感じ……楽しそうに会話をしている女性社員と古賀を見ていると、ギュッと胸が痛む。そう思いながら今村さんの声が耳に響いてくる。私の気持ちは――と、今村さんへの返答を考えているが思いが全くうまくまとまらない。でも一つだけ明確に心に浮かんでくる言葉があった。それは『好き』という二文字。
「……先行くね」
結局私は、今村さんの問いかけに何も答えられず、古賀が見える方向から背を向けて歩き出した。自問自答して心に浮かんだ二文字……あぁ、そっか。どうして気づかなかったんだろう。そしてどうして今更気づいてしまうのだろうと、私は歩きながら苦しさから目に涙が浮かんだ。
私、いつの間に好きになってたの?好きだからこんなに苦しいのかな。私以外の誰かと並んでいるのを見るのも辛いなんて……
考えれば考えるほど涙が止まらなくなる。気持ちを落ち着かせるために人目につかないところで落ち着かないと、と思った私は、日頃から人が利用しない資料室へ足早に向かった。
人気のない資料室に入り扉を閉めようとしたその瞬間、ガっと誰かが手を挟む。強引に開けられた扉の向こうには古賀が立っていた。
「待って」
古賀は走ってここまで来たようで息を切らして私に呼びかける。
「な、なんでここに……!?」
突然の古賀の登場に驚いた私は目を丸くして古賀を見つめる。古賀は資料室の中に入ると扉を締めて真剣な眼差しで私を見つめた。
「話がある」
と古賀が切り出した瞬間、閉じられた扉の向こうからコンコンとノックの音がした。
「誰かいますかー?」
荒牧さんの声である。古賀と私が二人でいるところなど見られるわけには行かない……ととっさに私たちは物陰に隠れて息をひそめた。
「失礼しまーす」
間もなくガチャっと扉がひらいて、荒牧さんは中に誰かいないか確認しているようだった。
「この部屋修理待ちで鍵のかかりが悪いって……ほんとだ。鍵かかってないじゃない」
扉のそばから足音がしなくなり、荒牧さんは何かを確認しているようだ。
「……よし、誰もいないっと」
古賀と私はどうやら気づかれることなくこの難局を乗り切れそうかも、と思ってホッとしたのも束の間、次の瞬間私たちはガチャンという大きな音を聞いた。
「あっ」
その音がした途端、古賀が慌てた様子で扉へ向かう。
「荒牧待て!」
私は折角見つからずに済んだのにどうしたんだろうと思いながら古賀を追いかける。すると古賀が何やら扉のドアノブをガチャガチャして慌てていた。
「くそっ!」
「どうしたの?」
「閉じ込められたかもしれない」
「え?」
「この部屋の鍵、壊れてるんだ……外からでないと開けられないんだよ」
それって私たち、閉じ込められたってこと……!?まさかこの状況で古賀と二人きりになってしまうなんて……うそでしょ……。私は再び思考回路がショートして頭が真っ白になった。
「沖村さん、おつかれさまです。なんかふら~っと歩いてますけど大丈夫ですか?」
「えっ、そうでした?」
私は悶々とした気持ちが外にまででてしまっていることに焦りながら答える。そんな私を今村さんは心配そうに私を覗き込む。
「なんか悩んでそう。あの後、例の彼とはどうなりました?」
「特に何も……」
「もー、時間が経つと余計に拗れちゃいますよ!?」
すると、もう一人私を呼ぶ声がする。
「沖村さん!」
目が合うと荒牧さんが駆け寄って来た。そして開口一番、じっと私を見つめて問いかけてくる。
「古賀さんに何もされませんか?」
「だ、大丈夫だよ」
私は荒牧さんの勢いに押されて引きつった笑顔で受け答えをしていると、遠くから甘い女性の声が聞こえた。
「古賀くーん」
ハッとしてそちらを見ると、古賀に上目遣いで熱っぽく女性社員が話しかけている。
「なんであんな人がモテるののか全然わかんないです。沖村さんに迷惑かけておいていい気なもんですよほんと……」
そいういって、荒牧さんは苦々しい表情で古賀の方を睨みつける。今村さんはそんな荒牧さんを横目でチラっと見ながら不思議そうに荒牧さんに問いかけた。
「ねぇ、荒牧さん。なんでいつもそんなに古賀さんのこと嫌ってるの?」
その問いかけに荒牧さんは真剣な表情になって口を開いた。
「それはですね――」
と、荒牧さんが話しだした途端、ぐいっと誰かに彼女が引っ張られた。
「お話の途中すみません~!」
荒牧さんと同じ部署の社員が荒牧さんの腕を掴んでいたのだった。
「ちょっと荒牧さん!!ミーティングだって言ったでしょ?ほら急いで!」
そう言うと、同じ部署の社員は続けて何か言いたげにしている荒巻さんを引っ張って言ってしまった。荒牧さんは何を伝えようとしていたんだろう……そう思いながら廊下の向こうに引っ張られていく彼女を眺めていると、今村さんが再び心配そうに私を見つめた。
「ねぇ、沖村さん。沖村さんは今のままでいいんですか?自分の気持ちを伝えないと、きっとずっとすれ違ったままですよ?」
なんだろうこの感じ……楽しそうに会話をしている女性社員と古賀を見ていると、ギュッと胸が痛む。そう思いながら今村さんの声が耳に響いてくる。私の気持ちは――と、今村さんへの返答を考えているが思いが全くうまくまとまらない。でも一つだけ明確に心に浮かんでくる言葉があった。それは『好き』という二文字。
「……先行くね」
結局私は、今村さんの問いかけに何も答えられず、古賀が見える方向から背を向けて歩き出した。自問自答して心に浮かんだ二文字……あぁ、そっか。どうして気づかなかったんだろう。そしてどうして今更気づいてしまうのだろうと、私は歩きながら苦しさから目に涙が浮かんだ。
私、いつの間に好きになってたの?好きだからこんなに苦しいのかな。私以外の誰かと並んでいるのを見るのも辛いなんて……
考えれば考えるほど涙が止まらなくなる。気持ちを落ち着かせるために人目につかないところで落ち着かないと、と思った私は、日頃から人が利用しない資料室へ足早に向かった。
人気のない資料室に入り扉を閉めようとしたその瞬間、ガっと誰かが手を挟む。強引に開けられた扉の向こうには古賀が立っていた。
「待って」
古賀は走ってここまで来たようで息を切らして私に呼びかける。
「な、なんでここに……!?」
突然の古賀の登場に驚いた私は目を丸くして古賀を見つめる。古賀は資料室の中に入ると扉を締めて真剣な眼差しで私を見つめた。
「話がある」
と古賀が切り出した瞬間、閉じられた扉の向こうからコンコンとノックの音がした。
「誰かいますかー?」
荒牧さんの声である。古賀と私が二人でいるところなど見られるわけには行かない……ととっさに私たちは物陰に隠れて息をひそめた。
「失礼しまーす」
間もなくガチャっと扉がひらいて、荒牧さんは中に誰かいないか確認しているようだった。
「この部屋修理待ちで鍵のかかりが悪いって……ほんとだ。鍵かかってないじゃない」
扉のそばから足音がしなくなり、荒牧さんは何かを確認しているようだ。
「……よし、誰もいないっと」
古賀と私はどうやら気づかれることなくこの難局を乗り切れそうかも、と思ってホッとしたのも束の間、次の瞬間私たちはガチャンという大きな音を聞いた。
「あっ」
その音がした途端、古賀が慌てた様子で扉へ向かう。
「荒牧待て!」
私は折角見つからずに済んだのにどうしたんだろうと思いながら古賀を追いかける。すると古賀が何やら扉のドアノブをガチャガチャして慌てていた。
「くそっ!」
「どうしたの?」
「閉じ込められたかもしれない」
「え?」
「この部屋の鍵、壊れてるんだ……外からでないと開けられないんだよ」
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