今日も期間限定彼氏に脱がされています

ぴよももし

第12話 許せないんです

 前の部署の同僚からの相談で新作のデザインの意見が欲しいということで、午後、私は久しぶりに古巣のジュニア制作部に足を運んだ。
 手渡された小さくて可憐なキャミソール。手に取るとやっぱり可愛いなぁと、懐かしい気持ちと胸躍り高揚する楽しい気持ちが沸き上がった。

「これねぇ、袖口の色なんだけど」

 と、同僚にアドバイスを開始していると、こちらをじっと見ている女性の視線を感じた。同僚は気づいて、その女性を私に紹介する。

「あっ!荒牧さん。紹介するね、営業一課から転属してきた荒牧みのりさん」

 営業一課……古賀と同じ。そう思いながら、無表情ながらも深々とお辞儀をする荒牧さんに私は挨拶を返した。

「あの……よろしくね。私は今、別企画に携わっててジュニアから離れてるんだけど」

 と言いかけたところで、荒牧さんは無愛想な表情で言葉を遮った。

「知ってます。そのことで沖村さんに話があるんですけど」
「?」
「なんであの企画断らなかったんですか?」
「えっ?」
「私、許せないんです」

 荒牧さんから放たれる責めるような威圧的な眼差しに、私はうろたえた。一部の人たちに私が嫌われてるのはわかってたけど、こうして面と向かって言われるのはキツイものがある。

「えっと、それは……」

 どうにか言葉を返そうと口を開いた途端、古賀が私を呼んだ。

「沖村!あの……ちょっといいか」

 すると強い口調で荒牧さんが、古賀を強く睨んで言葉を遮った。

「沖村さんは今、私と話をしてるんですっ!!」

 そして怒りを吐き出すように古河に向かって言葉を続けた。

「古賀さん、ひどいです!私、沖村さんがいるから転属希望したのに!引き抜くなんてひどいです!!」
「だからそれは……」

 私は異動になった経緯を話そうとしたが、荒ぶる荒牧さんの言葉は止まらない。

「古賀さんのこと許しませんからっ」

 荒牧さんは古賀の目の前に仁王立ちになり、刺すような刺々しい視線で古賀を睨みつけるのであった。
 荒牧さんと古賀のやり取りを目の前に、何やら想像もつかないような波乱の予感を感じた私は呆然とその場に立ち尽くすしかなかった。

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