今日も期間限定彼氏に脱がされています

ぴよももし

第10話 なんでそんなクソみたいな男とエッチしちゃうんですか?

 翌朝、出社しようと会社のビルへ急ぎ足で向かっていると、私の目の前に沖村が突然現れた。

「昨日のことなんだけど」

 沖村は私の目の前に立ちふさがると突然昨日のことを話し始めた。私は昨日の苦々しい気持ちが胸の奥底から湧いて出てしまい、沖村と話す気が全く起きない。

「……やめてよこんなところで」

 私は沖村を言葉ごと振り切り、小走りで沖村から離れた。
 その後、業務中も私は気が落ち込んでため息ばかりつ。すると私の肩に、優しくポンと手が乗せられた。

「なんだか元気ないですねぇ。何かありました?またデザインのことでなにか言われてるとか?」

 顔を上げると広報担当の今村由依さんが心配そうに私を見つめていた。私は今村さんにもわかるほどの落ち込み様を見せていたかもしないことに気づき、慌てて否定する。

「全然そんなことないよ!?」

 今村さんは妙に焦って否定する私を、いたずらに笑いながら勘ぐるような眼差しでまっすぐに見つめる。

「えーじゃあ、彼氏と喧嘩してるとかー?」
『彼氏』――その言葉に私の胸がズキンと痛む。
「……彼氏なんかじゃないよ。そんな問題じゃないの」

 私は今の自分の気持ちをどう答えたら良いのからずに整理がつかないまま思ったことを口にすると、今村さんは顔色を変えて話に食いついてきた。

「それって、彼氏でもない男に振り回されてるってことですか?」

 私は今村さんの鋭い指摘にドキっとしながら言葉に詰まる。

「お節介だとは思うんですけど、沖村さんが畑違いのデザイン頑張ってたの知ってるから、なんか気になっちゃって」

 今村さんにそう言われて優しく微笑で見つめ返されると、私はぐちゃぐちゃになっていた自分の気持ちが言葉となって胸に響く。
――本当はずっと痛くて苦しい。あんな気持ちのない行為は耐えられない。だから……

「男の人って好きでもない相手とできるのかな……って」

 私がそう言い終わった時、私の頬を涙がスッと伝っていくのがわかった。沖村さんは私の涙を見て信じられないという風に私の両肩をつかんで畳み掛けてきた。

「はぁっ?それって身体だけの関係ってことですか?なんでそんなクソみたいな男とエッチしちゃうんですか!?」

 今村さんからの指摘は至極全うでだった。

「でも私にも責任はあるというか……それを許したのは私だから」

 私は自分が情けなくて、やりきれない気分になり自責の念に駆られていると、今村さんから思ってもいない言葉が投げかけられた。

「だったらちゃんと、気持ちを伝えないとダメですよ!」
「え?」
「相手からもちゃんと言葉をもらうべきです。そんなの辛いに決まってるじゃないですか」
「えっ、待って……私は」

 私は今村さんの提案に動揺し、返答がパッと思い浮かばない。私が目を泳がせて右往左往していると、今村さんはとんでもないことを言い出した。

「好きなんでしょ?その人のこと考えるだけで、そんな泣き顔するくらいに」

 夜、自宅のベッドに転がると、今村さんに放たれた言葉が脳裏に蘇った。

『好きなんでしょ?』

 好きだなんて……だって仕事のためにシたんだもの。利用しろって言ったのは向こうで……。こうして目を閉じて考えれば考えるほど、私はため息しかでてこず、夜の闇は深まていくばかりだった。

 ーー「沖村」
私を呼ぶ声がして、パッと目を開くと目の前には古賀の顔。古賀は私が声を上げる間もなく、古賀は私に激しくキスをしてくる。

 古賀は激しく私と舌を絡め合わせたあとに、そっと顔を離すといたずらに微笑む。

「すげぇ、イヤラシイ顔してる」

 そういいながら、今度は私に体を重ねて激しく胸先を愛撫し始めるのだった。

「可愛いな、お前」

 古賀は私を見つめて再び微笑むと、私の腰を掴んでグッと腰を押し付けて中に入ってくる。私は抗いたいのに何故か抵抗できないまま、動き出す古賀の腰に応じて、甘い声を上げ続けてしまう。

「スゲー、締まる」

 古賀は気持ちよさそうに腰を動かしながら私を見つめ、より激しく腰を動かし始める。私は古賀との交わりがあまりに気持ち良すぎて、乱れて恍惚としてしまう。やがて行為は
佳境を迎え、私の奥に古賀が挿入したものが当たり続け、間もなく頂点に達しようとした  
その瞬間、古賀は動きを止めて熱っぽい眼差しで私を見つめ、口を開いた。

「好きだ」

 突然、古賀にそう告げられた私は、体ごと感じてしまい、全身を駆け巡る快感にゾクゾクとこみ上げて、一気に達してしまうのであった。なんでこんなに気持ちいいの……と古賀との行為の余韻を感じまくって目を閉じ、再び開けると目の前には私の部屋がただ広がっていた。

「え……ゆ、夢!?」
 私は古賀との淫らな行為を夢にまで見てしまったことに、混乱と罪悪感で頭の中がいっぱいになり、とても目覚めの悪い朝を迎えたのであった。

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