今日も期間限定彼氏に脱がされています
第7話 あの頃の俺たちは ―古賀の想い―
入社一年目の俺は本当にロクでもなかったと思う。
「古賀!先方との約束どうなってるんだ。時間になっても来ないと連絡があったぞ!!……いや、今は謝罪が先だ。村田、同行を頼む」
「はい」
当時の上司はうんざりした顔で部署の先輩の村田さんを連れて取引先へ向かおうとした。
「あの、俺も……っ」
「お前はいい」
上司はそう言うときっぱりと言い放った。
「お前には任せられない」
俺はそれ以上上司に食い下がることができなかった。当時の俺は仕事でミスばかりして、自分が会社にいる意味を見いだせなくなっていた。
そんな時、アイツは俺に話しかけてきたんだ。
「ミスなんて私のもしょっちゅうだよ?」
声の主は沖村夕。
「まぁ、元気だしてよ。私なんてこの間、サイズのミリとセンチ間違えてすっごい怒られた!」
沖村は軽やかな声で話を続けていたが、俺は素直に受け取れなかった。
「……それで慰めてるつもりかよ」
「慰めてるつもりですー」
村は俺に笑顔でアメを差し出しながら言葉を続けた。
「数年後には今日のことだって笑い話になるよ。だからさ、いつか同じチームで仕事できるように、お互いもうちょっと頑張ってみない?」
俺は沖村から受け取ったアメを手のひらの中で握りしめながら、その言葉を噛み締めた。
あの時の沖村の言葉は今でも鮮やかに思い出せる。あの言葉があって俺は――
「…くん、古賀くん聞いてる?」
ぼんやりと昔のことを思い出していると、タイムリーにその思い出の登場人物である先輩の村田さんが声をかけてきた。
「……なんですか」
「いやぁ、立派になったと思ってさぁ。新企画も順調だって話だし」
「まぁ、はい」
村田さんは俺の肩をバンバンと勢いよく叩くと、笑顔で話を続けた。
「新人の頃を思うと感慨深いわ」
さっき思い出していたあの時のことを村田さんが話してくるので俺は面食らった。
「そっ、その節はご迷惑を」
村田さんは俺の表情の陰りを吹き飛ばすほどの笑顔で、ガハハと笑いながら言葉を続けた。
「真面目ゆえに空回りも多くて、おまけに要領も悪くてなぁ。」
村田さんはそう言い終わると少ししみじみとした顔で俺を眺めた。
「だからさぁ、古賀はすぐ辞めるんじゃないかと思ってたんだよな。でも踏ん張って努力したお前はすごいと思うよ。」
そう言われた俺の脳裏には、あの時の沖村の姿が浮かぶ。
「……約束、したんで」
村田さんにはこの言葉は聴こえなかったらしく、ぽかんとした顔で俺を見ていた。
「ん?」
「なんでもないです」
俺は村田さんに向かって少し微笑み、その場を離れた。
「古賀!先方との約束どうなってるんだ。時間になっても来ないと連絡があったぞ!!……いや、今は謝罪が先だ。村田、同行を頼む」
「はい」
当時の上司はうんざりした顔で部署の先輩の村田さんを連れて取引先へ向かおうとした。
「あの、俺も……っ」
「お前はいい」
上司はそう言うときっぱりと言い放った。
「お前には任せられない」
俺はそれ以上上司に食い下がることができなかった。当時の俺は仕事でミスばかりして、自分が会社にいる意味を見いだせなくなっていた。
そんな時、アイツは俺に話しかけてきたんだ。
「ミスなんて私のもしょっちゅうだよ?」
声の主は沖村夕。
「まぁ、元気だしてよ。私なんてこの間、サイズのミリとセンチ間違えてすっごい怒られた!」
沖村は軽やかな声で話を続けていたが、俺は素直に受け取れなかった。
「……それで慰めてるつもりかよ」
「慰めてるつもりですー」
村は俺に笑顔でアメを差し出しながら言葉を続けた。
「数年後には今日のことだって笑い話になるよ。だからさ、いつか同じチームで仕事できるように、お互いもうちょっと頑張ってみない?」
俺は沖村から受け取ったアメを手のひらの中で握りしめながら、その言葉を噛み締めた。
あの時の沖村の言葉は今でも鮮やかに思い出せる。あの言葉があって俺は――
「…くん、古賀くん聞いてる?」
ぼんやりと昔のことを思い出していると、タイムリーにその思い出の登場人物である先輩の村田さんが声をかけてきた。
「……なんですか」
「いやぁ、立派になったと思ってさぁ。新企画も順調だって話だし」
「まぁ、はい」
村田さんは俺の肩をバンバンと勢いよく叩くと、笑顔で話を続けた。
「新人の頃を思うと感慨深いわ」
さっき思い出していたあの時のことを村田さんが話してくるので俺は面食らった。
「そっ、その節はご迷惑を」
村田さんは俺の表情の陰りを吹き飛ばすほどの笑顔で、ガハハと笑いながら言葉を続けた。
「真面目ゆえに空回りも多くて、おまけに要領も悪くてなぁ。」
村田さんはそう言い終わると少ししみじみとした顔で俺を眺めた。
「だからさぁ、古賀はすぐ辞めるんじゃないかと思ってたんだよな。でも踏ん張って努力したお前はすごいと思うよ。」
そう言われた俺の脳裏には、あの時の沖村の姿が浮かぶ。
「……約束、したんで」
村田さんにはこの言葉は聴こえなかったらしく、ぽかんとした顔で俺を見ていた。
「ん?」
「なんでもないです」
俺は村田さんに向かって少し微笑み、その場を離れた。
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