リリカルポエム

歌唄

フィーネ


私はあなたにとっての何かに成りたかった
そして あなたと違って 平凡な人生が夢だった
けれど あなたは私を指差して 同じ舞台に上がらせた
燃えるような あなたの才能に触れた時には遅かった
その迷いのない指先が 私とあなたの運命を定めているようだった
スポットライトを浴びて 私は舞い上がったんだ
その隣に立とうだなんて その炎を一番近くで見ていたいだなんて
大それたことを思った
だから 沢山のものを捨てたし 色んなものを犠牲にした
私の世界の真ん中はあなただけで 美しいあなたに全てを捧げてしまった
それでも あなたのことを分かってあげることは出来なかった
アンコールが煩くて あなたの声が聞こえなかったから
スポットライトが眩しすぎて あなたの表情が見えなかったから
だけど 終わりだけは分かっていた
この舞台は幕が降りる きっとあなたは灰になる
何処にもいけないまま 何者にも成れなかった
強くて孤独で美しい あなたに惹かれていただけの人生だった
世界が終わる前の四小節 あなたの声が初めて聞こえた
ずっと隣で流れいたのは こんなに悲しい音だったんだ



「こんな曲じゃ、あんまりだろう」

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