転生した公爵令嬢はVUCAを生きる

Mo×5

1転生したら棺の中でした side A

目が覚めるとそこは真っ暗だった。

前世で自分が死亡したことを認識していたので、転生したことを違和感がなく受け入れている自分がいた。

自分の知っていたWEB小説の世界に転生するのはよくあることだしね。

そういえば、転生したら棺の中ですって言われていたっけ。

暗闇の中で手を伸ばすと右も左もすぐに壁があって、天井もすぐに手が届いた。
うーむ、本当に棺の中なのね。

棺から出ようと、手で棺の蓋を持ち上げてみたけれど、重すぎて上がらない。起きあがろうにも狭くて、たぶん、腹筋が弱くて体も起こせない。

まさか、もう土に埋められてないわよね。

物凄く怖くなって、バタバタした。手と足の両方を使って蓋が持ち上がると、隙間から強い日の光が入ってきて、目が見えない状態になった。謂わゆる、鳥目。

まず、思ったこと。よかった〜。埋められてなくて。

ほっとして、視力が回復するまで、このまま少し休むことにした。

 
私が嵌まっていたWEB小説「オルデラン帝国物語」。これは10冊もある帝国の歴史ファンタジー小説。でも、私はまだ2巻までしか読んでなかったから結末がどうなるかは知らない。

ただ最初の2巻で、二代前のラーウィック公爵が建国した、オルデラン帝国に属する公国が滅亡する。

ラーウィック公爵の長女ルイーズは公国の王女。私はラーウィック領で名門の伯爵の娘だった美人の母に似て、銀髪に碧い眼の美少女になってるはず。そもそもWEB小説の世界は美人、イケメンだらけ。そこだけ、ちょっと嬉しい。

私が成人をしてすぐに公国王の父が亡くなり、滅亡した王国の王子だったけど、ラーウィック公国の騎士団長なったソードマスターと結婚。私は夫の操り人形の傀儡の女王となる。妹のソフィアは叔父と共謀して夫と私の命を狙い、クーデターに失敗して命を落とす。夫は自分の王国を滅ぼした王国と戦争して、公国が滅亡すると言う話だった。

内乱と戦争で、最後には国を滅ぼしてしまうという、最悪の政治。戦争とか、ありえない。絶対、回避しなければ!
回避の方法。
その1。まず彼と結婚しない。それには、王族の中でも特別な「癒しの力」を秘密にする。そうしたら私への興味も半減するはず。
その2。そして私自らが良い政治をする女王になる。不満を無くして内乱を防ぐ。
その3。他国を侵略しない。

これで公国の滅亡は回避できるでしょ。そして、この世界で、お姉ちゃまを探し出して、楽しく生きていこう。
私はそう決意した。

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