未来の死にたい理由

　その日、俺は朝未来に言った通り話をする為に、未来を連れて家に帰った。
　本当なら、一度未来を自分の家に帰らせたかったが、そうしてしまうと未来が来ない可能性が出てきたので、いっそ直に行った方が良いと思ったので、直に俺の部屋で未来の死にたがる理由を聞こうと思い未来を俺の部屋の中に入れた。
　そして、学校用の鞄を邪魔にならない場所に置くと未来を見る。
　すると未来はなぜか困っていたので、俺は未来に聞いた。
「未来、どうした。」
　未来はぎこちなく口を開いた。
「えっと、どうしたの?急に話たいことがあるって?あと、どこに座れば良いの?」
　と聞いてきたので、俺は未来に座布団を出すとそれに座らせた。
　そして、未来の質問に質問を返した。
「未来、なんでそんなに死にたいんだ?」
　と聞くと未来はジト目で口を開いた。
「えー。今更それを聞くの?」
 と言われたので、俺は謝ると今更の理由を話した。
「ごめん。今まで、未来の自殺をただ止めていただけで、理由は分かってなかった。だから、今更だけど未来の死にたがる理由を教えてくれないか?」
　と言うと、未来は溜息を零すと口を開いた。
「湊、私には誰にも言わないつもりでいた話があるけど、いつも自殺を止めてくれているお礼で特別に教えてあげるね。」
　と言われたので俺は未来の話を聞く態勢に入る。
　そして、未来は自分の死にたい理由を話しだした。


　
　未来が語った話はとてもじゃないが信じられないことだった。
　それはなんと、未来には、前世の記憶というものがあるらしい。
　しかも、彼女の前世は、彼女が大好きな悪役令嬢だったらしい。
　だが、悲しい事に彼女の前世は、ザマァ系の方では無く悪役令嬢が処刑される方だったらしい。
　だから、未来は殺され転生したらしい。
　だが、未来は前世の世界に未練があるらしく、その世界に戻りたいと言う。
　だが、俺にとってその未練も理解が難しかった。
　どうやら、未来は処刑される原因である婚約者のことが今でも好きらしい。
　本人は否定していたが。
　どうして、自分を裏切り、殺された原因の相手を今世でも思い続けているのか?
　と、思っていたことが声に出てしまっていたのだろう。
　未来は、悲しそうな顔で俺を見た。
「・・・やっぱり覚えてないんだね。湊は。」
　と、良く分からないことを言われて俺は首を傾げた。
「？未来、どういうことだ?まさか、俺がその婚約者に似ているのか?」
 と聞くと、未来は深ーい溜息を零すと首を縦に振って口を開いた。
「今のは忘れて。ごめんね。・・・だけど、その婚約者の生まれ変わりは湊だと思う。だって、前世で約束したから。」
　と言われ、俺は質問をした。
「未来、質問なんだが、もし、俺が婚約者の生まれ変わりで、俺が今のお前が好きだと言ったら自傷行為、自殺をしょうとするのをやめてくれるのか?」
 そう聞いてみると、未来は首を傾げて口を開いた。
「もし、それが本当なら私が自殺をする理由が無いからしないと思うけど、でも、それが本当なら私はまた殺されちゃうね。」
 と、良く分からないことを言われたので、俺は聞き返した。
「未来、どういうことだ?」
 と聞くと、彼女は悲しそうな顔をしていた。
「えっと、だって、あの子も転生してるし、前世を繰り返しそうだよね。」
 だが、俺は未来が言った（あの子）が誰を指しているのかが分からなかった。
「あの子とは誰だ?」
 と、俺が思わず聞くと未来は、
「えっと、あの子というのは、前世の私と湊を殺した子かな?小説で言えば、ザマァ系のヒロインで確か今世では、井堀メリちゃんだったかな?」
 と、当たり前の様に言われた名前に心当たりがあった俺は動揺した。
「あのう、未来さん。その名前は、隣のクラスで俺に告白してきた子では?」
　と、確認してみると未来は頷いた。
「うん。そうだよ。多分なんだけど、あの子も前世の記憶持ちだよ。だって、前世で侍らかせていた人達の生まれ変わり達に告白しまくってるもん。だから、尻かる女って陰で言われてる。」
 と言われ、俺は井堀に関わらないことにした。
　そして、その日はこれで解散することにした。
　俺は未来を未来の家に送って行く。
　そして、それから4時間後に就寝した。