敵らしい人物が話しかけてきた。

　昨日、やっと未来の死にたい理由を知ることが出来た俺は、やっと未来が死なない為に何が出来るかを考えることが出来た。
　今の所は、昨日未来が言っていた井堀と関わらないようにすることと、未来に死なれない様に今まで通り自殺を止めつつも未来に好きになって貰えるように頑張ろうと思う。
　そんなことを考えながら俺は未来を迎えに行った。
　未来の家に着くと、ちょうど良いタイミングで未来が家の中から出てきた。
「おはよう。未来。」
と言うと未来は、
「おはよう。湊。」
と返したので、俺は未来に聞いた。
「ところで、どうして俺が婚約者の生まれ変わりだと分かったんだ?」
「えっ?あ、あのね、実は、前の世界では魔法が使えたの。その時に魔法とは別に貰った祝福がね、人の前世が分かる祝福だったの。で、その祝福だけは今世でも使えるの。」
　と、ファンタジーなことを言われた俺は戸惑いながら
「あ、ああ。そうか。」
と頷くと、未来は、ジト目で、
「湊、絶対信じてないでしょ!!」
と言われたので俺は、内心で、"それはそうだろう!!"と思っていた。
　だが、表面上の俺は
「未来、それよりも早く学校に行こう。早く行かないと遅刻する。」
　と、未来を急かしていた。

　教室に着くと未来と別れたのだがその直後、後から声をかけられた。
「高鳥君、ちょっと良いかなぁ？」
　と言われたので思わず振り返ると、昨日未来に言われた井堀がそこに立っていた。
「高鳥君、今日の放課後話があるんだけど良いかなぁ?」
と言われたが、俺はいつも通り未来と帰る予定だったので断ることにした。
「ごめん。今日も忙しいから。」
と言うと井堀は、同情する様にこちらを見て口を開いた。
「あの死にたがりの面倒を見るの?大変だね。」
と言われたので俺はイラッとして口を開いた。
「未来の面倒を見ているつもりは無い。ただ俺は未来が死んでほしくないし、好きだから一緒にいるだけだ。それを同情されたり関係のない人間にとやかく言われる謂れはない。」
と言うと、井堀は何故かニヤリと笑うと
「じゃあさ、もし、あの死にたがりが人を虐めてたり殺したりしてたら、どうする?」
　と言って来たが、内心昨日、未来に前世の事を聞いていて良かったと安堵しつつ、表面上の俺は井堀を睨みつけると
「は、あの未来がそんなことをする訳が無いだろう。それに、もし仮にそういうことをしていたとしても俺が必ず正しい道に連れ戻す。だから、お前にとやかく言われる謂れはない。だから、もう二度と俺と未来に関わるな。」
　と言うと、俺は自分の席に向かった。
　その後、井堀がこちらを睨みつけていたことにも俺は気づかなかった。
　
　

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