魔女の秘密~魔女は、急の事態に戸惑う。

 実は俺には家族以外に隠している秘密があった。
 その秘密とは、実は俺が陰陽道を使って妖などの人に仇成すものを退治することができるというものだ。
 さて、突然だが問題を出そう。
 実はこの力を持つ人は〇〇〇といわれているのだが、その〇〇〇を考えて欲しい。
 答えは、陰陽師だ。
 陰陽師とは何かというと、平安時代にまで遡る。
 当時は、魑魅魍魎等は当たり前で妖怪や呪術といったものが信じられていて、その専門家として活躍していた。
 その際、使用していた呪文(?)が、陰陽道というものだ。
 何故、そんな大昔の陰陽師と同じ力を持っているのかというと、父方の祖母が陰陽師の名門一族の末裔でその力を持っていた。
 それが何の因果が俺にも引き継いていたのだ。
 なので、俺は魔法使いであり、陰陽師でもあるのだ。 
 そして、何故陰陽師だということを隠しているのかというと、単純に母の命令だ。
 小6までの女装も多分そこが関係しているのだろう。




 俺と咲良がお化け屋敷の中に入ると、明らかに普通のお化け屋敷と違う空気がした。
 どういうことかというと、周りには瘴気が立ち込めていた。
 なので、俺はすぐに咲良にばれないように咲良と自分に結界を張ると急に咲良に話しかけられた。
「ひ、火夏、や、やっぱり怖いです。手、繋いでも良いですか?」
「ああ。」
 そう言って彼女を見ると、彼女の瞳には涙が浮かんでいた。
 今はそんな咲良に見とれてしまう程安全ではないのに、また顔が紅くなっていることが自分でも分かった。
 だが、彼女にはそのことをばれたくはなかった。
 なので俺は必死に無表情の皮を被る。
「咲良、すまない。もう出るか?」
 と俺は彼女が怖いのならもう出ようと思ったが、彼女は首を横に振ると
「い、いえ、だ、大丈夫ですよ。だって、火夏と一緒なんですから、私だって頑張ります。」
 と健気(?)なことを言われて俺は
「そうか。」
 と言いつつも内心では、咲良の言葉ににやけていた。
 そして、表面上の俺は咲良の手を握ると少しずつ歩き出した。


 しばらく歩いていると、突然耳鳴りがした。
(来た!)
 今までの人生の中での経験上、こういう場所で耳鳴りがする場合、その原因が現れる前兆だと知っていたので俺は咲良に自分が何を言っているのかが分からない呪文を小声で唱える。
 そして、唱え終わるとこのお化け屋敷の瘴気の原因が現れた。
「来たな、邪神」
 そう、現れたのは、ここに居るはずのない邪神だった。
「ほーぅ、わらわがここに居ることに気づく者がいるとはのぅ。お主、ただ人ではないのぅ、だが、どうせわらわには敵わぬ。見逃して欲しくば、お主の隣にいる娘をわらわに捧げるのじゃ。・・・娘は神の生まれ変わり、わらわにその力を寄越すのじゃー!」
 そう言って邪神は咲良に手を伸ばす。
「すまないが、彼女は渡さない。・・・縛!!」
 と唱えると、邪神は動きを止めた。
 その間に神気を帯びさせた破魔弓と破魔矢を魔術で出すと、その破魔弓と破魔矢を構える。
「お主は、陰陽師か!!」
 と言う声には答えず、弓に矢をつがえる。
「・・・この一矢をもちいて邪神の瘴気を祓い給え、邪神を清め給え、急々如律令」
 と唱えながら、ぎりぎりまで引き絞った矢から手を離す。
 その矢は邪神の胸元に刺さった。
 その瞬間、邪神の瘴気は消え去り、そこには本来の姿に戻った女神がいた。
「ありがとう。私から邪気を祓ってくれて。お陰で、このお化け屋敷は清められました。・・・お礼に、私はあなた様と契約します。」
 と言われ俺は断ろうとしたが、向こうが
「私と契約しないと彼女さんを殺しますよ?」
 と笑顔で脅迫して来たので渋々女神と契約した。


 ちなみに咲良は、全てを見えていたらしく
「火夏って、陰陽師でもあったんですね。すごいです!!」
 と、俺が陰陽師だということがばれてしまった。



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