動物園のオリエンテーリングが中止したので、予定よりも早く土産を買いに行くことになった。
　各クラスごとにバスに乗ると魔界のお土産などの特産品を取り扱っている魔界ワールドに向かった。
　そして魔界ワールドに着くと、バスから降りて店内に入った。
　ちなみに、今回は自由行動なので、俺は迷わず咲良の所に行くと、咲良に話しかけた。
「咲良、一緒に土産を選びたいんだが、良いか？」
　と聞くと咲良は真っ赤な顔で何度も頷くと、
「はい。良いですよ。・・・行きましょう。」　　
　と言ってくれたので、俺は咲良の手を繋がないように少し離れて歩いた。
　すると、それを疑問に思ったらしく咲良は俺の顔を見て
「？火夏、大丈夫ですか？」
　と聞いてきてくれたのだが、何のことが分からなかったので
「・・・。何がだ？」
　と聞くと咲良は寂しそうに
「だって、今日はなんか悩んでいるように感じるんです。・・・それって、やっぱり昨日のことで悩んでいるんですか？」
　と聞かれ俺は戸惑った。
　確かに、朝は悩んでいたが、今は、そんなに悩んでいなかった。
　なので俺は素直に言った。
「いや、確かに朝は悩んでいたが、今は悩んでいない。・・・それに、せっかくお前と一緒にいられるのに悩んでいたら楽しめないだろう。」
　と言うと咲良はまたさらに赤くなると
「・・・そ、そうですね。・・・火夏、昨日はお母さんになんて言ったんですか？」
　ともごもごと聞いてきたので俺は
「・・・秘密だ。・・・お前だって言いたくないだろう。」
　と聞くと、咲良は首を横に振って
「？・・・私、火夏に言いましたよ。お母さんに聞かれる前に・・・。あれをそのまま言ったんです。」
　と言われたので俺は「そうか。」と言った。
　そして、咲良に、
「咲良、大切な話があるんだ。だからついて来てくれないか？」
　と言って俺は咲良が逃げてしまわないように咲良の手を握ると魔界ワールドで告白出来そうな場所に向かう。
　ちなみに、俺はここに一度下見に来ていたのでしっかりと覚えていた。
　そしてその場所に着くと、咲良は驚いたように俺をみた。
「火夏、どうしてこの場所を知っているんですか？・・・ここは、お母さんとお父さんが結婚式を挙げた場所なんですよ。」
　と言われ俺は咲良の質問に答えた。
「ああ。それは、俺の母さんと父さんもここで結婚したから。・・・咲良、話を聞いてくれるか？」
　咲良は頷く。
　なので俺は咲良を抱きしめて口を開く。
「咲良、俺はお前のことがずっと前から好きだ。だから、お前が良ければ俺と付き合ってくれないか？」
　と言うと咲良は、真っ赤な顔で口を聞いた。
「えっ、火夏、まさかあの時から言っていた好きな人って・・・。」
「ああ。お前だ。・・・・・・咲良、返事を聞かせてくれないか？それとも、考える時間が欲しいか？」
　と聞くと咲良は首を横に振ると
「いえ、考える時間はいいです。・・・火夏、もう分かっているかも知れませんが、私も火夏のことが好きです。私と付き合ってください。」
　と、良い返事をもらえたので俺は
「ああ。・・・ありがとう。俺と付き合ってくれて、俺のことを好きになってくれて。」
　と言うと咲良は苦笑すると、
「それをいうなら私だって。私を好きでいてくれてありがとうございます。・・・火夏、これからもよろしくお願いしますね。」
　と言ってくれたので俺は
「ああ。よろしく。じゃあ、土産を買いに行こう。」
　と言って、土産売り場に戻った。


　しばらくすると買い物が終わったので、俺と咲良は、バスに乗り込んだ。