魔女の秘密~魔女は、急の事態に戸惑う。

 おばさん達の家の中に入るとおばさんが玄関先で立っていた。
 それを見て俺は動揺したが、俺よりも驚いていた咲良がおばさんに聞いていた。
「ど、どうされたんですか?こんなところで。」
 するとおばさんは何故か無表情・・・というか何かを押し殺している表情で
「咲良、ちょっと話があるから服を着替えたら私の部屋に来なさい。」
 と淡々と告げられていたので俺は嫌な予感がした。
 が、それを少しでも態度に出さないようにしながら咲良を見ると
「はい。分かりました。」
 と返事をしていた。
 するとおばさんは自分の部屋に戻って行った。
 それを見送ると俺は咲良と顔を見合わせた。
「火夏、何の話なんでしょうか?」
 と聞かれたのだが俺も全く心当たりが無かったので
「・・・。すまない、俺も分からない。」
 と話していると今度は葵さんが来た。
「咲良、火夏君、昨日は大変だったね。」
 といきなり言われ、俺は"何のことだ?"と思っていると咲良は葵さんの言っている意味が分かったらしく驚いた様子で葵さんを問い詰めていた。
「な、なんで昨日のことを知っていたんですか?」
 すると葵さんは目を泳がせて口を開いた。
「ま、まぁ、早く着替えて行った方が良いよ。」
 とはぐらかされたのだが葵さんの言った通り、おばさんを待たせているのであんまり遅いと咲良がおばさんに叱られるかもしれないので俺と咲良は自分達の部屋に戻った。
 そして、服を着替え終えると咲良がおばさんに呼ばれた理由が気になりながらも読書を始めた。
 それから10分後、急に部屋のドアがノックされ俺が返事をする前にドアが開き、咲良が部屋の中に入って来た。
 いつもは返事をするまで入って来ない咲良が珍しいと思いながら咲良に聞いた。
「咲良、おばさんの話は何だったんだ?」
「た、大変なんです。昨日のアレを見られて付き合っていると思われているんです。なので、ちょっと来て下さい。」
 そう言って彼女は慌てて俺を連れて部屋から出て行った。


 咲良に連れて来られたのはおばさんの部屋だった。
 そして、俺がおばさんの前に座るとおばさんは
「火夏君、咲良と付き合ってるの?」
 といきなり聞かれたので俺はおばさんの誤解を解く為に説明を始めた。
「おばさん、俺と咲良は付き合っていません。・・・春風から咲良を助けるために付き合っているフリをしただけです。」
 すると、おばさんは、
「そう。じゃあ、火夏君と咲良に別々で話があるの。」
 と言われ俺が疑問に思っていると咲良が質問した。
「あのぅ、なんで別々なんですか?・・・何の話ですか?」
「咲良、あなたは火夏君のことをどう思っているの?という話だから、火夏君がいたら本当のことを言わないでしょう?」
 という返答を聞いて俺は絶句した。
 だがすぐに(それもそうだな)と納得した俺はおばさんに、
「俺も咲良をどう思っているかを言えば良いんですね?」
 と確認するとおばさんは
「ええ。・・・火夏君、咲良からで良いかな?」
と言われたので俺は頷くとおばさんの部屋から出て行った。
 そして居間に行っておばさんに言うことを考えた。


 それから10分後、咲良が居間に戻って来て俺の隣に来たので俺は
「咲良、大丈夫か」
 と聞くと咲良は、
「はい。大丈夫です。もう終わったので火夏の番です。」
 思ったよりもかなり早かったので俺は嫌々ながら
「そうか。早かったな。・・・じゃあ、行って来る。」
 と言って立ち上がると咲良が、
「嫌かも知れませんが、言ったら終わるので頑張って下さい。」
 と応援(?)してくれた。
 俺は少し嬉しかったので小さく微笑むと
「そうだな。早く本当のことを言って終わるのなら、早く言った方が良いかもしれないな。」
 と呟くと咲良が苦笑しながら頷いた。
「そうですよ。火夏なら早く終わると思いますから。」
 と言われ咲良の言った言葉に疑問を抱きながらも
「そうだな。」
 と頷いて居間から出て、おばさんの部屋に向かった。


 おばさんの部屋の中に入っておばさんを見ると、先に終わらせた咲良が何かいいことでも言ったのだろう、おばさんの目がキラキラと輝いていた。
「さあ、火夏君、咲良のことをどう思っているのか言って見てくれる?」
「はい。分かりました。」
 と一応返事をしたものの、おばさんに言う言葉をまだ考えていなかった。
 だが、この人に自分の本心を伝えると咲良にもばれてしまうかもしれない。
 なら、咲良には言わないように頼んでから咲良のことが好きなことを言おう。
「おばさん、絶対に咲良には言わないで下さい。」
 と頼んでからまた口を開いた。
「俺は咲良のことが好きです。」
 するとおばさんは「やっぱり。」と呟いた。
 そして、俺に向かって
「火夏君。咲良のことが好きなら早く告白しなさい。」
 とドスパッと言われ、俺はじと目で言い返した。
「ふられたらどうすれば良いんですか?気まずくなると困るんですが。」
「大丈夫。大丈夫。」
 と良く分からない応援(?)をしたおばさんは、俺の話を聞かずに
「さあ、行こうか」
 と言われたので俺は溜息を零し返事をすると立ち上がっておばさんの部屋から出て行った。
 そして居間に戻ると夕食を食べて部屋に戻った。
 


 
 





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