咲良目線
　火夏が出て行くとお母さんが凛々しい顔で口を開きました。
「さて、咲良、火夏君のことをどう思ってるのか言ってみなさい。」
　と言われたので私は頭の中で文章を作りながら口を開きました。
「はい。火夏は良く私を助けてくれます。それは嬉しいんですが、朝から火夏と手を繋いでいる時に動悸が止まらなくなったり、火夏の好きな人がとって気になってしまったり、火夏がとってもかっこよく見えたり、これは一体何なんでしょうか？」
　とお母さんの質問に答えるとお母さんは目を輝かせていました。
　そのことを疑問に思っているとお母さんは感動したように呟きました。
「まあ、咲良がやっと恋を・・・。咲良、それは恋よ恋。」
　その呟きを聞いた私は慌てて口を開きました。
「えっ、こ、恋って、な何を言っているんです！！これは変な病気です！」
　と言うとお母さんは溜息をついて
「咲良、これは変な病気じゃ無いよ。恋だよ。」
　と言われ私は
「これが恋なんですか？私は違うと思いますけど・・・。」
　と言うとお母さんは
「咲良も頑固ねー。とりあえず、好きな人と手を繋ぐとドキドキするものだから。病気じゃ無いからね。恋だからね。」
　と言われて私はやっと火夏が好きなことを認めました。
(私が火夏に恋したんですか？で、でも、火夏にはもう好きな人が・・・・・・)
　と落ち込みました。
　せっかく恋が出来たのにもう火夏(好きな人)には、好きな人がいたんです。
　私が溜息をつくとお母さんがまゆをひそめて口を開きました。
「咲良、どうしたの？急に落ち込んで。」
　と聞かれたので私は呟きました。
「・・・もう手遅れですよ。」
　その呟きが聞こえたらしくお母さんは「咲良？」と聞いてきたので私はお母さんにも分かるように口を開きました。
「お母さん、もう火夏には好きな人がいるんです。なので、もう手遅れなんです。」
　その言葉にお母さんは首を横に振ると
「未来はまだ分からないよ。ひょっとすると咲良が頑張れば両思いになれるかもしれないよ。」
　と言われ私はお母さんに言われた通りに火夏に好きになってもらえるように頑張ることにしました。
「そうですね。私も火夏に好きになってもらえるように頑張ってみます。」
　と言うとお母さんは笑顔で言いました。
「うん。頑張ってね。・・・火夏君を呼んできてもらえるかな？」
　と言われたので私は
「はい。分かりました。火夏を呼んで来ます。」


　居間を覗いて見ると火夏がいたので私は火夏の側に行くと火夏が行くと火夏は心配そうに、
「咲良、大丈夫か」
　と聞かれたので私は口を開きました。
「はい。大丈夫です。もう終わったので火夏の番です。」
「そうか。早かったな。・・・じゃあ、行って来る。」
　と火夏は不機嫌に呟きました。
　なので私は慌てて口を開きました。
「嫌かも知れませんが、言ったら終わるので頑張って下さい。」
　と火夏を応援すると火夏は小さく微笑むと
「そうだな。早く本当のことを言って終わるのなら、早く言った方が良いかもしれないな。」
　と言ったので私は苦笑して頷きました。
「そうですよ。火夏なら早く終わると思いますから。」
「そうだな。」
　と言うと彼は居間から出て行きました。


　火夏が出て行くと私はお姉ちゃんに質問しました。
「お姉ちゃん、もし好きな人が他の人のことが好きだったら、どうしたら良いんでしょうか？・・・諦めた方が良いんでしょうか？」
　するとお姉ちゃんはキョトンとして
「咲良？火夏君って咲良以外に好きな人なんているの？」
　と聞かれたので私は
「はい。だって、火夏が告白されている時に゛俺には好きな人がいるから。゛って断ってたんですもん。」
　と答えると葵は溜息をついて口を開きました。
「咲良、もうちょっと、プラスに考えようよ。」　
「そう言われましても・・・。私はこの件ではプラスに考えられないんです。」
　と言うと私は居間から出て行って自分の部屋に戻りました。