家の中にはいるとお母さんが玄関先で待っていました。
　私は思わず驚くとお母さんに
「ど、どうされたんですか？こんなところで。」
　と聞くとお母さんは
「咲良、ちょっと話があるから服を着替えたら私の部屋に来なさい。」
　と淡々と言われたので私は慌てて返事をしました。
「はい。分かりました。」
　するとお母さんは自分の部屋に戻って行きました。
　それを見送ると私は火夏と顔を見合わせました。
「火夏、何の話なんでしょうか？」
「・・・。すまない、俺も分からない。」
　と話しているとお姉ちゃんが来ました。
「咲良、火夏君、昨日は大変だったね。」
　そう言われて私は驚いてお姉ちゃんに問い詰めました。
「な、なんで昨日の事を知っているんですか？」
　するとお姉ちゃんは目を泳がせて口を開きました。
「ま、まぁ、早く着替えて行った方が良いよ。」
　と、上ずいた声で言われ私は慌てて返事をしました。
「は、はい。」　
　そして、私はすぐに部屋に戻りました。


　私は服を着替えるとお母さんの部屋に向かいました。
　そして着くとお母さんの了解をとってお母さんの部屋の中に入るとお母さんは
「咲良、早く座って」
　と言われたので私はお母さんの前に座ると口を開きました。
「ところで何の話ですか？」
「うん。それはね、火夏君と付き合ってるって本当なの？」
　といきなり言われ私は慌てて否定しました。
「わ、私と火夏はつ、付き合ってません！！」
「じゃあ、これを見なさい。」
　そう言うとお母さんは私に自分のケータイを渡しました。
　私はそれを受け取り画面を見るとぎょっとしました。
(え───っ、い、いつの間に・・・。)
　そう思うのも仕方ないことでした。
　なぜなら、昨日の火夏とキスのフリをしている所が写っていたからです。
　慌ててお母さんを見るとお母さんはどこか少し笑っているように見えました。
「あ、あのぅ、これはどこで手に入れたんですか？」
　と聞くとお母さんはニヤリと笑って口を開きました。
「昨日の15時に詩乃ちゃんからメールが来たの」
　だから白状しなさい。というように睨まれて私は慌てて
「と、とりあえず、火夏を呼んで来ます。」
　と言って火夏を呼びにお母さんの部屋から出て行きました。


　そして、一度居間に行ったんですが火夏はいなかったので火夏の部屋に行きました。
　そして、火夏の部屋の中に入ると火夏に
「咲良、おばさんの話は何だったんだ？」
　と聞かれたので私は火夏に慌てて言いました。
「た、大変なんです。昨日のアレを見られて付き合っていると思われているんです。なので、ちょっと来て下さい。」
　そう言って火夏の左側の手首を掴んでお母さんの部屋に戻りました。


　お母さんの部屋に戻るとお母さんは火夏に一言
「火夏君、咲良と付き合ってるの？」
　とドスパッと聞いていたので私は溜息をついて俯きました。
　その間にも火夏はお母さんに説明をしていました。
「おばさん、俺と咲良は付き合っていません。・・・春風から咲良を助けるために付き合っているフリをしただけです。」
「そう。じゃあ、火夏君と咲良に別々で話があるの。」
　と言われたので私は戸惑いながら口を開きました。
「あのぅ、なんで別々なんですか？・・・何の話ですか？」
　と質問するとお母さんは
「咲良、あなたは火夏君のことをどう思ってるの？という話だから、火夏君がいたら本当のことを言わないでしょう？」
　と言われて私は思わず固まってしまいました。
　私が戸惑っている間にも火夏はお母さんに聞いていました。
「俺も咲良をどう思っているかを言えば良いんですね？」
「ええ。・・・火夏君、咲良からで良いかな？」
　と言われた火夏は頷くとお母さんの部屋から出て行きました。