咲良目線
　学校に着いてから20分後、お楽しみのショートホームルームの時間が来ました
　このクラスの担任の先生が黒板の前に立つと
「昨日皆さんに伝えた通り、このクラスに転校生が来ます。皆さん、仲良くしてあげて下さい。」
　と言われたので私がワクワクしていると、先生が転校生の苗字を呼びました。
「では、春風君。入って来て下さい。」
　その苗字に私は嫌な予感がしました。
　けれど私は、"まさか、あの春風じゃないですよね？・・・うん。違いますね。だって、あの春風君はもう1つの魔術学校にいるはずです。"と思い、その嫌な予感を打ち消してしまいました。
　ですが、教室に入って来た転校生を見たとたん、私は固まってしまいました。
　そう、その転校生は私がさっき感じた嫌な予感の通りだったんです。
　私はショックで固まってしまいましたが、転校生のことを知らない一部の女子生徒達が騒ぎ出しました。
　なので先生がその一部の女子生徒達に注意すると静かになったので転校生、春風瑞樹君は自己紹介を始めました。
「春風瑞樹です。よろしくお願いします。」
　私はそれを聞いて慌てて周りを見渡すと小、中学校から同じ学校の人達は全く拍手をしていませんでした。
　それもそのはず、春風瑞樹君はかなりのイケメンですが、本性がかなり最低な人で一応お試しで付き合っていたんですが、私はもう二度と関わりたくないと密かに思っていた人なんです。
　私が、瑞樹君にされたアレやコレやを振り返っている間にも先生は
「では、春風君の席は飛龍さんの隣の席ですね。」
　と言われたのを聞いて私はパニックを起こしました。
　一人パニックを起こしている間に瑞樹君は私の隣の席に座っていました。
「咲良、久しぶり、元気だった？」
　といきなり話しかけられて、私は渋々口を開きました。
「はい。瑞樹君もお元気そうですね。」
　その一言で高校から一緒になった人達が騒ぎ出しました。
　すると、突然瑞樹君が立ち上がって皆に聞こえる声で
「俺と咲良は別れてしまったが、俺はまだ咲良のことが好きだから今、咲良のことが好きな奴は諦めろ。」
　と言い出しました。
　それを聞いた途端、私は慌てて瑞樹君の口を塞ごうとしましたが、私が立つ前に、
「ふん。馬鹿馬鹿しい。春風、そんなくだらないことをいう前にさっさと席につけ。
あと、必要最小限咲良と関わるな。」
　と言う声が聞こえました。
「なんだと、今、くだらないと言った奴は立て。」
　と怒鳴った瑞樹君に言われた人は立ち上がりました。
　その人を見て、私は目を見開きました。
「どうしてですか・・・。火夏。」
　どうしてあなたは私なんかを助けてくれるんですか？
　そう思っている間にも瑞樹君は火夏の所に向かっていました。
　そして火夏の所に着くと火夏を殴ろうとしました。
　駄目です。
　そう思った時には、先生が呪文を唱えました。
『春風瑞樹の動きを止めたまえ！』
　その呪文が発動して瑞樹君の動きが止まりました。
　そして瑞樹君は戸惑って怒鳴りました。
「何故、身体が動かない。・・・・・・何故、邪魔をするんですか。先生。」
「生徒が危険なのに助けようとしないのは教師失格です。・・・・春風、昼休みに高瓦君と飛龍さんに謝罪しなさい。」
　と先生が言うと瑞樹君は
「何故、謝らないといけないんですか。」
　と言い出しました。
「何故？それは、飛龍さんの意思を尊重せずに自分自身の意思を尊重し、言い広めたり、高瓦君を殴ろうとしたのを悪いと思わないんですか？」
　と言うと瑞樹君は堂々と言いました。
「俺がしたことは仕方ないことだと思います。なので悪いと思いません。」
　そして、それを聞いた先生が怖い笑顔で放課後に強制指導することを決めて、放課後残ることを命じました。