魔女の秘密~魔女は、急の事態に戸惑う。

 咲良が男子とバドミントンをしている30分前、俺は困っていた。
 なぜなら俺の周りに沢山の女子達がいたからだ。
「高瓦君、私達と一緒にしょう。」
 と言われたが、俺は咲良の所に行きたかったのに行けないことに少し苛立っていたので、周りを無視して別のことを考えることにした。
(どうしたら咲良は俺のことを好きになってくれるんだろうか?)
 と思っていると、まさに今考えていた彼女がこちらに来ていることに気づいて俺が慌てていると彼女が向こうに行ってしまったので慌てて、
「すまないが、断る」
 と周りに言うと、女子達の輪から苦労して抜げ出すと咲良を追いかけた。
 そして咲良に追いつくと口を開いた。
「咲良、さっきは違う。」
 と、言うと咲良はニッコリと笑って
「火夏、さっきは大変でしたね。でもモテてよかったですね。」
 と言われ俺は胸が締め付けられた。
(咲良は、やっぱり俺のことをなんとも思っていない。・・・それに、きっと咲良の中では、フォローのつもりのなのだろう。)
「・・・咲良、真面目に言っているんだろう。」
 と聞くと彼女は
「は、はい。どうしました?」
 と言われ俺は、咲良になんとも思われていないことと咲良に好意を寄せていることに気づいていないことを痛感する。
 これは彼女に少しでも好意を寄せていることに気付かせなければならない。
 と思い彼女に、
「咲良、ちょっと来い。」
 と、言うと真面目な彼女に、
「えっ、今授業中ですよ。」
 と言い返され俺は彼女に関わることを拒否された感じで胸がさらにきつく締め付けられた。
「もういい」
 という一言を搾り出すと花崗の所に向かった。
 
 それから花崗の目の前に行くと
「ちょっと来い。」
 と言うと、嫌がる花崗の首根っこを掴んで人がいない所に向かった。
 そして着くと花崗から手を離して、
「花崗、話を聞いてくれ」 
 と言うと、花崗は
「ああ。そういうことか」
 と言われたので俺は、
「ああ。やっぱり咲良は俺のことをなんとも思っていない。俺が他の女子達に囲まれていても"よかったですね。"と笑顔で言うのだから。」
 と花崗に言うと溜息をこぼす。
「あ━━。もうだからさっさと告れと言ったんだよ。告ったらさすがの咲良でも意識ぐらいはすると思うよ。」
「だが、それをしても咲良は俺を振るだけだろう。」
 と言うと花崗は
「なら、当たって砕ければいい。リスクを恐れていたら前に進めない。」
 と言われ、俺は溜息をついた。
「確かにそうだが・・・。」
 と、黙り込みながら咲良を捜すと桜咲とベアを組んで男子ベアとゲームをしていた。
 が、その相手が悪かった。
 その相手の名は松田小蓮。
 そいつは本気になると、相手がどうなろうがどうでもいいとよく言っている最低な人間、いや、魔族だ。
 今だけは本気になるなと内心願っていたが、願い叶わず本気になってしまったらしく、
『羽根よ、火の球となり、ラケットは、鉄となれ!』
 と、高らかに唱えた。
「なんだと」
 あれが当たったら咲良が危ない。
 俺はとっさに咲良がいるコートに向かった。
『火の球よ止まれ!』
 そして言霊を使い、火の球の時間を止めるとその間に咲良達の前に行き、前を見据えたまま口を開いた。
「咲良、桜咲、早くコートから出ろ。」
「は、はい。詩乃、行きましょう。」
 そう言って咲良は桜咲を連れてコートから出てくれたので、俺は言霊呪文を唱えた。
『火の球よ、元の羽根に戻れ!』
 その言葉通りに火の球を元の羽根に戻すと俺は落ちた羽根を拾うと口を開いた。
「松田、二度と危険なことをするな」
 そう言って松田を睨みつけると、コートから出て咲良を捜した。
 咲良は人がいない所で、1人座り込んでいた。
「咲良、どうした?」
「え、えっと、実は足が痛くて。ちょっと休んでるんです。」
 と言われたが、俺は彼女が心配だったので、
「大丈夫か?保健室に行こう。」
 と言って、彼女を抱き上げた。
 すると咲良は真っ赤になって
「ひ、火夏、私、重たいので、お、降ろして下さい。」
 と、言われたので俺は安心させるために小さく微笑むと口を開いた。
「お前は全く重たくないから、安心して黙っていろ。」
 すると彼女は顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせながら黙り込んだ。
 そして、俺は先生に言ってから保健室に向かった。
 だが、一つだけ問題があった。
 それは、俺の両手がふさがっているためドアが開けないのだ。
 だから、俺は咲良に頼ることにした。
「咲良、ドアを開けてくれないか?」
「は、はい。」
 と言うと、彼女はドアを2回ノックしてからドアを開いた。
「「失礼します。」」
 と言って室内に入ったが、中には誰もいなかった。
 俺はとりあえず咲良をベッドの上に降ろすと口を開いた。
「咲良、痛い方の足を見せてくれないか?」
 咲良はその言葉に頷いて靴下を下にずらして痛い方の足を見せてくれた。
 足首が腫れていたので、治癒魔法を唱えた。
 そして唱え終えると俺は咲良に聞いた。
「大丈夫か?」
「はい。大丈夫です。治してくれてありがとうございます。」
 と笑顔でお礼を言われ俺は嬉しかったが、これだけは言っておこうと口を開いた。
「咲良、今度から松田としない方がいい。あいつは本気になると他人のことはどうでもいいと思う奴だから。」
 と言うと、咲良は苦笑して言った。
「ありがとうございます。でも、松田君だけが悪い訳では無いんです。・・・私も本気にさせてしまったのでああなってしまったんですよ。だから、喧嘩両成敗で済ませませんか?」
 と言われ俺は
「お前は本当にそれで良いのか?」
 と思わず聞いてしまった。
  すると彼女は頷いて口を開いた。
「はい。当たり前じゃないですか。私も悪い所があるんですから。」
 と言うと咲良が立ち上がったので、俺も立ち上がった。
 そして俺は、彼女を抱きしめた。
「ひ、火夏?ど、どうされたんですか?あ、あのぅ、離してくれませんか?」
 と言われたが、俺は、
「すまない。俺は、どう考えてもお前は悪くない。・・・どうして、松田を庇うんだ?」
 と聞くと、彼女は
「か、庇ってなんて無いです。私はただ・・・。」
 と言われたので俺は苦しくなって口を開いた。
「もういい。」
 そう言って、俺は彼女を離して保健室から出て行った。
 













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