魔女の秘密~魔女は、急の事態に戸惑う。

 部活が終わり俺は桜咲と帰ろうとしていた咲良に声をかけた。
「咲良、一緒に帰ろう。」
 と言うと咲良と桜咲は目を丸くしていたが桜咲が、急に
「ごめん、咲良、急用を思い出したから帰るね。」
 と言うと桜咲は、先に帰っていった。
「えっ、し詩乃────!?」
 と、去って行く桜咲に手を伸ばした咲良だったが、意味が無いことを悟るとこちらを見て
「で、なんで火夏と一緒に帰らないといけないんですか?」
と、聞いて来たので俺は、口を開いた。
「それはだな、今日一日考えたんだが、また痴漢とかの被害に合ったら俺がお前の家族に怒られるんだ。だから、今日から毎日学校がある時は、俺と同行してもらう。異論は認めない。」
 と言うと咲良は、首を横に振ると口を開いた。
「い、異論なんてありません!・・・私だってもう二度とあんな怖い目には合いたく無いですし、嫌かもしれませんが言ってくれてありがとうございます。」
 と言われ俺は、申し訳なくなってつい、歯切れ悪く
「あ、ああ。すまない。桜咲と帰る予定だったんだろう。」
 と言うと咲良は笑って
「はい。でも良いんです。火夏は私が安全に学校に通えるように考えて下さったんですから。では、今日からよろしくお願いします。」
 邪気の無い笑顔に良心が痛んだ。
 もちろん彼女が安全に学校に通えるように考えたんだが、一緒に学校に通いたいという下心があったからこそこの方法となったのだ。
 が、とりあえずそのことは言わないことにして彼女に言った。
「とりあえず帰ろう。」
 と言うと俺は、咲良の手を握った。 
 すると、彼女は真っ赤になって
「ななんで、手を繋ぐんですか?」
 と言われたので、俺は、もっともらしく言った。
「手を離していてまた何かがあったらどうする。」
 彼女は意味が分かって無い様子だった考えることをやめたらしく溜息をついて、
「分かりました。」
 と答えた。




咲良目線
 それから私達はなぜか手を繋いだまま話しながら帰りました。
「咲良、俺はお前の舞が上手いと前から思っていたが、どれくらい練習しているんだ?」
 と聞かれて私は戸惑って答えました。
「え、えっと、練習は家で1時間ぐらいしかしていません。・・・で、でもありがとうございます。褒めて下さって。」
「ああ。俺はお前が楽しそうに笑って舞っている所が好きだ。」
 と、さらりと言われて私は真っ赤になりました。
(えっ、あ、あの火夏が!?女子には全く興味が無いと噂のあの火夏が・・・。)
 と思っていると彼はこちらが急に黙り込んだことに疑問に思ったらしく
「どうした。」
 と真顔で聞かれて私は思いました。
(ぜ、絶対無意識ですよ。火夏は天然たらしです。)
 と、内心思っていると、彼は急に路地に入りました。
「えっ、どうされたんですか?」
 と、聞くと彼は
「咲良、俺の話を聞いているのか?」
 と、逆に聞いて来たので私は慌てて口を開きました。
「はい。き、聞いてますよ。」
 と答えると彼は
「ならいい。」
 と言うと、路地から出て家に帰りました。


「「ただいま帰りました。」」
 と言って靴を脱いているとお母さんが来て、
「お帰りなさい。もうご飯にするから着替えて来てね。」
 と言われたので、私と火夏は返事をすると自分達の部屋に向かいました。


 それから30分後、身支度を整えた私は居間に行きました。
「あれ?火夏はどこにいるんですか?」
 と、居間に火夏がいないことに気付いた私はお母さんに聞くと、お母さんに
「まだ着替えてるんじゃないの?」
 と言われ私は目を見開いて時計をみました。
「えっ?もう30分は経ってますよ。ちょっと見て来ます。」
 と言うと私は席を立って火夏の部屋に行きました。
 私は火夏の部屋のドアを2回ノックしました。
 だけど部屋の中からは何も聞こえませんでした。
(えっ、火夏はどうしたんでしょうか?まさか倒れてるんじゃ)
 と思い慌てて部屋のドアを開けました。
 そして部屋の中を見ると部屋の電気は消されていて真っ暗だったので私は電気をつけました。
 火夏はベッドの上で眠っていました。
 彼は眠っているみたいだったので、私は電気を消して部屋から出ました。


 居間に戻ると私はお母さんに報告しました。
「火夏の部屋に行って見てきたんですが、火夏は眠ってましたよ。」
 するとお母さんは、少し考えているらしく少し黙り込んでいましたが、すぐに口を開きました。
「そうなの。やっぱり火夏君は疲れているかも知れないわね。・・・あっ、そうだわ。」
「どうしたんですか?」
 と聞くとお母さんは、
「あのね。咲良ちゃん、火夏君にいつ予定が空いているか明日聞いてね。それで空いている日に温泉に行きましょう。」
 と言われ私は
「えっ、お、温泉?わ、分かりました。明日聞いてみます。」
 と言うと私は夕ご飯のナボリタンを食べはじめました。
 そして、食べ終わるとお風呂に入って部屋に戻りました。













コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品