魔女の秘密~魔女は、急の事態に戸惑う。

いつもと違う学園生活 火夏目線

 俺、高瓦火夏たかかわらひなつは、"いつも"の日々が、いつでも"いつも"通りに来ると、そう思っていた。
 "いつも"は優しいが、俺の恋愛のことになると、一切誤魔化しが効かない母さんと、俺には厳しいが、母さんには甘い父さんと、大学卒業後までこの家で暮らし、学園生活では、好きな相手と仲良くなれる様に頑張りつつも、学業やバイトをこなす日々が、これからも続くと思っていた。
 だが、そんな日々は、高2の5月の初めに覆された。




 現在、5時半。
 その時刻から、俺の"いつも"の一日が始まる。
 目を覚ました俺は、トイレに行く等の朝の身支度を整えてから、一階の居間に行く。
 居間に着くと、朝の恒例挨拶をするが、"いつも"は、その声に返ってくる筈の母さんの声が聞こえず、あたりは静まり返っていた。
 そのことに何故か、嫌な予感がする。
(ただの寝坊だろう。)
 と、言い聞かせながら、食事をするテーブルに向かう。
 朝食が無ければ、嫌な予感が外れる筈だから。
 だが、俺の願いは虚しく、嫌な予感は的中した。
 俺の席には、母さんが作ってくれたであろう朝食と、2枚のメモ書きが置かれていた。
(俺の嫌な予感はコレか)
 と思いつつ、2枚のメモ書きを手に取る。
 上にあったメモ書きは、手紙だったので、とりあえず読むことにした。
『火夏へ
 ごめんね。家出します。
だから、貴方はもう一枚の紙に書いてあるお宅に預かって頂くことになっているから。
 今日から、そのお宅に帰って下さい。
 ※荷物は、もう送っているので、安心して下さい。 
                       母より』
 母さんからの手紙を読んで俺は、色々と思うことがあったが、とりあえず、俺が抱いた嫌な予感に納得し、母さんが居ない理由も分かった。
 なので、とりあえず、母さんの言う通りにしょうと、朝食を食べ、学園に行く準備をし、家を出た。
 


ここ、魔術学園には、計6人のアイドル的ポジションにいる生徒達がいる。
 そのアイドル的ポジションは、美形しか居ない学園の中でも、性格が良く、成績も上位の生徒達で、学園の代表と言っても過言ではない。
 その、生徒達は、必ず、男女3名ずつと決まっている。
 因みに言っておくが、この学園は、能力を持つ人や魔族の美形が通っている。
 俺と俺が思いを寄せている相手は人では無く、魔族である。
 まぁ、その話は、置いておくことにする。
 何故なら、今、俺は、学園の廊下を歩き、自分のクラスに向かっている途中で、目の前に俺の思いを寄せている相手が友人と一緒に歩いているからだ。
 少しでも、俺は彼女と仲良くなりたい為、朝の恒例挨拶をしょうと、少し歩くスピードを上げる。
 そして、彼女達に追い付くと、口を開き、朝の恒例挨拶をする。
「おはよう。」
 すると、彼女は、友人との会話を一度止めると、こちらを不思議そうに見つつも、きちんと挨拶を返してくれた。
 そう、俺が彼女に挨拶をすると、"いつも"こちらを不思議そうに見てくるのだ。
 そして、俺はそれを見て、
(何故、毎回、不思議そうに見てくるのだろうか?)
 と思うのだ。
 だが、そう思っている間に、彼女は速歩きで教室にいるので、ろくに会話も出来ないのだ。
 そして、それは、今日も同じだった。
 なので、俺は、溜息を零しつつ、
(今日も駄目だったか。)
  と、思いつつも、彼女がいる教室の中に入る。
 そう、何を隠そう、俺と彼女は同じクラスなのだ。
 だから、また話が出来ると良いと思う。






 結局、彼女と会話が出来ないまま部活が終わり、俺は、大親友であり、同じアイドル的ポジションにいる大谷花崗と、母さんの手紙に付いていた地図に書かれている最寄り駅に着くまで話していた。
 そう、電車に乗っているのだ。
 そして、母さんが家出したことと、これから、知らない家庭で預かられることを言うと花崗は、驚いている様子だったが、すぐに冷静になったらしく、"いつも"ながらの飄々とした態度で
「へえー。明日、詳しく教えて。」
 と言うと、荷物を持って立ち上がり、電車から降りて行ってしまった。
 どうやら、この駅が花崗の家からの最寄り駅らしい。
 一人になった俺は、バイト用のスマホを取り出し、"当分の間、休みます。"と、師匠に伝える。
 すると、母さんから連絡がいっていたのだろう。
 すぐに、"了解"と、返事が送られてきた。
 なので、バイト用のスマホを仕舞う。
 そして、自分のスマホとイヤホンを取り出すと、イヤホンを耳に装着する。
 そして、スマホを操作し、好きな歌手の曲を流す。
 その際に、あえて音を小さめにし、アナウンスが聞こえる様にして置く。
 


 暫く曲を聞いていると、これからお世話になるお宅からの最寄り駅に着くアナウンスが流れたので、俺は、荷物を持って立ち上がり、開く方のドアの前まで移動する。
 そして、ドアが開いたので、電車から降りる。
 改札口で、運賃を支払うと、制服のポケットの中に右手を突っ込み、母さんの手紙に付いていた地図を取り出す。
 それを見ながら、これからお世話になるお宅に向った。




『最寄り駅から、徒歩15分』と、注意書きされていた通りに歩いていると、この周囲の風景に見覚えがあることに気づいた。
 確か、この道を昔に良く通っていたような。
 確か、この近くには、公園があったはずだ。
 と、思い地図を見ると、公園の近くに☓印が書かれていた。
 この公園の近くにある家に、俺は、心当たりがあった。
(まさか。・・・だが、もしそうなら、困ったことになりそうだ。)
 と、思いながらも、少し楽しみになった。




 そして、これからお世話になるお宅に着いた。
 やはり、予感は的中していた。
 どうやら俺は、小説の世界で有りがちな、好きな相手の家でお世話になるらしい。
 何故なら、理由は、2つある。
 1つ目は、余り言いたくは無いが、実は、俺、高瓦火夏は、中学に通う前まで、女として育てられていた。
 そして、当時の俺が一番仲良くしていた相手のことを好きになるのは、仕方のないことだと思う。
 で、女装を辞めた理由も、肉体的にも精神的にも成長し、女と偽ることが難しくなる為。
 というのも、理由の1つだが、最も大きい理由が、彼女のことを異性として好きで、女のままだと、他の男の物になってしまうという危機感があったからだ。
 で、もう一つの理由は、好きな相手の母親と俺の母親が大親友同士だったからだ。
 だが、血縁関係が無い為、まさかに留めていたのだった。
 が、それは関係無かったらしい。
 なので、俺は、彼女とどう関われば良いかと少し考え、俺が女装していたことを彼女と彼女の家族には隠し通そうと心に誓った。
 理由は、身内以外に俺が彼女していたことを知られていない中で、最も知られたくない彼女にバレてしまうと、ただでさえ仲良くなれないというのに、もっと嫌われてしまったら、俺は辛い。
 なので、彼女に昔の友人だとばれないように、彼女と仲良くなりたい。
 だから、頑張ろう。
 と、俺が、これからの決意を脳内でしていると、いきなり、玄関のドアが開いた音がした。
 慌てて、玄関の方を見ると、母さんの大親友であり、好きな相手の母親でもある飛龍栗さんが、こちらの方に来ていた。
 俺が思わず固まっていると、栗さんが、
「火夏君、早く家の中に入ってね。早くしないと、咲良が帰って来ちゃうからね。」
 と、好きな相手の名が出てきたので、俺は、栗さんに、
「あ、あの、栗さん、咲良さんは、俺が今日からここでお世話になることをご存知なんですか?」
 と聞くと、栗さんは、こちらを振り返って、申し訳なさそうに口を開いた。
「・・・。火夏君、ごめんね。咲良にはまだ言えてないの。」
 と言われたので、俺は、落ち込みながら、
「そうですか。・・・俺は、咲良さんに嫌われているので断られると思います。なので、家に帰ります。」
 そう、彼女は、嫌なことは嫌と言える魔族なのだ。
 なので、俺は家に帰ろうとする。
 だが、その途端、栗さんが俺の腕を掴んできて、何故か必死に止められてしまった為、渋々、家の中に入った。
 そして、家の中に入ると、俺の部屋(因みに、好きな相手の隣の部屋らしい。)と居間…と、とにかく、俺はこの家の案内をされた。
 そして、それが終わると、居間に戻り、水分補給をする。
 そして、栗さんと葵さん(好きな相手のお姉さん)と話していると、玄関のドアが開き、閉まる音がした。
 その音を聞いて、今更ながら、緊張してきた。
 なので、テレビの前のソファーに腰掛けると、そのまま、居間のドアが開くのを待っていたが、足音は、階段を登り、二階の部屋のドアが開き、閉まる音がした。
 その為、俺は涙目になりながら、栗さんと葵さんを見ると、二人は慌てていた。
 そして、栗さんは、葵さんに、
「ま、まさか、葵の彼氏が来たと思って部屋に帰ったのかな?」
 と聞くと、葵さんは、
「・・・。はっ!!そ、そうかも。ちょっと呼んで来る。」
 と言って、居間から出ていった。

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