悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きていきます。私にしか使えない魔法で、モフモフたちとスローライフ

末松 樹

第40話 魔法大会!?

 タクアンを干し始めてから数日。
 ユリアナが植物を成長させる魔法を使えるけど、流石に大根を干す魔法は無いそうなので、いろんな作物を作りながら、干し続ける事に。
 この前は、ブドウを作ってみたんだけど、種無しで皮も食べられる品種だったからか、ナーシャちゃんが革命だと言って喜んでいた。
 そんな日々を過ごしつつ、今日も学園へ行くと、

「ルーシーさん。どうしてこんな所に居るのですか? 早く行きなさい!」

 授業前のホームルームの為に教室でボーッとしていたら、いきなり担任の先生に怒られてしまった。

「あの、行きなさい……って、何処にですか?」
「何処に……って、魔法訓練場に決まっているじゃないですか。今日は魔法大会の決勝戦ですよ?」
「……えっ!? 決勝戦!? で、でも、予選なんて一度も出てませんよ!?」
「貴女のパートナーは、生徒会長のローランドさんでしょう? その実力を鑑み、予選が免除となったんです。聞いていますよね?」

 いや、聞いてませんけど!?
 というか、魔法大会が今日だっていうのも、初めて聞いたんですけど!

「えっ!? 生徒会長のローランド様と一緒に大会へ出るの!?」
「しかも、決勝戦だなんて……同じ一年生なのに。どうやって、ローランドさんに取り入ったんだろ」
「ローランド様とご一緒出来るなんて……ズルいですわっ!」

 あれ? 何だか、変に嫉妬されている!?
 というか、男子生徒は何とも思っていなさそうだけど、女子生徒たちから冷たい視線を注がれている気がするんだけど!
 どうせなら、男子生徒からの熱い眼差し……うん。そんなのは無いよね。悪役令嬢だし。
 とにかく早く行けと、先生から追い立てられるようにして訓練場へ移動すると、入り口でローランドさんが待っていた。

「お、来てくれたね」
「来てくれた……って、どうして教えてくれなかったんですか?」
「いや、ちゃんと言ったよ? ただルーシーが生返事だったから、念押しでもう一回言っておくべきだったなと、反省していた所だったんだ」
「え……す、すみません」
「いや、こうして来てくれたから、それで良いよ」

 そう言って、ローランドさんに頭をポンポン叩かれる。
 うーん。相変わらず子供扱いしてくるわね。
 いやまぁ、今の姿だと私の方が年下なんだけどさ。

「でも、魔法大会って何をするんですか? いつの間にか、予選免除とかになってますし」
「いやー、予選免除は俺も驚いたよ。実は魔法大会に出るのは初めてなんだよね」
「え? それなのに予選免除なんですか!?」
「たぶん、生徒会長っていう役職のせいじゃないかな? まぁ使える魔法の種類が多いのは事実だけど。あと、魔法大会はいわゆるバトルロイヤルかな」
「バトルロイヤルって……まさか皆で一斉に戦うの!?」
「その通り。とはいえ、魔法大会だからね。魔法以外の攻撃は禁止だし、魔力のシールドが壊れたら負けっていうルールだから、実際に怪我をする事はないから安心して」

 なるほど。つまりローランドさん以外は全員敵って事ね。
 しかも、攻撃魔法を使っても、相手に怪我をさせる事はないと。
 じゃあ大丈夫かな?

「あれ? ローランドさんって、予選突破が目標じゃなかったっけ?」
「うん。意図せず目標が達成出来ちゃったから、後はいけるところまでで良いよ。気楽に行こう」
「分かりました」

 とりあえず、無理に勝ちに行かなくても良いみたいだし、楽しむ感じで参加しよーっと。

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