悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きていきます。私にしか使えない魔法で、モフモフたちとスローライフ

末松 樹

第7話 植物を成長させる魔法

「えーっと、植物を操る魔法って何の事でしょうか?」
「すまない。俺は鑑定っていうスキルを持っていて、手を触れた相手が持っているスキルが分かってしまうんだ。さっき会った時は、本当に案内してあげるだけのつもりだったんだけど、勝手に俺のスキルが発動してしまってね」

 やっぱり、思った通りだった。
 流石に、手を握ったら発動するなんて事は知らなかったけど、生徒会長のローランドさんはゲーム通り鑑定スキルが使えるのか。

「あ、あの。実は私、魔法学園に居る内に沢山スキルを習得しなくちゃいけなくて……」
「だったら、俺が教えてあげよう。伊達に生徒会長をしている訳じゃないからね。この学校の生徒の中で、俺は五本の指に入るスキルの多さだと自負しているくらいに、多くのスキルを習得しているからね」

 鑑定スキル持ちのローランドさんから、直々に指導してもらえる!?
 鑑定スキルがあると、スキルの習得率が数値で見えるから、物凄く効率が良い。
 それに、ローランドさんが攻略対象じゃないからか、ゲーム内で主人公は鑑定スキルを習得出来ないけど、もしかしたら鑑定スキルが習得出来ちゃうかも!?
 そうなると、辺境生活が非常に助かる。
 何と言っても、その辺の見知らぬ草を鑑定スキルで調べれば、食べられるかどうか判るもん。
 これは、誘いに乗るべき……よね?

「分かりました。では、菜園クラブに入部します」
「おぉ! ありがとう! ルーシーが入ってくれると、本当に助かるよ! なんせ、魔法学園に通う生徒は菜園に興味が無いみたいで、ルーシーが入ってくれなかったら、廃部にされる所だったからね」
「え? どういう事ですか?」
「クラブとして認められる条件は、部員が三人以上居る事だからね。ルーシーが入ってくれなければ、部員が二人しか居ないからさ」
「そ、そうなんですね。ちなみに、もう一人の部員の方はどちらに?」

 周囲を見渡してみても、ローランドさんしか居ないんだけど。
 今日は入学式があるから、二年生も三年生も授業が無く、クラブ紹介の為に来ているはずなのに。

「あー、言い難いんだが、実はもう一人は生徒会の書記を兼任していて、滅多に来ないんだ」
「……もしかして、それってローランドさんが無理矢理生徒会のメンバーを菜園クラブに入れたんですか?」
「無理矢理ではないよ。ただ、入ってくれたら、俺が卒業した後の次期会長として推してあげる……かもしれないとは言ったけど」

 それはどうなの!? 思いっきりエサをちらつかせている気がするんだけどっ! この学園の生徒会って、それで良いのっ!?

「そんな事より、早速ルーシーの魔法を使ってみてくれないかい? 鑑定スキルを持っているから、数多くのスキルの知識を持っているけど、植物を操るなんてスキルは初めてみたからね」

 ですよねー。私だって、このゲーム内に木魔法なんていうのがあるとは、思ってもみませんでしたから。
 とりあえず、植物を操るっていう話だけど、昨日使いまくったブランチ・アローで良いのだろうか。
 木の枝を矢のように飛ばすんだけど……危なくないかな?

「じゃあ、ルーシーが持っている、グロウ・プラントっていう魔法を使ってくれないかい?」
「グロウ・プラント……って、何ですか?」
「何ですか……って、鑑定スキルで見た時にあったんだけど。植物を成長させる魔法だって」

 植物を成長させる……って、凄くない?
 まだ木の実がならない小さな木を成長させて、すぐに木の実を食べられるようにしたり出来るって事だよね?
 辺境で食べ物に困った時、役に立つかも!

「≪グロウ・プラント≫」

 とりあえず、目の前にあったピンク色の花の蕾に魔法を使うと、ゆっくりと花が開いた。

「おぉ! 凄いね。その花は、あと二日は咲かないと思っていたのに」
「えっと、ステータス……こほん。魔力が上がれば、もっと一気に成長させられると思います」
「なるほど。凄いよ、ルーシー! じゃあ、これからは菜園の勉強と、魔力を向上させる勉強……両方やっていこうね。大丈夫、俺がついているからさ」

 やった! 魔力を向上させる勉強だって!
 魔力を高めて、種から一気に実が生るくらいに成長出来るようになったら……辺境生活での食糧に不安がなくなるわねっ!

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