ある日、超能力に目覚めた件

ファーストなサイコロ

32P

「なんでこんなことに?」

 そんな事を野乃野足軽はつぶやいた。野乃は今、この状況がよくわかってない。なんとなんと今、野乃野足軽は平賀式部のお家で夕飯をご馳走になってる。どこもかしこも野乃野足軽の家よりも2から3ランクくらいアップしてる感じの豪邸だ。

 まず家の広さ、それが全然違う。いや、ここ一軒家ではないんだが……何故か一軒家の野乃野足軽の家よりも広い。駅と直結してるタワーマンションの一室……ではない。一フロアである。庶民である野乃野足軽はそもそもがこういう場所に入るのが初めてだった。まずどうやって入って良いのかよく分かんなかったよね。

 そして一室が全部自分の家……ってのももうよくわからない。そんな事を思ってると、なにやらシェフ? ぽい人が台車をもってきた。そしてそこにあるお皿をそれぞれの前においていく。

「こちら前菜の香草ときのこのランデヴーでございます」

 なにやらおしゃれに皿の端っことかにソースが模様の用に添えてあって、中央に、なんか固まってる固形物がちょびっとある。野乃野足軽は皿の無駄では? とか思ったが、言えるわけもない。

(これがコース料理って奴か……)

 人生始めてのコース料理に戦々恐々としてる野乃野足軽である。食べようと思っても、用意されてるのはナイフとフォークだ。使ったことはもちろんある野乃野足軽だが、マナーをしってるかといえばそうじゃない。こんな場所で……ちらっと野乃野足軽は1番上座に座ってる綺麗な女性をみやる。

「さあ、召し上がってください」

 その声は少し硬い感じの声。綺麗で細い、そんな声だが、同時にその静謐さに背筋が伸びる感じがする。この人の前では油断はできない……そんな事を思わせるような人だと野乃野足軽は第一印象で思った。それと野乃野足軽の対面には平賀式部がいる。彼女は制服を脱いで、ゆったりとした部屋着なんだろう、それを着てる。

 こんな格好、野乃野足軽しかみたことないんではないだろうか? もしもクラスの誰か……それこそ彼女を密かに狙ってるだろう奴らが知れば大変なことになるかもしれない。なんとかナイフとフォークを使って前菜を切り分けて口に運ぶ。とても複雑なお味がするような……そんな感じだ。頭の中ではアースが「不思議な味をしてますね」とか言ってる。

 けど野乃野足軽には料理の味を味わえるような状況じゃなくて、美味しいのかはほぼわからない。二人も別に会話するわけでもなく、ただ単に静かに料理を口に運んでるたけだ。ここで二人で和気あいあいと親子らしい会話でもしてくれてたら……まだ柔らかい雰囲気が形成されたと思う。けど、平賀家はそういう感じではないらしい。

 普通に静かに食事が続く。

(なんで母親も俺の存在に何も言わないんだ?)

 それが逆に怖い。一応お客さんというかクラスメイトって紹介は受けてる。ても年頃の女の子が家まで連れてきて、更に食事まで……これでただのクラスメイトと言われて納得する親がいるだろうか? そんな疑問が野乃野足軽にはある。

 けどそんな疑問に反して平賀式部の母親は別に何も糾弾してこない。それが余計に気まずくなってく要因だったりしてる。

(やっぱり断るべきだったんだな)

 そう思いつつ、どうしてこうなったか……を野乃野足軽は振り返る。

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