ある日、超能力に目覚めた件

ファーストなサイコロ

12P

「ただいま~」

 そう言って野乃野足軽は家に入る。既に晩御飯の準備が佳境に入ろうとしてるのか、家の中は晩御飯の匂いで満たされていた。実際のところは海に行ってもアクアを見つける事もできなくて、しかもしかも、平賀式部に翻弄されたことによって疲労感があった。そもそも海でかなりの力を……

「あれ?」

 そこで初めて野乃野足軽は違和感というか、異常に気づいた。その異常とはなにか……それは思ったほどに疲労が体に来てないことだ。今までの感覚なら、あの海で吸われた力は、いつも限界近くに消費する感じの力の出て行き方だった筈だ。

 だから下手すればあのまま気絶しててもおかしくないし、何時もの感覚でやばいと思ったからこそ、野乃野足軽は『死』を感じたんだ。普通死を感じるほどに疲労するとソレは確実に体に何らかの異常が出てる筈だ。

 だって死を感じてるんだから……それが気の所為とかじゃない限り、体は少なくともボロボロだろう。でもいまここに来て気づく野乃野足軽。そう、自分がそこまで疲労してないってことに……

(おかしい……絶対にあの時はソレだけの力が抜けて行ってた筈だ。戻された……とか? いや……馬鹿な。どのタイミングでだよ?)

 混乱してる野乃野足軽色々と考えていく内に気の所為だった線が濃厚になりそうになる。なにせ体からはたしかに疲労感を感じるが、それはあくまで通常の範囲内の疲労感だ。死を意識するような……そんな滅茶苦茶な疲労感ではないのは確かだ。

「足軽、帰ってきたんならさっさとお風呂に入りなさい。アンタなら五分もあれば出てこれでしょう。そしたらすぐに晩御飯にするからね」

「いや五分って……」

 なんで制限時間を付けて入らないといけないだよって野乃野足軽は突っ込みたくなった。まあけど早く晩御飯も食べたいし、お風呂にも入りたいから依存はなかった。ただ制限時間が納得できないだけだ。

「アンタがこんなに遅くに帰ってくるからでしょうが! 晩ごはんまでに入って出てこれるのアンタくらいでしょう。お父さんはまだ帰ってきてないし。だから早くしなさい」

 野乃野足軽のお母さんはそう言って晩御飯の用意に戻っていった。もう晩御飯の時間を動かすことは不可能に近いと悟った野乃野足軽はさっさと脱衣所に向かった。そしてさっさと服を脱いで風呂場に入る。

 とりあえずさっさと体を洗って、湯船に浸かると色々何かが出ていくような……そんな深い溜め息を吐いた。

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 やっぱりお湯にはなにか体の毒素を流しだすような特性があるのかもしれない。いくら疲れてても、お風呂に入ったら疲れが取れる気がすると思ってる野乃野足軽。

「ん?」

 極楽極楽……と思ってたらなんか風呂がぶくぶくしだす。別に野乃野足軽の風呂にはジャグジーなんて高級な機能はついてない。なら一体これは……そんな事を思ってると、お湯が人の……なんか女性の体の形になった。

 おっぱいとかくびれとか、丸みを帯びたお尻とか、その体の特徴は女性を確かに表してる。そしてお湯がなくなったことで、野乃野足軽の裸が赤裸々に……つまりはお風呂で男女がスッポンポンってことぉ!?

 これはいけない。そんな雰囲気は一ミリもないがこれはまずい。

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