俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

新城堂の噂の女神【15】

 支配人が出ていき、暁は芹を起こしに行く。

「芹、芹」

「ん〜っ」なんとも悩ましい声だ。

「芹、夕食の準備が整ったぞ」

「えっ、はい」飛び起きる。

「ブッ」その様子が可愛くて思わず笑ってしまう。

「目が覚めた?色っぽい格好で俺はそのままでいいが…」

「ん?キャッ」自分の姿に驚き思わず布団に包まる。

「ゆっくりでいいから準備して出ておいで」

「うん」

 暁が先に部屋を出ていったので、待たせないように浴衣を来て準備する。

「おまたせしました。わぁ〜豪華」

 芹は料理に目が釘付けだ。そんな姿ですら可愛く思える。

 二人は、シャンパンを飲みながら、ゆっくり美味しいお料理をいただく。のんびりとした時間は二人の距離を更に縮める。

「フランスのパーティーなんだが、仮装した状態だし、芹を婚約者だと紹介してもいいか?」

「えっ!?大丈夫なの?」

「何がだ?」

「暁くんは、クールなイメージを作ってるんだよね?」

「…」

 芹は、今まであまり暁を意識したことがなく、友達もいないので、どこかで聞いたクールな噂しか知らないのだ。

「わざと作ってる訳じゃない。芹と出逢うまでは、全く女性に興味がなくて、それが態度に出てたのが、クールと言われてたんだ」

「そうなんだ」

「婚約者の存在を明かして、マスコミからこそこそ逃げることなく芹と生活したい」

「私で世間が納得してくれるかな?」

「俺には芹以上の女性はいないんだ。堂々としてくれたらいい」

「わかった」

 芹が受け入れてくれてホッとする。後は、芹の実家に行って、特に兄に頷いてもらわないと。

 美味しいお料理でお腹が満たされた頃、見ていたかのようにデザートが運ばれて来た。二人の婚約をお祝いする特別仕様になっていた。

 小さめのホールケーキに、たくさんの果物のデコレーション。プレートには『おめでとうございます』の文字。更には、祝の文字のろうそくに火が灯されていた。

「凄い!ありがとうございます」

「喜んでいただけて、こちらも嬉しいです。おめでとうございます」

 祝福の言葉に胸が熱くなる。

 二人の一泊の温泉旅行は最高の思い出となった。

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