俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ピンチを救う女神【8】

 社長室内とオフィスビル内には、不測の事態に備え仮眠出来る部屋がある。

 朝になれば、暁と駿は香田社長の工場に出向く予定だ。

 今頃開発部でも人が集まり出しているだろう。今日から数日徹夜になるだろうが、我社の開発メンバーならやってくれると信じたい。

 暁と駿も、各国の幹部と連絡を取り事態の説明をする。何とかするつもりではいるけれど、万が一日本での発売日がズレてしまうと他もズレてしまう可能性があるからだ。

 朝まで掛かり、何とか連絡するべきところには連絡がついたが、厳しい意見が相次いだ。

 日本での人気もさることながら、海外では徹夜組が出るほどの人気ソフトなのだ。

 今更ながらに、気づかずに販売していたらと恐ろしくなる。

 新城堂にとっても暁にとっても、芹の存在感が増す。

 芹自身は、全く意識もしていないだろう。ただのゲーム好きで、コスプレ好きの認識しかない。

 そして、まだまだ芹に助けられることとなるのだった…

 朝になり、社長室内にあるシャワーを駿と交代で浴び、着替えを済ます。

 いくら徹夜明けといえども、新城堂の社長としてビシッとしていなくてはならない。

 眠さがないと言えば嘘になるが踏ん張りどころだ。きっと徹夜組も頑張ってくれているだろう。

「暁、香田社長に連絡をした」

「なんて?」

「もちろんお怒りだよ」

「だろうな」

「今から伺うとは伝えた」

「ああ。怒られに行くか」

「だな」

 地下の駐車場には、すでにいつもの車が待機している。香田社長の工場までは、車で二時間程だ。

「申し訳ないが少し仮眠させてもらっていいか?」運転手に声を掛ける。

「もちろんです」

「駿も少し仮眠しとけよ。当分ゆっくり寝る暇もないだろうから」

「ああ」

 車は、工場に向けて出発した。

 暁が目覚めた頃には、窓の外はすっかり田舎の景色。緑が豊富な長閑な地に工場がある。

 車が工場に到着するや否や、香田社長が車の音を聞きつけ出てきた。

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