俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

甘々同棲生活【1】

 警察官とマンションの前で別れ、芹の部屋に入った。部屋の中は、入られた形跡もなく出た時のままだ。

「引っ越しは駿が立ち会ってくれるし、女性スタッフが衣類は詰めてくれるから安心してくれ」

「何から何までお世話になっていいのかな?」

「ああ。今日は、芹の大事なコスプレを持って帰ろう」なぜか暁が嬉しそうだ。

 持ってきたスーツケースに衣装を詰めていく。横で暁は、ジッと見て何かに納得したのか頷いている。

「待たせてゴメンね」

「俺のことは気にしなくていい。夕食は頼んでおくからマンションに帰ってからでもいいか?」

「うん」

 急に帰って食べると言い出した暁に、特に疑問はなかったが、暁の真意を知るのは帰ってからだ。

 大事なものは持ち出し、後は任せることになる。部屋から出ると、スーツケースを暁が引き、反対の手で芹の手を握る。

 数日の付き合いとは思えないラブラブなふたりはお似合いだ。

 マンションに帰るとすでにデリバリーが届いていた。ホテル並みのサービスだ。

「とにかく先に食べよう」なぜか暁が急いでいるようだ。落ち着きがない。

「何かあった?」

「えっ?」

「暁くん、いつもと違うような…」

「…」

「やっぱり、ここでお世話になるの迷惑なんじゃ?」

「違う!!引かないか?」

「引く??何が?」

「芹、頼む」懇願する視線を向ける。

「…」俺様暁様のお願いが想像できなくてキョトンとしてしまう。

「俺のためにコスプレしてくれ」

「ヘッ!?」予想外の話に変な声を出してしまう。

「芹の部屋で衣装を見た時からウズウズしてたんだ。懐かしいアニメの衣装なんて、もう見ることはないだろうと思っていたんだ。芹が着た姿を想像するだけで、もう鼻血が出そうだ」

 ある意味、ストーカー男達と変わらない暁の発言。新城堂の社長様の発言とは思えないが、芹の趣味をここまで理解してくれる人が現れるとは…

「じゃあ、後でコスプレお披露目しますね」

 頷く暁からは、少年の顔と欲望の顔とが垣間見える。


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