俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ダブルストーカーの行方【10】

「お前らのせいで、ここに住めなくなったんだぞ?それに、芹は俺のだ」

「お前がお前が…お前が現れなければ、俺たちの芹奈ちゃんのままだったんだ」

 手には小型のナイフを持っている。

「止めて」芹が大声で叫ぶ。

 そこへ、複数の男が勢いよく男に駆け寄る。一人が男の手からナイフを蹴り上げ、二人が男を拘束した。

「大丈夫でしたか?」

「ああ」

「ご協力ありがとうございました」

「いえ。いつまでも解決しないと困りますので」

「…どういうこと?」芹だけが状況を把握していない。

「ああ、すまない。こちらは警察の方たちだ」

「えっ?」

「捜査していくうちに、主犯格らしい男だけが連絡が取れなくて、このマンション周辺で度々目撃されてたらしいんだ」

「驚かせてしまいましたね。新城さんには、マンションに立ち寄ることがあれば、事前に連絡を入れてほしいとお願いしてたんです。さっきの男が、成宮さんの後をつけてマンションの情報を流していたんです。顔を合わせたことは?」

 すでに男は連れて行かれた後だ。

「ん〜?あっ、そういえば!」

「知ってるのか?」

「多分、いつも後ろの方から見てるだけの人のような…」

「完全なストーカーだな」

「ですね。また改めてお話をお伺いします。引っ越しされるんですよね?」

「ああ。俺のところに」

「なら安心ですね。住所を知った者には、一人ずつ警告してますし、ストーカーは二人のようです。後はマニアックな芹奈さんファンだと。見てるだけでいいそうです」

「それも腹が立つが」

「ハハッそうですね」

 嫉妬全開の暁と警察官の会話を聞き、芹の知らないところで、全ては片づいたようだ。

 もう、ストーカーに怯えることもない。今回は、暁がきっかけで過激化したが、暁とは関係なくマンションを知られていたと思うと、最悪の事態になっていたかも知れない。一人の時に、押しかけて来られていたらと…

 あのタイミングで暁に出逢ったことが、芹にとっても運命の出逢いだったのだ。


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