俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ダブルストーカーの行方【4】

 エントランスには、騒ぎを聞いたコンシェルジュの姿があった。

「新城様、おかえりなさいませ。お怪我はありませんか?」

「ああ。申し訳ないが、エレベーターを開けてもらえないか?」

「はい。お送りいたします」

 両手が塞がっている暁を見て、エレベーターの操作は無理だと気づきフォローしてくれる。鍵は、コンシェルジュが管理しているものを用意していたのだろう。行き届いた気遣いが助かる。

 エレベーターの中で、暁と芹が降りるのを見送ったコンシェルジュは、そのまま戻っていった。

「芹、震えは少し収まっているようだが、大丈夫か?」

「う、うん…」

「怖い思いをさせてすまなかった」

「暁くんのせいじゃないよ」

「嫌な予感はしたんだ。ちょっと待ってて」

 芹をソファーに降ろし暁はどこかに向かった。窓の外に見える夜景を眺め、先程の花澤を思い出す。あまりの形相に本当に怖かった。

 暁を思う女性はまだまだいるだろう…

 不安が込み上げてくる…

「どうした?難しい顔をして」

「うん…」

「正直に言ってくれ」

「あー、うん。暁くんを好きな女性は花澤さんだけじゃないだろうなと…」

「怖くなった?」

「うん。少し」

「芹、俺は一生芹を手放すつもりはない。芹に今日みたいなことがないように、全力で守るが、手放す選択肢はない。俺も、自分がこんなに愛する女性が現れるなんて思ってもいなかったから、何が正解かはわからない。でも、絶対に幸せにする」

 暁の真っ直ぐな視線が芹に突き刺さる。燃えるような情熱が伝わり震える。怖さではなく、深く愛される喜びからの震えだ。

「暁くんに相応しい女性になれるかな?」

「相応しい女性ってなんだ?俺に相応しいのは芹しかいない。今まで、感情の起伏があまりなく冷静な方だと自負していたが違ったようだ」

「え?」

「芹のストーカーには殺したいほど苛つくし、芹のファンには驚くほど嫉妬する。人前でコスプレするなんて、嫉妬で狂いそうだ」

「コスプレは趣味だから…やめたくない」

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